喪主は遺族の代表としてさまざまな場面、流れの中でお礼の挨拶をしなければなりません。では、どのようなタイミングで挨拶をすればよいでしょうか。
挨拶のタイミング
1.お通夜、葬儀の合間の挨拶(お悔みへのお礼)
喪主はどの会葬者にも平等に応対し、簡単な言葉でお礼を述べます。
例)「生前は故人が大変お世話になりました」
「お忙しい中、ご会葬いただき、ありがとうございました」
「お忙しいところ、ありがとうございます」
2.通夜式の終了時または通夜振る舞いの前
お通夜の読経と焼香が済んで、通夜振る舞いに移る前、または通夜振る舞いの席にて
例)「本日はお忙しい中をお参りいただき、たいへんありがとうございました。皆様方にお越しいただき、故人もさぞ喜んでいることと存じます。また、故人存命中のご厚情に対しまして、厚く御礼申し上げます。ささやかではございますが、お食事を用意いたしましたので、故人の供養のためにも召し上がっていただきたいと存じます。なお、葬儀・告別式は、明日の○時より執り行いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。」
3.通夜振る舞い時
通夜振る舞いは時間を見計らって、お開きの挨拶をします
例)「皆様、本日は誠にありがとうございました。おかげさまで、滞りなく通夜を執り行うことができました。皆様にお集まりいただき、故人もさぞ喜んでいることと思います。お話は尽きませんが、夜も遅くなってまいりましたので、この辺りでお開きにさせていただきたいと思います。なお、葬儀、告別式は、明日の○時より執り行いますので何卒よろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。」
4.僧侶への挨拶
枕経をお願いしている場合
例)「お世話になっております○○の○○でございます。○○が先ほど亡くなりました。ただ今自宅に戻りましたので、ご住職に枕経をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします」
・出迎えの挨拶
「お忙しい中さっそくにご足労いただきまして誠にありがとうございます。わたくしどもはなにぶん不慣れでございますので、ご指導いただきますようお願いいたします。
・見送りの挨拶
「ご多用のところ、たいへんご丁寧なお勤めをたまわり、ありがとうございました。おかげさまで無事に通夜(もしくは葬儀)を執り行うことができました。どうぞお納めください。」(お布施を渡す。僧侶が後日でよいと言う場合は後日改めて挨拶をし、お布施を渡す)
5.告別式終了時または出棺時
葬儀における喪主のお礼の挨拶は、通常、出棺の際に行ないますが、大規模な式や、火葬が済んでいて出棺がない場合は、葬儀、告別式の最後に行ないます。
例)「本日はお忙しいところを、(例)父○○の葬儀並びに告別式にご会葬くださいまして、誠にありがとうございました。故人の存命中には、皆様方にひとかたならぬご厚情をたまわりまして、心から御礼申し上げます。皆様方にお見送りいただき、さぞかし故人も喜んでいることと存じます。(故人の略歴やエピソード、どのように亡くなったかはここで加えます)残されたわたくしどもは未熟者ではございますが、今後とも故人同様、ご指導、ご鞭撻をたまわりますようお願い申し上げまして、ご挨拶に代えさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。」
6.精進落としの始まり時
会食に入る前に挨拶します。
例)「本日は、亡き○○のためにお心遣いいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、滞りなく葬儀、告別式を済ますことができました。故人もさぞ喜んでいることと思います。ささやかではございますが、精進落としの膳をご用意いたしましたので、どうぞごゆっくりお過ごしください。本日はありがとうございました。」
7.精進落としのお開き時
頃合いを見計らって挨拶しましょう。
例)「皆さま、本日は誠にありがとうございました。まだ、ごゆっくりしていただきたいところですが、そろそろお時間となりましたので、この辺りでお開きにさせていただきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は最後まで、本当にありがとうございました。」
挨拶のポイント、注意点
通夜振る舞い、精進落としの際の挨拶は、形式にこだわらず前置きは不要ですので、以下を文章にしましょう。
・弔問、参列へのお礼
・故人が生前お世話になったお礼
・故人の思い出やエピソード
・今後ともよろしくお願いしたい旨
通夜式、告別式、出棺時の挨拶では、以下の内容を含めた挨拶をしましょう。
・通夜、葬儀が滞りなく済んだことへのお礼
・弔問、参列へのお礼
・故人の生前のご厚誼のお礼
・ささやかな食事を召しあがっていただきたい旨
使用してはいけない忌み言葉
・たびたび、再度、返す返す、重ねて、引き続き、続いて等(不幸が重なる意味になります)
・生存中 → 生前は
・急死 → 突然のこと
・死亡 → 逝去
これら最低限使ってはいけない言葉を念頭に、後は自分の言葉で、思い出やエピソードなどを感謝の気持ちを込めて伝えれば、問題ありません。
これら喪主の挨拶は、葬儀の形により不必要なものもあります。
・直葬の場合、通夜も告別式もないため、最小限の挨拶で済みます。
・一日葬の場合、通夜がないため、告別式終了時または出棺時
・自宅葬の場合、葬儀場への移動がないので多少文言を変える必要があります
・家族葬の場合、近年の家族葬では通夜も告別式も行なうケースが多くなりました、前述の挨拶はほぼ必要となります
・僧侶をお願いする場合にはきちんと挨拶し、読経をお願いしましょう
哀しみの中、喪主にとって自分の言葉で挨拶をすることは、とても難しいものです。平静を装ってみても内心は落ち着かず、葬儀の段取りや人の出入りによりさらに落ち着かず、例文のようには上手く言葉にできないものです。
喪主の挨拶は型どおりの短い挨拶でも構いません、ただ、弔問、参列してくださった方々への感謝の気持ち、故人が生前お世話になったことへの感謝の気持ちを表すことが重要なポイントです。また、良い葬儀社を選ぶと、喪主の挨拶のタイミングをきちんと誘導、教えてくれます。
生前から葬儀社を選んでおくことは重要です。そして、口頭だけでなく、エンディングノートに葬儀社を選んでおいた旨が書かれている場合がありますのでよく確認して、葬儀社と良い関係を築き、故人のため、立派に喪主を務めましょう。