仮門と団子
大分県のお葬式は出棺の際に「仮門」を作ってその下を通すようにして棺を運び出す風習があります。
仮門は主に竹を編んで作られるもので、地面に刺して立てるようにした大きくてしっかりしたものから、両端を人の手で持ち上のアーチの部分だけの簡単な物まであります。
この仮門にはこの世とあの世の境目としての意味があり、仮門からあの世に旅立つことであの世にちゃんと送り出すということになります。
仮門は出棺が済むとすぐに取り壊されたり焚火で燃やしたりします。こうすることで境目の門が無くなり、故人の魂が迷ってこの世に戻ってこないことを防ぎます。
こういった仮門の作る意味には他の地域と大きな違いはありませんが、大分県ではこの仮門を通す出棺の前に、団子を配ることも合わせて行われています。
出棺や棺を運ぶというのは重労働ですし、その後の埋葬などまで考えると力仕事の連続です。そのため、そういった仕事に従事する人に力をつけてもらうために団子を食べて腹ごしらえしてもらおうというのが、団子を配るようになった理由だといわれています。
別れの膳
大分県では通夜に一般会葬者を呼ばないことも多いようです。
近親者のみで行われる通夜振る舞いで出される食事は「別れの膳」と呼ばれていて、そういった部分でも特徴的です。
大分県の南部の方では、通夜振る舞いそのものが存在しない地域もあり、大分県内でも通夜の内容に大きな違いがあります。
基本的には会葬者のみで行うものだと考えておき、必要があれば現地の葬儀社などに確認を取るようにしましょう。
前火葬
大分県の大半の地域は後火葬での葬儀が行われていますが、一部の地域では前火葬でのお葬式が中心になっています。
通夜振る舞いに会葬者が呼ばれにくいということもあって、前火葬の地域ではお別れの前に顔を見て挨拶をしたいということが難しい場合があります。
棺を3回回し、茶碗を割る
大分県でも西日本や九州では一般的なお葬式の風習がいくつか行われています。
出棺の際に棺を3回回す「三度回し」や「棺回し」といわれる風習は、故人の魂の方向感覚をなくすというもので、あの世に迷いなく旅立ってほしいという願いが込められています。
大分県では棺を回すのは近親者の役目です。
故人の愛用していた茶碗を割る風習も広く行われていて、故人の大切な物を壊すことで、この世への未練をきっぱり諦めてもらい、あの世へしっかりと旅立ってほしいというものです。
どちらも神道や浄土真宗などの宗教や宗派によっては行われないので、大分県のお葬式で常に行われているというわけではありません。