新盆とは故人の四十九日後初めて迎えるお盆のことです。一般的にこの日は親族を招いて新盆の法要を営みますが、そのためには祭壇やお供えなど、普段の法要などとは違う準備が必要になってきます。そこで初めてのお盆でも戸惑わないよう準備しておくと良いことについて回答します。
父が6月に亡くなりました。新盆は今年ですか来年ですか?
そもそも新盆とは四十九日後に初めて迎えるお盆のことを指します。お盆時期が故人の四十九日以前にあたる時は、新盆は来年の夏になります。ですから今年の6月に亡くなった場合、同年の8月にはまだ四十九日が済んでいないので新盆は来年の夏になります。
地方によってお盆を7月に行うところと8月にするところがありますが、旧暦を採用しているか新暦かの違いです。現代では一部の地域を除き8月に行うところが多いようです。一般的にはどの月でも13日から16日がお盆の時期にあたります。
新盆にも法要が必要なの?自宅・寺院で営む場合
また新盆には親族や故人と親交のあった人を招いて法要も行います。
自宅で行う場合も寺院で営む際にも、お盆の時期は予約がいっぱいになっていることが多いため遅くとも1~2か月前には菩提寺などに相談し、僧侶と日時を合わせておく必要があります。
寺院などで営む場合も同様に日程が決まったら親族に案内し、外で会食をする場合は会場や料理の手配などをするのは他の法要と同じです。また状況に応じて5,000円~1万円代の御車代・5,000円から2万円の御膳料に加え、僧侶へ渡すお布施も用意します。新盆のお布施の相場は4万円と言われています。
精進棚ってなんですか?自宅で用意できますか
新盆を迎えるにあたってまず自宅で用意しておくものは、精霊棚(しょうりょうだな)と盆提灯です。これらは12日までに用意しておきましょう。
精霊棚は宗派によって違いはありますが、ホオズキなどで飾ったお盆独特の祭壇を設けて旬の作物などを供えたり、精霊馬と呼ばれる先祖霊の乗り物を作っておくなど、故人や先祖の霊を家に迎えるために用意するものです。
今では白提灯と一緒に、精霊棚に使う物品がセットになった商品も売られているので仏具店などに尋ねるのもいいでしょう。
新盆の精霊棚を用意する場合は、位牌を仏壇からおろして、ござを敷いた精霊棚の中央に祀ります。棚の上部には結界を示す笹竹をつないだ縄を張り、盆提灯を表すホオズキを飾ります。
またお盆の時期は「施餓鬼会」といって、飢えた霊の供養と現世に生きる人間が功徳を積むために特別な施しをすることがあります。それが「水の子」と呼ばれる、ナスやキュウリをさいの目に切ったものと洗った生米を皿に乗せたお供えです。その他お供えはトウモロコシや瓜・スイカなどの季節の作物、団子やそうめんなど多くの食べ物を供えます。
他には桔梗などの季節の花に、ナスやキュウリで作った「精霊馬」を供えます。精霊馬は13日のお迎え時は頭を祭壇に向けて、16日にお帰りの際は顔をこちらに向けるようにします。
また浄土真宗では精霊棚を作りません。浄土真宗では古くから迷信を禁じており、「お盆の時期に死者が帰ってくる」といった仏教的なこともその範疇に入るようです。また浄土真宗の仏壇はあくまでも阿弥陀如来、仏様を祀るためのもので先祖の霊に拝むといった概念がありません。
そのため本来は盆提灯も飾らずお膳も供えませんが、全く何もしないのかというとそうではなく、故人や先祖が縁となり多くの子孫が仏の教えに触れることができたという意味で先祖に感謝し、供養ではなく先祖を通して仏の心を知る機会として捉えているようです。
またお盆の入り13日には門前で迎え火をし、16日は送り火で白提灯も燃やします。ただしマンションなどの集合住宅では焚火などが禁止されており、迎え火などもできないことがあります。トラブル防止のため、禁止事項が分からない場合は確認しておいた方がいいでしょう。
盆提灯は誰が用意するの?予算は?
現代では新盆の盆提灯、いわゆる白提灯は遺族が用意することが一般的です。新盆は故人が自宅に帰ってくる「初めての里帰り」にあたるため、迷わないように道筋を照らす提灯が必要です。新盆の場合は白一色の「白提灯」を用意しますが、かつて白提灯は親族が遺族宅に贈るものでした。提灯の数が多いほど生前に慕われた証でもあったのです。しかし現代では「御提灯代」と称してお金を送り、頂いたお金で遺族が購入することが多くなったようです。
白提灯を含む盆提灯には、天井から吊るすタイプのものと床に置くものがあります。しかし宗派による提灯の違いはないので、住宅事情や好みで選んでもいいでしょう。また数に決まりはないので一つでも二つでも大丈夫です。
ちなみにデパートで買うと仏具店よりも価格が高いことがあります。これはデパートで扱う仏具の殆どがお盆やお彼岸などの「シーズン商品」であり、特別催事として専門業者やスペースを借りていることが多いため、その分マージンが上乗せされているからです。
ですから余程の希望がない限り仏具店で購入した方が手ごろな値段で購入しやすいでしょう。
価格帯は吊るすタイプなら2,000円程度から、置き型では数千円~2万円程度、対になったもので2万円~3万円程度が相場のようです。