「遺骨をお墓に納める」行為や儀式という意味で“納骨”という言葉が使われていますね。また、”納骨”は、遺体を火葬した後に骨壷に収める時にも使われている言葉です。日本では多くの場合遺体を火葬したあと骨壷に納め、しばらくの間仏壇や祭壇などに安置して、その後、お墓や納骨堂などに納めることを「納骨」と言います。
納骨の種類は?
一般的な納骨の形は、お墓に納骨するやり方です。現代ではこのやり方が主流ですが、現代日本では納骨堂に納骨する形や、自然に散骨する方法も注目されつつあるのです。「納骨堂」は、火葬後の遺骨を納めるための建物をそう呼びます。その納骨堂の中には、遺骨を納めるロッカーのようなスペースがあり、契約した場所に遺骨と位牌を納めるのです。ここでは一時的に納骨する“期限付き納骨”や、永久に供養される“永年納骨”の2つの方法があります。ちなみに、“期限付き納骨”はお墓が用意できるまでの間に利用する方が多いようです。
「散骨」は細かく砕いた遺骨を“山”や“海”に撒き、最終的には自然と融合していく葬送の一つです。全てを散骨する場合もあれば、一部を散骨する場合もあります。特殊な人々が行う葬送と思われていた「散骨」ですが、ここ数年で大きく認知されてきており、現在の認知度は8割以上とされています。現代では「散骨」を望む人々がとても増えて来ているようです。
納骨はいつ?
“必ずいつまでにする”といった決まりは特にありませんが、一般的にお墓がある場合は、四十九日の法要の当日に合わせて納骨するケースが多いとされています。四十九日の法要ではお坊さんに読経してもらい、その後、納骨式も行なうという流れです。また、火葬が終わった当日に納骨するケースもありますが、気持ちの整理がつかないといったことやお墓が決まらないなどの理由で、数年もの間自宅に置いておく方もいるので、納骨の時期は人により様々だと言えます。つまり、納得出来る時に納骨することが大切なのです。
納骨式までの準備の流れって?
納骨の前に四十九日の法要を行なう場合には、事前にお寺に連絡をして、日程を決めておきます。土日に設定を希望する方が多いので、法要の予約はなるべく早めにしておくことが大切です。その次に、石材店に字彫りを依頼します。お墓に戒名や名前を新しく彫る場合は、石材店に依頼が必要なのです。納骨の日には、石を動かしてお墓の中に納骨をしますが、石を動かすなどの対応が難しい場合は、事前にお願いしておきます。また、納骨の際に必ずいる書類があるので、“火葬許可書”に“火葬執行済”と書かれた“遺骨埋葬許可証”を用意しておきましょう。また、霊園墓地を利用するときは墓や納骨堂の使用名義人の使用許可証と印鑑を持っていきます。
日程が決まれば納骨式に参列する参列者に、日程の連絡をします。その後、
お花・果物・お酒・和菓子などをお供えするため、お供え物を用意します。その際に故人が好きだったものがあれば用意しておきます。納骨式の後に、会食をすることもあるので、レストランなどの予約が必要な場合もあります。また、他にも参列者へ渡す引き出物の手配などの準備もしておきましょう。
納骨にかかる費用はどれくらい?
石のお墓に納骨する際にかかる大体の費用は、数万円〜10万円程度となる場合が多いです。いるものやいらないものを考えて、確認したうえで準備しておくことがいいでしょう。内訳は、石材店が墓石の開け閉めを行なったり、祭壇を準備したりなどの作業をする費用(約1万5千円~3万円)や、没年、戒
などを追加で彫る場合に発生する彫刻料(約3万円~5万円)、お坊さんなどを呼んだ際に必要なお布施や謝礼(約3万円~5万円)、自宅ではなく、霊園などを利用した場合の費用(約1万円~3万円)、塔婆をたてる場合に必要な費用(1本あたり約2千円~5千円)などです。また、墓石の開け閉めなどの作業に関しては、自分で“カロート”というお墓の下の方にあるお骨を収めるスペースの開け閉めをする場合は必要ありません。あらかじめ石材店に確認しておくことが大切です。その他には、手桶などの小物等の費用や、お花や好きだったお菓子などのお供え物の費用などがあります。手桶は、霊園によって設置している場所もあるので確認しておきましょう。
納骨堂に納骨する場合の費用はどれくらい?
先ほど石のお墓に納骨する場合の費用を簡単に説明しましたが、一方、納骨堂に納骨する場合の費用はどれくらいかかるのでしょうか。納骨堂では、管理しているお寺や管理事務所などが対応してくれる場合が多いので、室内型の納骨堂は、石のお墓で必要な納骨の際の彫刻などの作業が必要ありません。ですので、埋葬に関する費用は発生しないのです。ちなみに、ネームプレートなどがある場合は、契約の時にまとめて支払うことが多いようです。他にかかる費用としては、お坊さんに読経してもらう場合のお布施(約3万円~5千円)や、塔婆をたてる場合の費用(1本あたり約2千円~5千円)、お寺の本堂や法要室で納骨を行なう場合の費用(無料の場合と費用がかかる場合あり)、お花やお菓子などのお供え物の費用などがあります。ちなみに、塔婆をたてる場合は納骨堂の室内では難しいですが、お寺により敷地内にたてることができる場合があるので、費用等含めてあらかじめ確認しておきましょう。
納骨式の流れは?
地方や宗派によっても異なりますが、代表的な仏式の流れの例は、まず、お墓の石蓋を開き、施主が骨壷を納めて石蓋を閉じます。そして卒塔婆(そとうば)を墓石の後ろに建て、墓前に花や線香などを供え、僧侶に読経してもらい、その後順番に焼香してご冥福をお祈りする、といった流れです。また、法要後に会食(お斎)がある場合もあります。ちなみに、納骨式の際に用意するものは、数珠や線香、お供えするお花、お供え物などです。お供え物は故人が好きだったもので、お菓子やお酒などが挙げられるますが、傷みやすいもの(生ものなど)は避けましょう。
納骨式での服装は?
納骨式での服装は、参列者は忌明けの頃までは略式喪服を着用しましょう。一周忌以降の年忌法要の場合は、略式礼服または地味な服装で参列します。また、七回忌以降は、地味であれば平服でもかまいません。
現代日本の納骨
近年の日本では、様々な納骨のスタイルが知られるようになってきています。石のお墓の納骨が最もポピュラーなスタイルとされてきましたが、様々な事情があり納骨堂への納骨を決めたり、故人の気持ちを考え、海や山などの自然に散骨したりするケースも非常に増えてきているのです。様々な事情があるなどするかもしれませんが、従来の石のお墓の納骨も他の方法でも、故人を思い、丁寧に納骨する気持ちがあることが大切だと言えます。