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神楽とは何か?神に捧げる舞、死者を送る舞 神楽の奥深き世界

神社で行なわれる神事の中でも神楽はパフォーマンス性からも広く知られている。一般的には五穀豊穣や家内安全などを願い、神々に捧げる、「ハレ」の舞台で行われる舞楽のことである。その一方で、死者の霊を浄化させ極楽へ往生されるための鎮魂儀礼としての神楽も存在するという。

神楽とは何か?神に捧げる舞、死者を送る舞 神楽の奥深き世界

神楽

神楽は神社の奉納祭などで神を祀るために行われる舞楽である。神話や伝説をモチーフとした舞いや音楽を神前に捧げ、家内安全、一族繁栄、五穀豊穣などを祈る。神楽には宮中において祭祀が継承されてい「御神楽」と、巫女・神主・山伏らの宗教者や、民間の人々によって広く伝えられてきた「里神楽」がある。近世には民衆芸能として広がり、能や歌舞伎などにも影響を与えた。日本には各地に鎮守の森があり五穀豊穣を祈る祭りが行われた。そこで行われる田楽や盆踊りなどの村人たちの踊りも神楽の一種といえる。いずれにしても神楽とは神への無形の供物といえるだろう。その中には死者に対する鎮魂の儀式として行われるものがあり、神楽の本質は鎮魂を目的とする宗教儀礼であるとの説がある。神楽の源流は鎮魂であるとした折口信夫(1887−1953)に始まる研究により、鎮魂儀礼としての神楽が各地で発見されていった。

浄土神楽

中国地方の神楽を研究していた岩田勝(1926−1994)は、神楽には死者を供養し極楽浄土へ往生させるための鎮魂の儀式であるものが存在すると考え、これを「浄土神楽」と呼んだ。神事である「神楽」に仏教の「浄土」をかけたこの名称には「神仏習合」という日本独特の信仰形態が表現されている。岩田が指摘した中国地方の事例では、術者が「神子」と呼ばれる依代に冥途を彷徨っている死者の霊を呼び出し、神子が神楽を舞うことで浄化させ極楽往生させるという。岩田の後には研究者が続き、様々な事例が発見・考察された。さらに時代が下ると中国地方の神楽という歴史的事例だった「浄土神楽」が、神楽のジャンルとして一般化され研究が進むようになった。

大神楽「浄土入り」と、いざなぎ流「ミコ神」神楽

一例として奥三河(現 愛知県東栄町豊根村)の花祭で行われる大神楽「浄土入り」がある。「大神楽」とは、複数の村落が合同で三日三晩行われる祭礼で、安政3年(1856)を最後に途絶えたが,平成2年(1990)に復元された。「浄土入り」は還暦をすぎた者が彼岸の入口とされる霊山「白山」に入る様を演じる。新しく生まれた村の子「生まれ子」が神の子「神子」となり、無事に成人(元服)を迎える「生まれ清まり」の儀礼。そして還暦を迎えた者が仮に死んで、彼岸とされる白山に入り、再び生まれかわって誕生する「浄土入り」の儀礼。これらを舞や能などの芸能を交えて行われた。
大神楽「浄土入り」は「極楽浄土」への往生と、この世への再生を演じるわけだが、浄土思想では極楽浄土は安住の地ではなく悟りを得るための修業の地である。極楽に往生することを「往相」、悟りを得て再びこの世に戻ることを「還相」という。「浄土入り」は、まさに仏教の概念を神道の儀式で実現させた、まさに神仏習合の形といえる。

また、以前、筆者が取り上げた、高知県旧物部村(現香美市物部町)の陰陽道「いざなぎ流」の祭祀「取り上げ神楽」「迎え神楽」も「浄土神楽」として研究されている。「浄土入り」が今生の人たちの修行であるのに対し、いざなぎ流のものは死者の霊を「修行」に導く神楽である。いざなぎ流では冥途を彷徨う死霊を家の守護神「ミコ神」として育てて祭り上げる。この場合は家を守護させるので、極楽に往生するわけではないのだが「浄土神楽」が、五穀豊穣などほ「ハレ」の儀式とは別の、死者つまり「ケガレ」に対する浄化儀礼を指すようになっていることがわかる。

神や死者に捧げる舞い

元々日本には極楽浄土のようなはっきりした他界観は存在せず、「黄泉」「冥途」といった曖昧な世界が共有されていた。そこに仏教が伝来し、さらに浄土系仏教の「極楽往生」の概念が根付いた。そして神仏習合の中で、日本古来の舞楽による祭祀・神楽と結びついたと思われる。

巫女、シャーマン、東南アジアのタンキーなど、神降ろしをする者に踊りは付き物である。踊ることで身体が活性化すると、精神を高揚しいわゆるトランス状態、変性意識状態になりやすい。そのような意識状態になると、この世ならざるものと接続するチャンネルが開かれるようである(科学主義者なら脳内麻薬が見せる幻影と言うだろうが)。そこには黄泉の世界を彷徨う親しい死者の霊もいただろう。極楽浄土の概念が身についた人たちは、彼らを往生させたいと願った。こうして「ハレ」の儀礼だった神楽が「ケガレ」の浄化に変貌したのが浄土神楽だったのかもしれない。

なぜ踊るのか

仏教伝来以降、現代に至るまでの伝統仏教諸宗派が、一遍の「踊り念仏」を最後にほぼ出揃ったのは偶然だろうか。近年は学校の授業にダンスが取り入れられているという。踊り、舞いは原始からの遺伝として組み込まれているのだろうか。それは何のためか。やはり他界とのアクセスのためと考えた方が面白い。

参考資料

■岩手県立図書館ホームページ「いわての神楽
■愛知県豊根村ホームページ「
■斎藤英喜「『浄土神楽』と『鎮魂』の解釈史─「死に向き合う宗教文化」論のために─」「佛教大学総合研究所共同研究成果報告論文集」第6号 佛教大学(2018)
■鈴木昴太「『浄土神楽』論の再検討―研究史の整理を中心に」『無形文化遺産研究報告』15号 文化財研究所東京文化財研究所 (2021)

ライター

渡邉 昇

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