お盆を迎えるにあたって、精霊棚やナスやキュウリの馬を作るなど独特の行事があります。それらを作る意味やマナーなどが分かっていればスムーズにいきますが、慣れないうちは何から手を付けていいか分からないこともあるでしょう。ここではお盆を迎えるにあたっての疑問に答えながら、どのような流れでお盆を迎えるかについても解説していきます。
お寺への依頼はいつしたらいいですか
7月中から遅くとも8月初旬までには済ませるようにしましょう。
一部の地域を除いて、お盆の入りは8月の13日です。この日に先祖の霊を自宅に迎えるため前日までには準備を終える必要があります。この準備とはお墓参りやお盆の法要などの準備も同様です。またお墓参りに合わせて卒塔婆供養をするならその依頼もお寺にする必要があります。
ただしお盆の時期はどの檀家もお経をあげてもらいたいため、予約が込み合うことがあります。また僧侶は当日スムーズに檀家を回れるよう、希望時間に合わせてどのルートを通るかといった計画を立てていることがほとんどです。ギリギリになって依頼をすると予約が取れないばかりか、僧侶のスケジュールが狂うので他の檀家にも迷惑をかけることになりかねません。
こういったトラブルを防ぎスムーズに依頼ができるように、7月には法要やお墓参りに集まれる日にちを親族間で調整しておき、場合によってはさらに会食や案内などの手配についても準備しておくといいでしょう。
精霊棚とは?馬はどちらを向くのが正解ですか
宗派によっても異なりますが、お盆の入りまでに精霊棚(しょうりょうたな)という先祖霊を迎えるための祭壇を作っておくことがあります。
精霊棚は「盆棚」と呼ばれることもありますが、一般的には座卓など低めのテーブルを用意し、その上に真菰(まこも)というゴザを敷きます。真菰を敷いたら仏壇から位牌・過去帳を取り出し中央に据えます。さらにお鈴や香炉などの仏具も精霊棚に配置し、中央にご飯や香の物などを揃えた「霊供膳」(りょうぐぜん)という御膳、さらに地方によっては団子・そうめん・トウモロコシや瓜などの季節の作物、あるいは「水の子」と呼ばれる蓮の葉に乗せた米・キュウリ・ナスなどのお供えをすることもあります。お供えする花はキキョウや萩などの季節の花や、最近では菊などのいわゆる「仏花」として生花店で売られているものが生けられます。
精霊棚の上に笹などを巡らせて結界を張ることもありますが、近年ではそこまでしている家庭は少ないようです。ただしいずれの場合も位牌や過去帳など故人や先祖を表すものについては祭壇の一番上あるいは中央に配置します。
またナスやキュウリで馬や牛を作るのは「精霊馬」といいます。これはナスやキュウリを先祖霊の乗り物に見立てたものです。13日の盆の入りまでに適度な長さに切った麻幹(おがら)または割りばしを刺し、ナスで牛を、キュウリで馬を作ります。牛も馬も表情や飾りは特に作る必要ありません。
諸説ありますが、キュウリで馬を作るのは「早くご先祖様がやってくるように」、ナスで牛を作るのは「ゆっくり景色を見ながらお帰りください」といった願いが込められているようです。
これらの精霊馬は盆の入りには頭(一般的にはヘタのある方)を仏壇や位牌の方に向け、盆明けに送る際は反対側に向けます。ただしこれも宗派や家庭によって東西に置く、玄関に置くなどの違いがあります。また精霊馬にしたナスやキュウリは食べずにお焚き上げをしてもらうか、土に埋める、あるいは半紙などの白い紙に塩と一緒に包んで捨てるなどの方法で清めてから処分します。
マンションの都合で迎え火ができません
一般的には13日に玄関前で麻幹(おがら)を焚いて迎え火をし、16日の盆明けに送り火をします。しかし現在ではマンションなどの住宅事情もありやらない家庭は増えていますので、さほど気にしなくても大丈夫です。
送り火は「先祖に少しでも長くいてもらいたい」という理由で夜遅い時間にすることがあります。送り火は騒いでするものではありませんが、住宅事情にそぐわないことをわざわざして周囲の反感を買うこともありません。
迎え火ができない分、家にある盆提灯の明かりを絶やさないようにするなどでも十分です。盆提灯についてはLEDライトで発火の心配がないものも売られているので検討してみてはいかがでしょう。
お盆の法要はどんな流れになりますか
お盆、特に故人が四十九日を迎えた後に初めて迎える「新盆」には親族を招いて法要を営むことがあります。この場合、招かれた場合も招く場合も通常の法要と特に変わることはありません。ただし新盆も年忌法要と同じく節目となる法要なので香典やお布施は少し多めであることもあります。
ただ法要に招かれたは会食の有無によっても香典やお布施の金額が変わります。香典に限っては自宅で会食をしない分には5,000円~1万円程度、それに加えてお供え物を持参していくといいでしょう。新盆の場合は事前に「御提灯代」を送ることもあります。
多くの法要は着席後に僧侶が読経し、焼香の後に法話や施主の挨拶があります。自宅での場合も流れはほぼ一緒ですが、親族のみの法事になることがほとんどなので服装も平服でいい場合があります。詳細については親族の年長者にそれとなく訊くのがいちばん間違いがなさそうです。