「内位牌」と「野位牌」
奈良県のお葬式に関する風習で最も特徴的な部分は、「内位牌」と「野位牌」という2種類の位牌を用意する部分です。
白木で作られた位牌を2本用意するという風習は、奈良県以外でも見られるもので、特別珍しかったり独特なものではありませんが、それだけ奈良県のお葬式の習慣や風習などは一般的なものが多いということです。
「内位牌」
「内位牌」というのは臨終後すぐに作る比較的簡素なもので、土葬や火葬の違いで扱い方が変わります。
土葬の場合には、ご遺体を埋葬した上で朽ち果てるまで置いておかれます。
火葬の場合には葬儀の後持ち帰り、最終的には焚き上げることになります。
「野位牌」
「野位牌」は現在では土葬の習慣がほとんどなくなった日本においては、元々の意味をなさずに形だけ残っているものです。
野という字が示すように、本来は外に置くための位牌です。ど
墓石に文字を刻むまでの間にその文字の代わりに野位牌を置いておくというものですが、最近では納骨時には既に文字の刻まれた墓石があることがほとんどですので、墓石の目印としての役割が無いです。
そのため、納骨後などに焚き上げるなどして処分をすることが多いです。
天理教のお葬式
奈良県の宗教文化で全国手に有名なのは天理教です。
奈良県天理市に本拠地があるため、奈良県は天理教の最も重要な土地になります。
天理教は生死感の部分からも独特な部分が多いため、お葬式の風習も独特なものになります。
「亡くなる」ではなく「出直す」
天理教では人が生きているのは、体を神様から貸してもらっている状態と考えます。
そのため、死ぬということはその体を神様にお返しするという捉え方をします。
そういった理由から、「亡くなる」という表現をせずに「出直す」と表現します。
その他にも、「成仏」や「冥福」などといった仏教の生死感を元にした言葉を使うのも適切ではありません。
お悔やみの言葉を遺族の方などに伝える時には、仏教用語を使わないように気をつけましょう。
もし天理教ではない方が天理教のお葬式に参列したりすることがあれば、まずはそういった考え方の部分をしっかり頭に入れておくようにしましょう。
基本的な部分は神道と同じ
天理教のお葬式の風習やマナーは神道を元にしています。
死後の考え方の部分では神道と天理教は異なりますが、お葬式に関する作法などを学ぶ時には、神道の基本的なものを学ぶとわかりやすいでしょう。
香典袋の水引きの色は白黒か銀が一般的で、白と黄色のものを使うこともあります。
表書きも神道と同様で「御玉串料」や「御霊前」や「御榊料」といった書き方をします。
焼香は仏教の作法ですので行わず、礼拝と玉串奉奠を行うことも間違えないようにしましょう。