四十九日の忌明け後、故人が初めて迎えるお盆を新盆と呼びます。親族や親しい人を呼んで法要をすることが一般的とはいえ、初めて新盆に招かれた……という方も多いのではないでしょうか。
ここでは新盆に招かれた際の訪問マナーや法要の流れ、どんな言葉をかけたらいいか、服装や持参するお供え、香典などについて解説していきます。
親族だけの集まり、喪服では大げさですか
新盆は自宅に僧侶を呼んだり寺院などで法要を営むことが多いようです。この法要に招かれるのは親族あるいは故人の知人友人など、葬儀とは違ってごく親しい間柄になります。また夏場でもあるため訪問の際の服装は必ずしも長袖の正礼装である必要はありません。略式喪服または黒・紺・グレーなどの地味なスーツやワンピースなどの平服という場合もあります。
とはいえ家庭や地域により許容範囲は異なるため、前もって何を着て行けばいいかを施主に確認するか最初から喪服で行った方が無難です。喪服で訪問する際は気温など状況に合わせて調節できるよう、半袖のシャツやワンピースに上着、またはアンサンブルといった脱ぎ着しやすい服装がいいでしょう。
新盆見舞いは「御仏前」「御霊前」?
新盆に招かれたら香典や新盆見舞いとしてお供えの品を持参することが一般的です。ただしこれには地域差があり、親族が提灯を贈る地方・提灯のかわりに「御提灯代」というお金を渡す地方・香典とお供えの両方を持参する地方など違いがあるようです。また家庭によっても異なるるため、事前に親族の年長者や菩提寺などにどうしているかを尋ねておくと不安が少なく済みます。
新盆見舞いにお供え物を持参する場合は、故人の好物・果物や日持ちのするお菓子などが無難です。特にお盆は親族が多く集まるため法要後に分けることのできる個包装の詰め合わせがいいでしょう。ただゼリーや水ようかんなどは季節柄ほかのお供えと重複することが多いので避けた方が無難かもしれません。
その他お供えとして線香やろうそく、神道なら清酒や乾物もいいですが神道では線香やろうそくをあげる習慣がないので持参してはいけません。
掛け紙(のし)の表書きは「御供物」、水引は結び切りにします。水引は黒白が一般的ですが、関西など一部地域では黄白も使うようです。
香典あるいは新盆見舞いとして現金を包む場合は、のし袋に書く表書きは「御仏前」、神道の場合は「御供物料」と書きます。ちなみに「御霊前」は四十九日以降の故人に対しては使わないので注意しましょう。
香典の相場についてですが、1万円前後が平均的な金額のようです。これは一人当たりの金額なので夫婦で訪問する際には2万円包むことになります。またお供えの品を持参する場合には3千円~5千円のものが相場のようです。
なお現代では少なくなりましたが、提灯を贈る場合は「白提灯」を選びます。新盆には木の部分が白木のものを選ぶのが一般的ですが、家庭によっては毎年使えるように新盆専用ではないものを購入することもあるようです。これについては飾るスペースなどに限りもあるので「誰がいくつ贈るか」など親族で相談してから決めた方がいいでしょう。
どんな挨拶をしたらいいのでしょうか
一般的に新盆は自宅あるいは菩提寺で法要を営みます。お寺で行う場合は式次第に従い、着席した後に施主の挨拶と僧侶による読経・焼香、終了後に再び施主の挨拶があり、場合によっては法話や会食の席が設けられます。この際の挨拶は施主へのねぎらいの言葉と、「新盆供養のお招きありがとうございます」というお礼でいいでしょう。仏事とはいえ新盆は故人の初めての「里帰り」と捉えるためお礼の言葉でも差し支えありません。
これは自宅での法要、または単に自宅に招かれた際にも同様です。故人の供養ができることへの感謝と訪問先の主人や家族へのねぎらい、招かれたことへのお礼を述べるような内容であれば特に形式にこだわることはないでしょう。
日時指定がない場合はいつ訪問したらいいの?
家庭によっては新盆の法要に招くのではなく、日時を決めず自由にお参りしてもらうといった形にしていることもあります。そういった場合はいつ頃訪問すればいいのでしょうか。
まず迎え火・送り火をする日は避けるようにしましょう。具体的には盆の入りと言われる13日(地方によって7月または8月、さらに年によって日にちが前後することもあります)、盆明けの16日は新盆を迎えた家庭では祭壇などの準備または始末をしていることがありタイミングがよくありません。
また一般常識として訪問には迷惑になる時間帯、食事時や早朝・夜間は避けるようにします。
ですから特に日時の指定がなく新盆に招かれた場合、14日~15日の午前中に訪問するのがいいでしょう。訪問客を迎える準備などのため、どの時間帯に訪問する場合にも事前に連絡を入れておくのがマナーです。