臨終を迎えてから、遺族の仕事はたくさんあります。短い時間で多くのことを、休む間もなくやってしまわないといけません。しきたりなど慣れないことばかりで、いざというとき、ちゃんと自分は行動することができるのか、とても不安ですよね。何より身近な人を気持ちよく送り出してあげるためにも、自分が納得して落ち着いて行動できるためにも、何をしなければいけないか、という心構えはしておく必要があるでしょう。
葬儀がなんとか無事に終了しました。大急ぎでやらなければいけないことは、ひとまず終わりです。やれやれ、ちょっと一服。と言いたいところですが、遺族がすべきことはまだまだ山積みです。のんびりはしていられませんよ。では次はなにをすればいいのでしょうか。
さまざまな事務手続きはありますし、故人の身の回りの整理などもしなくてはいけません。遺族の仕事は、あるいはこれからが本番と言っても過言ではないかもしれません。そしてその中でもつい後回しになってしまいがちな、お世話になった方々へのごあいさつ。これは、故人が今まで大切にしてきた人々との関わり合いなのですから、遺族としては、早めにきちんと行っておきたい重要な仕事のひとつといえます。
葬儀が終わったあとの、あいさつとは誰にすればいいのでしょうか
葬儀ではいろんな方にお世話になりますよね。ご近所や、ご友人、職場の関係者の方々、また、お世話になった司祭者もそうですし、臨終を看取ってくださった病院の関係者など、葬儀に関係してくださった全ての方にあいさつはしておいたほうがいいでしょう。葬儀にお見えにならなかった方で、お悔やみ状をいただいた方、葬儀自体お知らせをしなくても生前故人とお付き合いしていただいた方などにも、あいさつはしておくべきでしょう。
葬儀が終わってから、あいさつ回りはいつまでに行えばいいのでしょうか
葬儀に参列してくださった方々へのあいさつ回りは、できるだけ早く行うようにしてほうがいいでしょう。出来れば葬儀後から、一週間以内を目途にするといいかもしれません。直接あいさつ回りを行うのは、ご近所や、目上の方々、葬儀の司祭者や病院の関係者といったところでしょうか。もちろん、参列に来てくださった方全員にあいさつ回りをしたいとは思いますが、遠方から来てくださった方などには、挨拶状を送るとか、親しいかたには、電話で遺族の思いを声にのせてきちんとお礼を述べてみるというのも、ひとつの手ではあります。
挨拶状とはどのように書けばいいのでしょうか
葬儀には参列しないでも、お悔やみ状をくださる方もおられます。また、故人と親しい間柄でありながら、諸事情により葬儀を知らせなかった方などでも、生前お世話になった方々として、ちゃんとお礼はしておきたいものですよね。そんなときは、挨拶状を送るのがいいでしょう。面と向かってお礼を述べるのとは違い、文面だとなかなか伝わりにくいというデメリットがありますが、そこは工夫をすることで、いくぶん解消されます。また、自筆にして、文章も用意された形式的なものにたよらず、自分の言葉で思いをつづれば、会ってお礼を述べるよりも、もっと相手が受ける印象がよりよいものになるかもしれません。
【ご挨拶の文例】
前略、田中様には突然のお知らせで驚かせてしまい、申し訳なく存じます。
夫 太郎は、かねてより病を患い入退院を繰り返しておりましたが、去る六月二十二日、衰弱しておりましたところへ病状がにわかに悪化し、享年九十一歳で他界致してしまいました。
しかしその旅立ちは、苦痛のないとても安らかな寝顔をしておりました。私たち家族はそれだけでも嬉しく思っています。夫が歩んできた人生が、この顔全てに凝縮されているようなそんな心持ちで、今までお世話になり支えてくださったみなさまへ、改めて感謝の気持ちが湧き上がってきた次第です。
田中様には、雨の多いこの季節に、遠方よりのお越しが誠に申し訳なく思いましたので、失礼であることを承知しつつも、葬儀の案内はご遠慮させて頂きました。何卒ご容赦くださいませ。
生前、夫が賜りましたご親交に心からのお礼と共に、とりあえずのご通知申し上げます。
草々
このように、故人がお世話になっているのに、葬儀のお知らせしなかった場合は、あとで挨拶状での通知を行ってもおくといいでしょう。
通知をするにあたり忘れてはならないのが、死因、日時、享年。そして、お知らせをしなかったお詫びはきちんとしておきましょう。そして遺族の気持ち伝わるように添えておくことも大切です。
死亡通知の返信の仕方
以上、遺族がお世話になった方々へのあいさつの仕方について述べてまいりました。では、この死亡のお知らせや挨拶状を受け取った方が、遺族へはどのように返信をするべきでしょうか。何も知らず、突然このような葉書が届いたら、どのようにお悔やみを申し上げるのがいいのか、ちょっと迷うところでしょうね。もちろん、お宅に伺ってお顔を拝見しながらお悔やみするのが一番いいのかもしれませんが、色んな事情によってなかなかそうもいかない場合が多いですよ。行けない場合は、電話でお伝えしてもいいですし、手紙や時にはメールという手もあります。何をしていいか分からず放っておくのはよくありません。ただ手紙で返事を書きたくても、どのように書けば思いがちゃんと伝わり、失礼がないのかわからなくて悩むところではあります。葉書でのお悔やみや返信はどのようにして書くものなのか、確認してみましょう。
【返信の文例】
前略、ご主人さまのご逝去、謹んでお悔やみ申し上げます。ご丁寧にお知らせをいただきましてありがとうございました。
この度は、まことに残念でなりません。ご家族さまもさぞかし、お寂しくお思いでいらっしゃることと存じあげます。いつまでもお元気なお姿でいらっしゃるものとばかり思っておりましたので、驚きを隠せないでおります。
ご主人さまは本当にあたたかい良いお人柄でいらっしゃいましたので、失った悲しさは痛恨の極みではなかったでしょうか。
近いうちにご仏前にお焼香にあがりたいと存じます。とりあえず書面でのご挨拶にかえてご愁傷をお慰め申し上げます。
ご家族の皆様の幸せを、心からお祈りしております。
草々
死亡通知の返信も、ただ形式に沿って書くだけじゃなく、自分の思いをちゃんと入れて、自筆で書くようにすると、ほんとうの思いは伝わりやすくなるのではないでしょうか。