土葬の率が高い
日本でのお葬式と言えば火葬が一般的になっているため、土葬を行う地域がそもそも珍しいという状況になっています。
日本の法律では、土葬を行うか火葬を行うかを決める法律は存在しませんが、土葬では墓地やその近辺などの環境に与える影響を考慮して、県などの条例で土葬を禁じている地域は多く存在します。
そういった理由から、土葬を「行わない」というより「行えない」という地域もあります。
山梨県では、現在でも土葬を認可している地域が多く、3~4割程度が今も土葬だと言われています。
ほぼ全てが火葬の地域も珍しくないため、とても高い割合だということがわかります。
土葬のための墓地というのも山梨県には存在します。
供人形
山梨県では、友引の日にお葬式を行う場合、棺の中に「供人形」というものを入れる風習がある地域があります。
日本の曜日の考え方のひとつに「六曜」というものがあり、そのうちの一つが友引です。
友引というのは元々、勝負がつかないため共に引くといったような意味でしたが、同じ読みでも「共引き」や「友引き」などがあるため、それらの意味が混同しているとも言われています。
お葬式の場合、友引きという文字には友を引くという意味があるため、故人の魂があの世に行く時に友を一緒に連れて行ってしまうという考え方ができます。
そのため、友引にお葬式をすると、友人や身内などに不幸が続いてしまうと考えられています。
友引には火葬場がお休みになっていることも多いですが、やむをえず火葬をする場合、棺の中に「供人形」というものを入れることで、身代わりになってもらい、安心してお葬式が行えるというものです。
このような風習は京都府や大阪府などでも有名で、そちらの地域では友人形と呼ばれています。
出棺の時には「仮門」から
山梨県では出棺のために「仮門」を建てる風習が色濃く残っています。
仮門というのは、竹を編んで作られた門で、地面に両端を刺して作る大きなものもあれば、両端は人が持ち上のアーチの部分だけを作る小さめの物まで大小さまざまなものがあります。
この仮門は家の庭や玄関の前など、その家の造りによって作る場所も変わってきます。
この仮門の下をくぐるようにして出棺させて、くぐり終えたらすぐに仮門は取り壊されます。
仮門には、この世とあの世の境目やあの世の入り口としての役割があり、ここから出て行くことで故人の魂をしっかり旅立たせることができます。
旅立ってすぐに仮門を取り壊すことで、魂がこの世に戻ってきてしまうことを防ぐ意味があります。
故人の魂を送るという意味だけでなく、魔除けという意味でも大変重要な風習です。