一般的に納骨は四十九日のタイミングで行うことが多いようです。これは故人の霊が四十九日で成仏するといういわれによるものですが、現代では墓地やなどの事情や葬儀の多様化などで納骨をしていない家庭も増えてきています。しかし決められた場所・時期に埋葬しないのは違法ではないのでしょうか?
ここではそういった疑問を解くとともに、納骨をする際の流れを説明します。
納骨をしない人もいるって本当ですか
日本国内での墓地や埋葬に関する決まり事を定めた「墓地埋葬法」という法律があります。正式名称は「墓地、埋葬などに関する法律」ですが長いので一般的には墓地埋葬法と呼ばれています。
その法律では墓地以外の区域に埋葬または焼骨を納めてはいけないとあります(2章第4条)。また刑法では所定の手続きを踏まずに埋葬すること、自宅の庭などに納骨すると「死体遺棄罪」にあたることもあります。しかし実際にはいつまでに納骨しなければならないといった規定はないため、自宅でお骨を保管する分には違法ではないという見解があります。
そのため四十九日に限らず心の整理がつくまで納骨をしない人、お墓が用意できないので一周忌まで待つ人、もしくは「手元供養」といって遺骨をアクセサリーなどに加工して身につけている人もいます。
「四十九日までに納骨する」というのはあくまで仏教の考え方によるもので、納骨の時期は法律で決まっているわけでもありません。現代は特に家庭の事情や遺族の考えなどで納骨の時期を自身で決めたり、または納骨をしない場合もあるのです。
四十九日に納骨しない場合いつ納骨したらいいですか
四十九日に納骨をするというのは、仏教の教えから来ています。人は死後しばらくは「中陰」と呼ばれる世界をさまよい、生前の罪や行いについて裁きを受けながら旅をしていると言われています。そして死後四十九日目に裁きの結果が分かり来世での行き先が決まるようです。その日をもって故人は「霊」ではなく「仏」としてお墓や仏壇に祀られる存在となります。また遺族にとっても四十九日は忌明けを迎え日常に戻る日でもあるので、四十九日のタイミングで故人の遺骨をお墓に納骨することが一般的とされるのです。
とはいえお墓が整わないなどの事情で納骨ができないことがあります。一般的にお墓を一から発注すると、墓石の原料となる石材の輸入から加工、家紋や戒名などの名入れなども含めて3か月程度かかると言われています。これでは四十九日に間に合わないので一周忌法要と納骨式を同時に行ったり、あるいはお盆などの親族が集まった折に納骨を行うこともあるようです。
納骨の時期は法律で決まっているわけではないのでいつでもいいのですが、やはり一周忌・三周忌といった法要と、親族が多く集まりやすいタイミングを計って行うことが多いようです。
納骨する前に準備するものはありますか
ここではお墓がある場合の納骨について説明します。
墓地に遺骨を納める際、一般的には納骨式を行うことになります。まずはこの納骨式の手配が必要になります。
具体的な式の流れとしては、墓地に移動した後に施主の挨拶、次いで僧侶の読経と焼香があり、石材店など業者に墓石を動かしてもらってからの納骨の後に再び施主の挨拶があります。その後レストランなどに移動して「精進落とし」と呼ばれる会食の席を設けることがあります。
ですから納骨式の手配には親族が集まれる日程の決定、僧侶とのスケジュール調整、当日墓石を動かせる業者の手配に、場合によっては墓地まで移動するマイクロバスなどの手配も必要になります。また法要後に会食をするなら食事の手配も早めにしておいた方がいいでしょう。
また納骨式当日は僧侶に手渡すお布施のほか、墓地に遺骨を埋葬するために名義人の名前が入った墓地の使用許可証・埋葬許可証(死亡届を提出した際に発行される「火葬・埋葬許可証」)・印鑑が必要になりますので忘れないようにバッグなどに入れておきましょう。
ちなみに納骨式に僧侶に渡すお布施は、法要・墓地までの交通費(御車代)・食事代(御膳料)でそれぞれ1~3万円が相場とも言われていますが地域やお寺によっても変わってきますので、「皆さんどのくらい払っているのか」といった形で確認してもいいでしょう。
開眼供養・閉眼供養について教えてください
お墓に納骨すると言っても、開眼供養をしないうちは納骨ができません。
まずお墓は実際にお参りの対象として「使える」ように魂を入れる儀式が必要になります。これを「開眼供養」(開眼供養)と呼びます。宗派によっては「お性根入れ」「魂入れ」などとも言われますが、いずれも使用前のお墓にお供え物をし、僧侶にお経をあげてもらう法要のことを指します。
開眼供養が済んでいなければ菩提寺に依頼する必要があります。この場合は開眼供養と納骨式を同時に行うこともありますが、開眼供養は一般的に祝い事とされているので、仏事である納骨式と一緒に行うと招いた参列者が服装や香典などで混乱することがあります。遺族にとってもおそらく初めての経験となると思いますので僧侶や年長者と相談して、参列者に気を遣わせないよう服装などについて簡単に指定した方がいいかも知れません。
また開眼供養当日は乾物などお供え物も独特になってきますので、これについてはお寺などに確認した方がいいでしょう。
開眼供養とは反対に、遺骨を別のお墓に移動するなど、いわゆる「墓じまい」をする時は「閉眼供養」(へいがんくよう)というお墓から魂を抜く儀式も必要になってきます。この開眼供養・閉眼供養は仏壇や位牌を使用したり処分する際にも必要になってくる儀式なので覚えておいて損はないでしょう。