仮通夜と本通夜
佐賀県では葬儀や火葬を行うのは午前中であるべきだという考えが根強いです。
そのため、午後に亡くなられた場合には、納棺をして午後から通夜が始まることを避けるため、納棺をせず遺体を安置した状態で仮通夜を行い、次の日の午前中から本通夜を行うという形で葬儀を進めていくこともあります。
仮通夜も通夜の一部ではありますが、遺族や親族以外が呼ばれることはほとんど無いため、参列者の居ない状態で故人と一緒に過ごす時間を大切にすることが主な目的とする意味です。
そういった理由でなら、全国的にも仮通夜を行う地域は数多く存在しますが、午前午後という理由から仮通夜を行うことがあるという地域は珍しいです。
枕団子が49個
故人の枕元に供える枕団子は、全国的には6個というのが一般的ですが、佐賀県の一部の地域では8倍以上の49個も用意することがあります。
団子そのものは普通の物と変わらず、上新粉などの米粉を一口大に丸めて、蒸したり茹でたりしたものです。
この49という数になった理由には諸説ありますが、最も有力なのは四十九日の数だというものです。
6個は六道
枕団子が全国的に6個で定着した一番の理由には「六道」の考え方があるといわれています。
六道とは下から順に、「地獄道」「餓鬼道」「畜生道」「修羅道」「人間道」「天道」の六つの道のことで、人は亡くなるとこの6つの道を行き来して悟りを開いたものから成仏すると考えられていて、それぞれの道でお腹が空かないように団子を1つ食べられるようにということから、未知の数と合わせた6個になったといわれています。
このような六道の信仰は六地蔵などの形でも広まっていて、日本では全国的に庶民を中心に古くから根強く信仰されています。
49個は四十九日
葬儀や仏教の生死感における49という数字で最も重要なのは四十九日です。
四十九日は一週間を七日と考えると七週間にあたります。
この七週間の間に毎週閻魔大王の裁判を受けて、四十九日に最終判決を受けて、個人の魂のあの世での処遇が決まるというのが四十九日の主な流れです。
そのため、裁判にあたる日には法要が行われ、少しでも良い処遇になるようにと祈るのが初七日法要やそれ以降の法要の目的となります。
特に四十九日が重要であることや、四十九日が終わると忌明けとなって普段の日常に戻るというのも、全てこういったことが理由になっています。
その四十九日まで一日一個ずつ食べられるようにということで、枕団子を49個用意するようになったといわれています。