お墓参りに掃除はつきものですが、単にごしごし擦ればいいと思っていませんか?実はお墓掃除には、使ってはいけない道具やしてはいけないことがあります。またお墓の掃除に業者を頼んでいいのかも迷うでしょう。
今回はお墓掃除について必要な道具や仕方に手順、また業者に依頼するときの注意点に答えていきます。
掃除道具が借りられるようですが、無料ですか
お墓掃除には必要な道具がいくつかあり、現在はよく使う道具をセットにして売られていることがあります。ほうきやちりとり、バケツや手桶などは墓地によっては無料で貸し出しをしている所がありますが、お盆など墓参者が多い場合や墓地次第では借りられないことがあります。貸し出しをしているか事前に確認するのもいいですが、可能ならば持参した方が手間が省けるでしょう。
お墓は常に雨風にさらされているためかなり汚れています。また年に数回程度しかお参りをしない場合は雑草やゴミなど荒れていることがあります。ですからバケツや手桶・ほうき・ちりとりの他、墓石の汚れを落とすためのたわしやスポンジが必要です。たわしに関しては墓石を傷つける金属製のものは使ってはいけません。全体を擦るには固めのナイロン製のスポンジ、細かい部分の汚れを落とすには柄のついたたわしや、届かない部分には柄の長いデッキブラシのようなものを使うと墓石を傷めにくく汚れも落ちやすいようです。
それに加えて草むしりをすることもあります。手の保護と汚れ防止に軍手があるといいでしょう。草刈り鎌やシャベル、花器などを掃除する歯ブラシもあると便利です。さらに雑巾やゴミ袋は2,3枚持っていくといいでしょう。
さらに手荒れ防止のためのゴム手袋、頑固な汚れのために墓石用の洗剤が売られていることがありますので、持っていけばより万全です。
お供え物がたくさんあるのですが……
お墓掃除をする前には、まずお墓の前で一礼し「これから掃除させていただきます」といった気持ちで手を合わせます。それから周囲の草むしりやゴミ拾いを行い、地面をほうきで掃きます。植木があればきれいに切りそろえ、玉砂利が汚れていれば水洗いします(ざるがあると便利です)。それから墓石を水洗いし、花器やろうそく立てなどの道具類を洗っていきます。広い所から細部へと掃除していくのは家の掃除と一緒でしょう。
すでに前の人の残したお供え物や花がある場合は、腐敗したものや枯れたものなどは除きます。空いたスペースに持参したものをお供えしましょう。また全くきれいな状態だった場合は前の人の分を少し省いてもかまいません。
ただし前の花やお供えを置きっぱなしのまま掃除してはいけません。花器などの水が腐敗していることもあるので、必ず全て掃除してから水も取りかえ、前のものも含めて新しくお供えし直します。
墓石に水はかける?かけない?
時々「お墓の頭から水をかけるのは無礼だ」「水をかけた方がお清めになっていいだろう」といった論争になることがあります。これは結論から言うと「どちらかというとかけた方がいい」のです。
まず何を故人への供養とするかは人によって異なります。さらに仏教では水は「閼伽」(あか)といい死後の苦しみや飢えを救うものだと言われていることに理由があります。また墓石店の立場からすると炎天下の時期に冷たい水を浴びせるのは石にひびが入る原因にもなりますが、そのような状態にはめったにならないようです。そのためよほど抵抗がないなら、静かに水をかけて洗った方が墓石の劣化も防げて気持ちよくお参りもできるでしょう。
ちなみにお酒をかけるのは避けるべきです。墓石が劣化する原因は日光や湿気だけではなく、お供え物などからにじみ出る糖分などによるものやカビなどがあります。お酒をかけることで墓石の劣化が進むことが考えられます。
高齢などでお墓掃除が負担な時は
墓地が遠い、高齢で身体の自由が利かない……そういった場合にはお墓の掃除も負担になるものです。現在ではお墓掃除に特化した専門の業者もありますが、どのようにして依頼すればいいのでしょうか。
お墓掃除を請け負うのは専門業者だけではなく、便利屋と言われる人たちが業務の一つとして行っているもの、または登録制のボランティアスタッフなどさまざまなパターンがあります。業者に依頼する場合は一件数千円から1万円程度で行っていることが多いようで、なかには「お墓参り代行」も並行してやっている場合もあるようです。手順は一般の家庭で行うお墓掃除とそう変わらないようですが、専用のクリーナーを使って汚れを落とし、撥水加工をしてくれることがあるようです。また地面に除草剤をまき、掃除終了後は証拠になる写真を撮って見せてくれるところもあります。
こういった業者は高齢者だけではなく、海外赴任をしている人などにも良く利用されているようです。インターネットで見積りをしてもらうのもいいですが、墓石店と提携している業者も多いようです。まずは墓地や墓石を購入した店に尋ねてみるのもいいのではないでしょうか。