おめでた葬礼
岐阜県の南東部の愛知県や長野県との境付近に位置する東濃地方では、故人が80歳以上の長寿を全うして亡くなられた時に「おめでた葬礼」を行うというしきたりがあります。
花籠と呼ばれる竹を編んで作った籠に小銭を入れて振ることで、隙間から小銭がこぼれてきます。このこぼれる小銭を撒き銭として撒くことで、長寿を祝うとともに、小銭を拾った人にもそのご利益があると言われています。
撒き銭は拾った人だけでなく、故人にも良い影響があります。
撒き銭は自分の財産を他人に譲り渡すという行為ですので、それを行うことで徳を積み、あの世での処遇が要なるとも考えられています。
こういったお祝いやご利益といった明るい儀式を行うという部分は、初めて経験する人などに驚かれることもあるそうです。
花籠を使ってのおめでた葬礼には、中身の金額を故人の年齢と同じようにするであったり、二本で一対にして振る場所が決まっているなど、細かな決まり事がありますが、最近では花籠を使わずに紙に包んで受付などで手渡す方法にすることもあります。
小銭ではなくお菓子を撒くこともあるため、おめでた葬礼にも全国各地で見られる撒き銭同様にやり方の幅の広さが見受けられます。
ビール券
岐阜県の恵那市では、香典返しには「ビール券」をわたすことが普通だと考えている地域です。
岐阜県全体的にそういった考え方があるわけでなく、恵那市やその近辺のみがそういった風習があるのみで、岐阜県内でも特徴的な地域になっています。
香典返しの際にはほぼ必ずビール券が入っていると言われるほどですので、特定の香典返しがその地域だけほぼ必ず入っているというのは、全国的に見ても大変珍しいものです。
土葬の残る地域
岐阜県では軍部などのごくわずかな一部の地域だけですが、今現在でも土葬を行っている地域があると言われています。
日本では火葬が発達する以前には、沖縄県の風葬などを筆頭に、全国各地で様々な方法での埋葬が行われていて、火葬よりも土葬の方が歴史が長い地域も数多く存在します。
現在では全国でも火葬率は99%以上と言われてるほどに、ほとんどのお葬式が火葬で行われいますが、岐阜県では状況が違うと言えます。
土葬の率が高い地域で有名なのは、岐阜県から見て長野県の先にある山梨県ですので、長野県の両脇では今も土葬が残る地域が存在しているといえます。
土葬を行う地域では、今でも野辺の送りを行うことも珍しくないため、岐阜県の郡部では今でも古来から伝わる伝統的なお葬式の形が守られているようです。