白木位牌に白い布
広島県の東半分の地方は「備後地方」と呼ばれていて、この地方のお葬式では白木位牌に白い布をかぶせて、少しずつ擦り上げていくという独特な風習があります。
こういった風習は禅宗の檀家のみで行われているため、この地方の中でも行う人と行わない人がわかれているというのも特徴の一つです。
この白木位牌にかぶせる白い布は、用途などに違いがありますが全国各地で見られるもので、葬儀社の業界用語では「わんぷ」や「覆絹(ふくけん、ふっけん)」などと呼ばれています。
地方や宗教などよって、この白い布をかぶせたり外したりする時期に考え方の違いがあり、外し方だけで見ても大きな違いがあります。
お葬式が始まるまではかぶせたままにしていて、式が始まる直前に外す地域もあれば、式の間もかぶせたままにしていて、四十九日法要までの毎回の法要のたびに少しずつ捲り上げて、四十九日法要で完全に取り外れるようにしていく地域もあります。
これらの考え方が混ざり合った地域が備後地方であると考えられます。
酉の日は葬儀を避ける
葬儀をするにふさわしくない日というのは、全国的には六曜の「友引」が有名です。
広島県でも同じように友引には葬儀を行うことが少ないですが、それに加えて「酉の日」にも葬儀を避ける風習があるといわれています。
酉の日の酉は十二支の考え方のもので、12日ごとにやってくるため一月に2~3回あります。
理由は不確かですが、酉の日には古来から田植えを行うべきでないという考え方が農村部にあり、そういった縁起の悪い日という考え方が、お葬式にまで影響したものだといわれています。
そのため、こういった考え方を広島県の中でも農村部は特に根強く持っています。
浄土真宗
広島県は西日本で広く行われているお葬式の風習も行われています。
出棺前に棺を3回回したり、故人の愛用していた茶碗を割るといったものですが、これらの風習は浄土真宗では行いません。
広島県の西部は「安芸地方」と呼ばれていて、この地域では伝統的に浄土真宗が広く信仰されています。
そのため、先に紹介したような関西地方で有名なお葬式の風習は、西部で行われることは少なく、東部の備後地方を中心に行われています。
このように、浄土真宗の存在だけを考えても、広島県の東西でお葬式の内容や考え方に大きな違いがあるといえます。
広島県のお葬式に参列する場合、一般的な仏教式のお葬式と浄土真宗のお葬式では作法や考え方などに違いがあるため、まずは事前に確認を取って正しい準備をするようにしましょう。