テレビで訃報が流れた時や、身近で「葬式」をする際に、「葬儀」「通夜」「喪主」「告別式」などの言葉をよく耳にするかと思います。誰もが一度は身内の葬儀を行う、もしくは参列しているといった経験があるはずです。または、これから経験していくことになるのではないでしょうか。
しかし、「葬式」について詳しく知っているという方は実は意外に少ないのではないでしょうか。「葬式」では色々な言葉を耳にしますが、その意味について、または違いなどをしっかり把握しているという方は、恐らくそれほど多くないでしょう。
ということで今回は、その中でも違いが分かりづらい、といった声の多い”「葬儀」と「告別式」の違い”について、詳しく解説していきます。
知っておくと、後々役に立つこともあるかもしれませんね。
混同しやすい、「通夜」「葬儀」「告別式」
「葬儀」、「告別式」だけでなく、「通夜」の違いもよくわからないといった方が多いとされています。さすがに何度も喪主を務めたことのあるといった方は、意味も違いもよくお分かりの方が多いと思いますが、初めて喪主を務める方や、参列する方にとっては違いも意味も分からない、混同してしまうといった方が多いと思いますので、まずは「通夜」についてのご説明からはじめます。
「通夜」の意味
通夜とは、故人と生前親しかった縁者が弔問に訪れ、最後の別れを惜しむ儀式のことをいいます。夜通しで行なう儀式なので、「通夜」とよばれていますが、最近では”告別式に出席できない人のためのお別れの場”とされてきています。また、本来「通夜」は夜眠らずに朝まで故人と共に過ごすものなのですが、現代では夜6時頃から一時間程度共に過ごすという、いわゆる「半通夜」が行なわれることが多くなってきています。今とは違い昔は死亡の確認が難しく、”一晩かけて確認をしなくてはならない”というような理由があったそうですが、現代ではそういったこともなくなり、さらに、自宅で通夜を行なう場合は別ですが、それ以外の場合ですと実際に朝まで共に過ごすということが現代の日本では難しくなってきているということから、「半通夜」が多く行なわれてきているのです。
また、「通夜」では死を悲しむだけでなく、故人との思い出や教えてもらったこと、故人から影響を受けたことなどを夜通しで語り合う、といった儀式でもあり、故人のことを思い出す大切な時間とされているのです。最近では、「必要ないのではないか?」といった意見もネットなどでちらほらと見かけますが、故人がどんな方であれ、少なからず、学んだことや影響を受けたことは一人一人あるのではないか、と考えられています。ですので、残された人たちで故人について語り合い、教えてもらったことをきちんと思い出して大切にし、故人の前で感謝の気持ちをしっかりと伝える時間は必要であると考えられます。
「葬儀」の意味
「葬儀」も「通夜」とほとんど似ており、「故人の冥福を祈って別れを告げる儀式」と大きく意味合いは変わりませんが、「葬儀」には宗教が深く関係しています。故人や、参列者の宗教観や宗派によって、若干異なる場合も多い儀式ですが、「お別れを偲ぶ会」であることは変わらないようです。
また、現代の「葬儀」はさまざまなスタイルで行なわれており、近年行なわれている「葬儀」は、大勢の会葬者に来てもらうものと、いわゆる「家族葬
が多いとされています。「家族葬」とは、家族が「葬儀」によぶ方を限定し、少人数でゆっくりお別れをするといった儀式ですが、「家族葬」は、家族だけでなく、親族や友人も呼ぶことができるというものなのです。最近では、このどちらかのスタイルのものが多いようですね。特に「家族葬」については、”盛大な葬儀ではなく、身内だけでゆっくりと静かにお別れがしたい”といった思いを抱えている方が増えてきているということなのでしょう。
「告別式」の意味
「告別式」とは、「亡くなった方に最後の別れを告げる」儀式です。意味合いとしては「葬儀」と似ているので、同じような意味でよく使用されていますが、「告別式
は”友人や知人などの会葬者”にとって、故人と過ごすことのできる最後の時間なのです。つまり、”故人の友人や知人は本来、「告別式」に参列する”ものなのです。と言っても、友人が「告別式」に参列できない場合は、「通夜」に参列する、といったケースも多くあります。本来、「通夜」とは故人と親しかった人のみで行なう儀式ではありますがこう言った場合は失礼にはならず、「告別式」に参列できなかった場合は、「通夜」に参列することもできるので、必ず「告別式」でなくてはならない、といった絶対的な決まりはありません。
「葬儀」と「告別式」の違い
「告別式」はかつて、「葬儀」が終わった後に会葬者がお骨をお墓まで送り、そこで「告別式」を埋葬前に行なう、という流れが主流でしたが、最近では「葬儀」と「告別式」を一緒に行なうこともあり、また、「葬儀」と「告別式」を異なる日に行なうといったことも増え、様々なスタイルで行なわれてきているのです。
そして、「葬儀」と「告別式」の”違い”についてですが、「葬儀」は一般的には「告別式」の前に行なう儀式のことを指し、さらに多くの場合、「葬儀」「通夜」「告別式」といった全般のことを言います。また「葬儀」は遺族が行ない、お坊さんがお経を読んでご冥福を祈る儀式であり、「告別式」は故人と縁のあった方々が最後のお別れを告げる儀式です。意味合いはほとんど変わりませんが、内容は少し異なります。
現代の「葬儀」「告別式」「通夜」
現代の日本では、学生も社会人も日々時間に追われており、お世話になった故人にきちんとお別れを告げたい気持ちはあるものの、どうしても式の時間に遅れてしまったり、最後までいることが出来なかったり、といったことも多くなってきています。本来であれば、とても大切な儀式ですので時間に遅れたり、途中で抜けてしまったりといったことは、マナー違反にあたるので良いことではありませんが、日々の忙しさからそうせざるをえないといった方が非常に増えてきているのです。ですから、「通夜」よりも「葬儀」や「告別式」は長時間にわたって行なわれるため、最初から最後まで参列することが難しいといった理由から、最近では「通夜(半通夜)
の方に参列するという方が多いようです。
「通夜」の場合は、焼香などがありますが「葬儀」「告別式」と比較すると、短時間ですむ上に、遅れても比較的参列しやすいとされています。しかし、こういったケースが増えているとはいえ、たとえ短時間ではあっても故人にご冥福をお祈りする気持ちや、感謝の気持ちはしっかりと持つことを忘れないようにしたいものです。