お彼岸とは「秋分の日」「春分の日」を中日とした前後3日間、春と秋の各7日間のことを指します。この間はご先祖様に想いを馳せる日としてお墓参りや法要をすることがあります。とはいえ具体的にどんな過ごし方をすればいいのでしょうか。そんな疑問にお答えしました。
お彼岸の間は何をするの?
お彼岸は春と秋の2回あります。これは太陽がそれぞれ「春分点」「秋分点」と呼ばれるものを通る日を春分の日・秋分の日として、これを中日にした前後3日・各7日間を「お彼岸」と呼び、お墓参りや仏壇に手を合わせることでご先祖や仏様のことを思い出す期間としています。この期間中には自宅の仏壇を掃除して清めたり仏具もきれいにして、花や水を取りかえお供え物をしておきます。またお墓参りをする場合はお墓の掃除もします。
お彼岸はお盆とは違って先祖の霊が家に帰ってくるのではなく、こちらから先祖を訪ねる期間です。ですからお盆のように特別な祭壇を作るといったことはしません。お墓や仏壇などを掃除してお供えを用意するのは、客として相手先を訪ねる時には身なりを整え手土産を持参する、それと似たような配慮です。
またお彼岸の期間にお墓参りや法要を営むことがあります。宗派によってはお彼岸は「極楽浄土に最も近づく日」と言われ、寺院でも「彼岸会」という法要や仏事を行うことがあります。お墓参りにはお墓を掃除してお参りし、彼岸会に参列する場合は場合によってお布施が必要になることもありますので、掃除用具・お供え物・花・線香にろうそく、余分のお金があると安心です。
さらに7日間あるお彼岸のうち、お墓参りや法要をしない残りの6日間を利用して「六波羅蜜」(ろくはらみつ)という修行をすることもあります。これは浄土(彼岸)と俗世間(此岸)がいちばん近くなるお彼岸のタイミングで、自己を振り返り悟りを開くために六つの課題を設けて修行をすることです。
六波羅蜜は人に施しをしたか、戒律・モラルを守った生活をしているか、常に努力をしているか、多少苦しくてもこらえることができるか、心は落ち着いているか、正しい判断力は持てているかという六つの項目について振り返る機会でもあります。なんとなく気に留める程度でも、ご自分を振り返るきっかけになるのではないでしょうか。
おはぎ?ぼたもち?これはお供え物ですか
お彼岸のお供え物は普段の法要やお盆と変わりありませんが、家庭によっては「おはぎ」「ぼたもち」と呼ばれるものを作ったり、買ったものをお供えすることがあります。おはぎ・ぼたもちはどう違うのか?という問いには、地域による呼び方の違い、粒あんかこしあんかの違い、季節による呼び方の違いなど色々な説があり一概には言えません。ただし一般的には両者の違いは特になく、春に作られるものを満開のボタンの花に見立てた「ぼたもち」、秋に作るものを小豆の粒のような小さな花を咲かせる萩に見立てた「おはぎ」と呼ぶことが多いとされています。
おはぎ・ぼたもちはお彼岸のお供えとして最適なものです。お供えをするのは仏壇を掃除するお彼岸の初日「彼岸の入り」でいいでしょう。
おはぎ・ぼたもちはもち米を蒸して丸めたものを、小豆で作ったあんで包んだお菓子です。現在はきな粉や枝豆をつぶした「ずんだあん」で作られることもありますが、本来は小豆で作るものです。これは古来から赤は魔除けになると信じられてきたため、神道だけでなく仏教でも赤を重要視しているからです。加熱されていない小豆は赤い色をしていることから、日本では古くからお赤飯などお祝い事や儀式の席では小豆を使った料理が振舞われていました。またおはぎに使う小豆あんを作る際に砂糖を多く使います。かつては砂糖が貴重品だったことから、大切なご先祖さまや仏様に供えるものとして、お彼岸におはぎやぼたもちをお供えしてきました。
また諸説ありますが砂糖が貴重という同様の理由もあり、「落雁」(らくがん)という砂糖を型で固めた食べ物をお供えすることもあります。
ただし落雁はともかく、おはぎやぼたもちは日持ちのしない食べ物です。お供えして一通りお参りを済ませたらその日のうちに頂くようにしましょう。
お墓参りに行けないのですが
お墓参りができないのなら無理をすることはありません。自宅で仏壇などに手を合わせるのも先祖に対する敬意になるでしょう。また本来お墓は決まった日時でお参りする義務はないので、命日やお盆など他のタイミングで無理のない日に行った方が墓参者も気持ちよくお参りできるので、ご先祖様も喜ぶのではないでしょうか。
お彼岸にはお墓参りをするのが一般的ですが、墓地が遠いなどの事情でお墓参りができないことがあります。さらに季節の変わり目でもあるので地方によっては雪でお墓が埋まっている、台風が来ていてお参りできないといったことも多いものです。お墓は先祖と語り合える場でもありますが、気持ちさえあれば家の仏壇や写真などでもいいのです。
まとめ
お彼岸には春と秋、年2回あります。どちらも先祖の霊や仏様を思い出す機関として仏教では大切にしています。7日間のうち初日の「彼岸の入り」で仏壇や仏具を掃除しお供えをします。お供えは故人の好きなもの、花は故人の没年数に合わせて白から多色のものなどを供えます。お彼岸のお供えとして落雁やおはぎ(ぼたもち)を供えることもあります。お墓参りをする際は掃除用具などの準備、彼岸会と呼ばれる法要をする際はお布施などの準備も必要です。