身内が亡くなって葬儀を行うときに、気をつけなくてはいけないことは数多くあります。中でも、葬儀社選びはとくに慎重に行いたいもの。臨終を迎えてすぐ、遺体搬送をしてくれた病院付きの葬儀社に、選択の余地などないまま、その後のすべてを任せることになってしまった、なんてことはよくある話しです。ここでは葬儀社選びのポイントをご紹介します。
慌ててはいけません、葬儀社選びは慎重に!
さて葬儀社選びですが、まずは慌てないで対応することをおすすめします。安易に決めてしまっては後々後悔することになるからです。故人の思いや故人に対する、送る側の思いを込め、みんなが納得し喜んでくれる葬儀。また葬儀自体の内容や金銭的な問題など、後々トラブルに発展しないためにも、葬儀社選びはしっかりと行っていくべきでしょう。
その葬儀社は、守秘義務・個人情報の管理、徹底されていますか?
まず、守秘義務や個人情報の管理が徹底されているかどうかは重要です。葬儀というのは実にデリケートな情報が多く存在しています。個人の住所、生年月日や出身地などといった、ごく一般的で基本的な情報だけではありません。些細ではあるけれど、身内だけしか知らないような、しかしそれは身内にとってはとても重要な内容の情報なども、場合によっては葬儀に関わる業者によって外部に漏れてしまう可能性も大いにあります。それはその外部の人間が故意に行うのでないにしても。その点については、依頼する葬儀社では徹底して従業員の教育を行えているか、前もって確認しておく必要があります。
葬儀社の従業員はプロとしての意識が備わっていますか?
従業員の教育という点では、それぞれの担当者が、ちゃんとマナーが守れているか、また知識が豊富であるかというのも、重要な点であるといえます。葬儀は、わずかな時間のあいだに、さまざまな準備や手続きなど、一度にさまざまなことを行わなければいけません。そして遺族はたいていこういうことには慣れていませんから、物事をうまく運ぶためには、当然プロにお任せするしかありません。その一切をお任せしたはずのプロが、分からない、知らないでは困るでしょう。そして、基本的なマナーでさえ守ることのできないプロなんてプロとは言えません。そんな人のために大切な時間を無駄に費やしたうえ、大切な人の最後で嫌な気持ちが残ってしまっては本末転倒です。そういう意味でも従業員がちゃんと教育できているかというのは大事な要素です。もちろん人間ですから失敗などもあります。でも私たちにとっては葬儀社の従業員は、少なくとも葬儀のスペシャリストという自覚は備えておいてもらいたいでしょう。
遺族に寄り添い親身になって、願いごとを聞いてくれる葬儀社
葬儀は、大切な人を送り出す最後の重要な儀式です。その儀式をどのようなものにしたいか。送られるほうも、送り出すほうも、できれば絶対に後悔はしたくありません。最近はさまざまな形式での葬儀があります。人にはそれぞれの個性があるように、葬儀の形もひとそれぞれに違っていて当然。そういう風に考える人が増えてきた証拠ではないでしょうか。人生の最後に、何も感じない人なんてあまりいないでしょう。派手でも、地味でも、こだわりがあってもなくても、自分らしい葬儀をして送り出されたい。そう思っても、別に不思議なことではありません。
そして葬儀社に私たちが求めるのは、その思いをきちんと理解してくれるかどうかです。故人が自分の葬儀にどんな思い入れがあったか。また送り出す側が、故人にどのような気持ちを抱いていて、どのように送り出してあげたいと願っているか。わずかしかない時間のあいだに、どれだけの思いを組んだうえに実行すべく動いてくれるか。もし、とても不可能であったとしても、一生懸命努力してくれる姿を感じることができたなら、きっと何よりも嬉しくありがたく思えるはずです。何よりもその葬儀はあたたかいいい思い出となって、遺族の心に生き続けることでしょう。
また悲しみのなかで、何も考えることのできない遺族に対して、ただ要望を聞くばかりでなく、その人にあった提案をしてくれたりすると、さらにありがたいでしょう。
私たちの願いごとを真摯に真正面からしっかり受け止め、寄り添いながら親身になってきちんと聞いてくれる、そんな葬儀社を選びたいものです。
葬儀の見積書の内容を、ちゃんと説明してもらいましょう
一番トラブルに発展しやすいのが金銭面です。何しろ、葬儀自体がデリケートなものですから、金額交渉などという行為は、どうもはばかられてしまいます。またそのような心理が、遺族には働いてしまいがちになります。最近は利用する側もシビアな傾向になってきましたが、以前は細かい内容をちゃんと把握しないまま、葬儀というものはそもそも高いのが当たり前という認識で契約を交わしてきた人も多いです。そしてあとになってから、なんでこんなに費用がかかってしまったのか分からないなんてこともよくありました。そういった情報が蔓延していましたので、今でも葬儀というものは高いものであるというのが、世間一般の常識となっているのです。
しかし、葬儀を行うための金銭は、それぞれにちゃんと行く先があるのです。何がいくら、どれにどれだけ、ということは追究すれば明確なはずなのです。もし、ちゃんとした見積もりをしてれない葬儀社であれば、それは間違いなく信用できません。なかにはそういうデリケートな事情を利用した悪徳業者も存在しますので、遠慮せずに、どんどん聞いて明らかにするべきでしょう。事前にきちんと見積書や仕様書の提示をしてもらい、費用の内容をきちんと把握すること。これはとても基本的で重要なことです。そしてまたとても簡単なことでもあるのです。
葬儀社選びは、遺族の大切な仕事だと思ってください
葬儀社には葬儀のすべてを任せることになります。ですから何度も言いますが、決して安易に決めてしまってはいけません。もちろん、特別に豪華にしたり、他の人とは違うこだわりのある凝った葬儀をする必要はありません。ただ、あとでトラブルに巻き込まれたり、後悔するようなことにないように、信頼がおけて、安心して任せることのできる葬儀社を選んでおくことが重要です。
どんなに心が悲しくても、やるべきことが多くてじっくり考えている時間がなくても、これだけは絶対にはずせない、遺族の大切な仕事ではないでしょうか。