身近な人が亡くなって悲しみとともに、葬儀や身のまわりの整理など慌ただしい毎日が過ぎていきます。しかし、世に言う喪中というのはいつまでのことなのでしょうか? 残された家族はまだこれからも生きて日常を過ごさなければいけません。喪中には何をして、何をしてはいけないのか、案外知らないことは多いものです。
喪中とはいつまで続くのでしょうか?
故人が亡くなってから、祥月命日(1年目の同月同日)までが喪中の期間です。つまりこの期間中、遺族は故人のことを偲んで過ごす、いわゆる喪に服すということになります。
忌中というのは、故人のために祈りをささげる期間のことです。一般的には四十九日の法要までとされ、「忌明け」までが忌中の期間は終了します。
会社員には、忌引き休暇というのが存在します。血縁関係によって、その期間はまちまちです。配偶者の場合は、10日間。父母の場合は、7日間。子供の場合は、5日間。祖父母の場合は、3日間。兄弟姉妹の場合は、3日間。孫の場合は、1日間。おじおばの場合は、1日間。配偶者の父母の場合は、3日間。配偶者の祖父母の場合は、1日間。配偶者の兄弟の場合は、1日間。連続して実行されますので、その期間は会社の休暇がとれるわけです。その間にお通夜や葬儀を行い、できる限りの手続きを済ましてしまわければいけません。
かつては、忌中・喪中は「服忌令」という法律で期間は定められていましたが、現在は廃止されています。ですからその判断は、各人に任せるということのようですね。一般的には、喪中はだいたい1年ということにはなっていますが、明確に決まっているわけではありません。
喪中・忌中の期間中に気を付けなくていけないこと
昔は、結構厳しい戒律が存在したようです。殺生を禁じ、お酒や肉を口にすることも禁じられていたようです。お酒好きの人には、修行のごとく辛い戒律ですよね。現在、このような戒律は存在しておらず、これをもって身を慎まなければいけないということはありません。
ただ、忌中の期間には、神社に参拝することは控えたほうがいいということと、喪中の期間では、祝い事、遊興はやはりすこし控えるべきかもしれません。最近は喪中期間でも、どうしても変更することができなければ、忌明け以降に行うことも多いようです。
喪中はがきを出す
喪中期間は新年のあいさつは控えなければなりません。そのお詫びのために喪中はがきを出します。喪中はがきを出す時期は、年賀状の準備をする前に出さなければ意味がありませんので、11月中から遅くても12月初旬までには、相手に届くように出しましょう。
喪中はがきを出さなければいけない、親族の関係とは、喪中の範囲と同じく、二親等までであると基本的には考えられています。
喪中はがきを出す相手ですが、公的な関係である会社や取引先に対してなど、あえて知らせる必要がない場合は、通常の年賀状を送っても構わないとされています。
喪中はがきの文章には、新年のあいさつを控えることへのお詫びと、葬儀のお知らせをしなくて葬儀に出席していただかなかった方にも分かるように、親族の亡くなったことの報告をするようにします。またこのような儀礼文書の場合は、句読点を入れないのが作法とされてきましたが、最近は、思いを伝えるために読みやすいものにするために句読点を書くことも許容されてきたようです。また二色刷りのシンプルなものではなく、カラー刷りにしているものも多くみられるようになりました。人々の葬儀などに対するイメージが変わってきているということなんでしょうか。
暑中見舞いや残暑見舞いについては、お祝い事とは関係のないものなので、喪中の期間であっても問題なく出してもかまいません。
新年のお祝いは控える
喪中期間にお正月を迎えた場合は、やはりすこし控えたほうがいいかもしれません。お正月飾り、鏡餅、お屠蘇など、いわゆるお正月を祝うという意味合いのものは控えたほうがいいでしょうね。
またおせち料理やお年玉なども、本来は控えたほうがいいかもしれませんが、どちらも子どもにとっては楽しみのひとつですし、大人だってそういうものがなければ淋しいものです。がんじがらめに、あれもダメこれもダメと厳しく取り締まる必要もないでしょう。状況を見て、おせち料理やお年玉という名目をさけ、別の呼び名で扱えばいいのではないでしょうか。
初詣に関しても、喪中の間は控えるべきだという認識が世間ではなされていますが、実は、参拝をしてはいけないのは忌中の期間だけなんです。ですから、忌明けが済んでおれば初詣をするのは問題ありません。また、忌中でもどうしても神社にお参りをしたい場合は、その神社に相談してみるのもいいかもしれません。お清めの儀式を行えば、参拝してもよくなったりする場合もあるのです。
お寺に参拝に行く場合は、そもそも仏教には「穢れ」といった概念がないため、忌中でも参拝は可能です。お寺に初詣に行ってみるのはいかがでしょうか。
お歳暮やお中元については、基本的に贈ったり受け取ったり、という行為は喪中であっても全く問題はありません。これらは感謝の気持ちをこめておこなわれるものであって、お祝いという意味合いではないからです。ただし、香典返しと同じ時期になってしまう場合は、このふたつがかぶってしまわないよう注意が必要です。贈られたほうが混乱しないようにしましょう。たとえば、忌明け以降であれば香典返しを贈り、そのあと少し期間をあけてから、改めてお歳暮やお中元を贈るといいかもしれませんね。その際の注意点としては、紅白の水引は避けてくださいね。
結婚式に参列してもいいのでしょうか? 結婚式を行ってもいいのでしょうか?
一般的に、結婚式の参列は控えます。しかし、もし出席しなければいけない場合は、とくに喪中であることを当事者たちに伝える必要はありません。
身内が結婚式を控えている場合ですが、通常は喪中の結婚式は避けるべきなのでしょうが、四十九日の法要を終えた忌明け以降であれば、最近はそのまま結婚式を執り行う傾向になってきているようです。確かに、結婚式は前もってかなり準備を要しますし、キャンセルするとなると式場や出席者への影響もかなり大きなものになってしまいますよね。そういうことも含めて、喪中でもそのまま実行するという選択をされる方が増えているようなのです。
喪中に旅行へ行ってもいい?
喪中の期間は、原則、遊興は控えるということに一応、なっています。そんな考えから喪中に旅行は避けたほうが、ほんとうはいいのかもしれません。しかし旅行も忌明け以降であれば、通常どおりに行うことが多くなっています。これもキャンセルすると、いろんなところに影響が出てしまうというのが、大きいからでしょう。
このように最近はとくに、喪中であっても気にする人が減ってきたため、昔のように厳格に粛々と喪に服さなくなってきました。あるいは、昔からの伝統やしきたりといったものの考え方が薄れてきてしまった証拠なのでしょうね。時代によって、人々の考え方も変わり、便利で生活しやすくなってきましたが、でも、ほんとうにこんなに崩壊してしまってもいいのでしょうか? これも時代錯誤な考え方になるんでしょうかね。