形式的な葬儀の枠をはずし、故人との最後のお別れである儀式を愛する家族と一緒に過ごしたい、という想いに重点をおいた葬儀が家族葬で、基本的な葬儀の流れは一般的な葬儀とほぼ同じ、通夜・告別式・火葬といった一連の儀式を通常どおり行ないます。
近年、この家族葬は人気が高まりつつあります。核家族化や経済的事情等から、お葬式は「義理や付き合いを避けたい」「葬儀費用を軽くしたい」「少人数の身内だけで葬儀を行いたい」という消費者の声を反映し、葬儀会社が家族葬スタイルとしてプラン化、つまり、家族葬は、葬儀を行うご遺族の声を取り入れた消費者から生まれた葬儀のスタイルと言えるでしょう。
家族葬への理解
【親族の方へ】
まず、家族葬と密葬を同じもの、と捉えている方々はまだたくさんいます。
家族葬を執り行うにあたって、身内、親族の理解が必要となります。
密葬というのは身内のみで葬儀を行い、火葬後、日を改めて本葬を行います。それに比べ家族葬は、葬儀の完結とした葬儀形態となります。日を改めた本葬は行いません。
今は新しい形の家族葬を執り行う葬儀社も増えています。病院が紹介してくれる葬儀社、知人が紹介してくれる葬儀社、地元紙・タウンページ等の広告で紹介されている葬儀社、また、インターネットサイトの検索で家族葬を謳う葬儀社等に問い合わせいただき、家族葬では何が行われるかよく確認し、身内親族皆から賛成される家族葬を行ないましょう。
家族葬の内容を理解できていない親族が、通常の一般葬を格安にしたものだと誤解している場合は大いにあります。
【参列を希望される方へ】
葬儀に招かない親族、友人、知人も出てきますので、不満がでないよう配慮をし、ご理解を得ておく必要があります。参列を希望される方にお断りをする場合は、丁寧な対応を持ち、家族葬であることを伝えておきましょう。
家族葬の利点・メリット
・参列人数や葬儀社による予算の変動が少なくて安心です。
・ほぼ近親者のみで行うため、弔問客に気を遣うことが少なく、落ち着いて故人とのお別れができます。
・虚飾を排し心のこもった葬儀を行ないたい遺族にとっては、ふさわしい葬儀の形態でしょう。
家族葬の欠点・デメリット
・弔問客から、葬儀後に苦言を呈される場合があります。
・弔問客が後日自宅にバラバラに弔問に訪れたり、そのための対応に苦慮することがあります。
・社会的地位のある方、また、知人の幅が広く、葬儀に数多くの参列者が訪れることが予想される場合は、家族葬に向きません。参列を希望する多くの方の想いを断ち切ってしまい、たいへんな不義理になってしまいますので、上記にあたる故人の場合は、家族葬を避けましょう。
家族葬のお知らせ
家族葬のお知らせは2種類用意しましょう。参列をお断りする場合、その旨の文書、香典や供花・弔電の辞退の旨も記載しましょう。
・葬儀後に「家族葬を執り行いました」と事後報告をする場合
・葬儀前に「家族葬を行います」という報告をする場合
前者の場合「どうして知らせてくれなかったのか」という声が届く場合がありますので、葬儀前に「家族葬を知らせる人」「葬儀後にお知らせする人」を分けて文書を用意しておくことが必要です。
※返礼品の準備
葬儀や葬儀後に香典をお持ちになる方もいらっしゃいますので、失礼のないよう、香典を受け取る場合は返礼品の用意が必要です。
四十九日法要を終えてから、挨拶状と一緒に返礼品を送りましょう。
家族葬への参列のお願い
次の4つに分けると、参列をお願いする方、ご遠慮願いたい方が分かりやすいかと思います。
参列するのは、
・故人と同居家族のみ
・故人の近親者のみ(同居・別居関わらず二親等まで)
・故人の家族および親族
・故人の家族・親族および故人とごく親しくしていた人のみ
また、故人に生前から下記のことを含めたエンディングノートを作っておいていただくと、非常に分かりやすくなります。
・列席を希望する人の名
・お布施、供花、供物、お通夜、僧侶、戒名の要否
・祭壇飾り、花の指定
・遺影写真の指定
家族葬の流れ
1.ご逝去
2.ご遺体搬送、安置
3.関係各所へ連絡(葬儀社、菩提寺等)
4.葬儀社と打ち合わせ
5.納棺
6.お通夜・告別式日程の確定および参列者への連絡
7.お通夜
8.葬儀・告別式
9.初七日法要
10.出棺
11.火葬
12.お骨上げ
13.精進落とし
葬儀社選びのポイント
葬儀社を決めていなかった場合は、焦らず、まずご遺体を安置後、ご遺族で話し合いをしましょう。突然の訃報の場合、動揺していることも手伝い、善し悪しの判断もつかないまま葬議社を選んでしまい、葬儀後に後悔をしたという事例もあります。
・丁寧な応対、明朗な価格、わかりやすい説明、希望にあった家族葬プランを提示してくれる葬儀社。
そして、
・担当者は葬儀を執り行う際の一番身近な存在になります、人柄をよく見た上で葬儀社と契約しましょう。
・資料請求、見積をお願いした際、迅速に対処してくれる葬儀社。
・セット料金とオプション料金を明確にしている葬儀社。
・家族葬でも種類があり、判断に困る時「このようなプランがあります」と親切なアドバイスができる葬儀社。
・葬祭ディレクターの有無・人数、JECIAのような葬儀会社の格付機関の評価、国際規格のISO9001の取得業者であることも、葬儀社選びの評価基準です。
・契約を急かせない葬儀社(今契約すればサービスが、等の踊り文句を言わない)
・これまでの葬儀の記録を見せてくれる葬儀社。
・葬儀費用の支払い期日に余裕がある葬儀社(生命保険や葬祭補助制度、葬儀保険などで葬儀費用を賄う場合等、それらを考慮した葬儀費用の支払い期日を事前に相談できる葬儀社)。
・アフターサービスが充実している葬儀社(法事・法要、納骨堂・永代供養、相続手続き、散骨、遺品整理、手元供養等の相談にのってくれる葬儀社)
家族葬を執り行うに際しては、葬儀社選びがかなり重要なポイントになります。葬儀社の手腕で、滞りなく、故人にも遺族にも親族にも参列者にも温かな家族葬を行なえる、と言えるでしょう。