お彼岸は真東から、極楽浄土があると言われている西方に太陽が移動することから「この世とあの世がつながる日」と言われてきました。この機会に自らの行動を戒め、同時に先祖を敬う期間としたのが春と秋のお彼岸です。
この期間は祝日ということもあり、お墓参りや法要で親族を訪ねることも多くなります。ではこういった場合のマナーはどうしたらいいのでしょう。
初彼岸には何をするんでしょうか
新盆または初盆のように、お彼岸にも「初彼岸」があります。これは故人が亡くなってから初めて迎えるお彼岸のことですが、初彼岸は四十九日を迎えた後であることが条件なので、四十九日の法要を済ませる前にきたお彼岸は故人にとっての初彼岸ではありません。例年通りにご先祖様に手を合わせるための期間とします。
では初彼岸には何をするのかというと、特別なことは何もありません。よほどのことでなければ親族を招く必要もなく初彼岸としての法事をすることもありません。しいて言えば普段よりお供えや花を立派にして普段より仏壇やお墓をきれいに掃除したうえでお参りするくらいです。
お彼岸の服装は決まっていますか
お彼岸のお参りは基本的に地味なものであれば平服で問題ありません。自宅を訪ねる際には無地のワンピースやダークカラーのスーツなど、あるいは派手にならない程度のカジュアルな服装でもかまわないでしょう。ショートパンツやノースリーブといった極端に肌を露出した服装はふさわしくありませんので、時季にあったすっきりとした服装を心がけましょう。
またお墓参りをする際には、お墓の掃除を手伝うことがあります。この際は汚れの目立たない暗い色・動きやすい服装で華美にならないものを心がけるといいでしょう。スカートやシフォン素材など、繊細かつ引っかかるおそれのある服装は避けた方が賢明です。
お彼岸の法要やお墓参りに招かれる機会は少ないと思いますが、お彼岸の期間は祝日であり、また春休みなどの長期休暇が取りやすいため先方に挨拶をしてお線香を上げたいと思うこともあるでしょう。
お彼岸のお参りに行く場合は、あらかじめ電話などで先方に「この日に自宅を訪ねてもいいか」「お墓参りをしてもいいか」確認するようにします。連絡なしで訪問すると先方もお墓参りに出かけていたり、すでに先客があったりするからです。墓地を訪ねる際にも連絡を入れたほうがいいでしょう。お墓参りの際に連絡することで、お供え物が重複したり多すぎて供えきれなかった……といったことが防げます。
初彼岸法要に香典やお供えは必要?
初彼岸に法要をする場合は香典を包むことがあります。また法要がなくお墓参りだけといった場合にはお供え物のみの持参です。墓地の天候や気温に合わせて冷たいジュースを持っていくなどの配慮をするとなお丁寧でしょう。
ただしお金に関して注意点があります。初彼岸法要は四十九日や年忌法要と違い大きな法事を行うことは少なく、家族のみで行うこともよくあります。そのためお金を包んでも辞退されることが少なくないようです。この辺りは親族や家の年長者に相談し判断していくしかないでしょう。
お金を包む場合の初彼岸法要の相場は5,000円程度だと言われています。この金額は法事で会食の席があったかなどによっても変わってきますが、一般的に会食のある初彼岸法要なら5,000円~1万円程度の香典に加えてお供え物を持参することが多いようです。一方でお金を受け取らない家の場合は、お供え物のみ・もしくは「御供物料」として3,000円~5,000円程度のお金を渡すことが多いようです。お供えの品を渡す場合の相場は2,000円~3,000円程度が平均的な金額とされています。ですから5,000円程度のお金とお供え物を持参して行けば間違いは少ないでしょう。
お金を包む際は香典としてなら表書きは「御仏前」、お供えとしてなら「御供物料」と書き、白黒で結び切りの水引を使用します。
お供えの品を選ぶ際には、日持ちがよく小分けにできるお菓子などを選ぶようにします。お彼岸のお供えは「おはぎ」や「ぼたもち」に代表されるように和菓子が多いですが、法要をするなら親戚が集まりお供えも余ることがあります。余った分を大勢で分けあえるように、あらかじめ個包装されて詰め合わせになったものがいいようです。
お供え物にかける掛け紙は、白黒で結び切りの水引が印刷されたものを使います(関西地方など一部地域では黄白のことがあります)。表書きは「御供」とし、「外のし」にすることが多いようです。これはどのお供えが誰から来たものかすぐわかるようにとの配慮です。
お彼岸中ならいつ訪問してもいいの?
これは先方の都合によります。そもそもお彼岸は「彼岸入り」から中日である春分の日もしくは秋分の日を経て、最終日の「彼岸明け」まで7日間あります。その期間内ならどの日にお参りをしてもかまいませんし、お墓参り自体にも決まった日時というものはありません。
まずは先方に確認して、早朝や夜遅い時間・食事時を避けるなどごく一般常識の範囲の時間帯でお互い空いている日に設定してもらいます。滞在時間はせいぜい1時間程度としましょう。