長崎県の一部地域の独特の風習やしきたり
長崎県には日本海に多数の島々があります。島ごとに独自の文化があり、お葬式に関するしきたりなどにも細かな違いがあります。
そのため、長崎県内でも一部の地域のみで伝わる風習やしきたりなどが多数存在しています。
「水かけぎもん」「逆さぎもん」
長崎県の島の中でも一部の地域では「水かけぎもん」や「逆さぎもん」という風習があります。
亡くなった方のよく着ていた着物や衣服を、わざと裏返しにしてつるします。それを七日間にわたって、水をかけて濡らしたままにおきます。
この風習が始まった詳しい理由ははっきりしていませんが、衣服を水で清めることで死という穢れを取り除こうという考えが元になっているという説が有力です。
「天冠」や「宝冠」 といった死装束
長崎県の一部の地域では、遺族が火葬場に向かう時には額に白い三角の布を着ける風習があります。着けるのに性別や年齢などは関係無いようです。
この白い三角の布は本来は故人が身に着ける物ですので、遺族も故人と同じ格好になるという意味があります。
同じ格好をして故人をお見送りするというだけでなく、白にはこの世とあの世の境目という意味もあるので、境目まで故人とご一緒したいという考え方も、こういった格好をする理由の一つだと言われています。
島原の「御目覚まし」
島原の地域では現在の一般的なお葬式の風習で言うと「香典」にあたる「通夜見舞い」というマナーがあります。
お通夜の時に近隣の人が五合~一升の米を持ち寄るという習慣で、お葬式の準備などで出費がある遺族も「御目覚まし」のおかげで困らずに済むようにという考え方が元になっていると言われています。
現在では全国的に広まった「香典」に取って代わられて無くなりつつありますが、お米の代わりに数百~千円ほどを「御目覚まし」と書いた封筒に入れてわたす人も居ます。
この場合香典とは別だということで、香典返しのような返礼は必要ではないという考え方もありますが、最近では香典返しを少し多めにしてお返しすることが多いようです。
西日本では一般的な風習も行われる
長崎県は西日本でも最西端の県ですので、西日本で広く伝わっているお葬式のしきたりなども行われています。
茶碗を割ったり、柩を回したりといった別の地域でもよく見られる風習がその一例です。
そういった風習を行う理由やタイミングにも他の地域との大きな差は無いので、長崎県のお葬式に初めて参列する時には、まずは西日本の一般的なお葬式の流れを学ぶといいでしょう。
ただし、前火葬と後火葬の地域が長崎県内では混在しているので、事前に聞いておくことで驚いたりせずに済みます。