身近な人が亡くなって、喪主ならびに遺族関係者は、大急ぎでやらなければいけないことがたくさんありますよね。その中でも死亡届・死亡診断書の提出は忘れてはいけないもののひとつです。葬儀の準備と並行して行わなければいけません。しかしそんなに重要な手続きなのに、詳しい内容についてはよく知りません。いざというときのために、準備をしておきましょう。
死亡届・死亡診断書はどんな様式をしているの?
死亡届と死亡診断書は、左右一体となっています。用紙のサイズはA3を横に印刷したもので、真ん中をはさみ右側が死亡診断書。左側が死亡届となっています。死亡診断書は医師に作成してもらうもので、第三者が手を加えると無効になるので注意が必要です。医師から受け取ったとき、すぐに記入漏れがないかどうかを確認しておきましょう。左側の死亡届は亡くなった人の情報を記入します。そしてこの用紙は全国どこでも同じ様式です。
死亡診断書は、誰が記入するの?
死亡診断書(死体検案書)は、医師や歯科医師だけしか作成することができません。厚生労働省が発行した死亡診断書のマニュアルには、「人の死亡に関する厳粛な医学的・法律的証明であり、死亡者本人の死亡に至るまでの過程を可能な限り詳細に論理的に表すもの」と記されています。
死亡診断書の表題には、『死亡診断書』と同時に、かっこ書きで『死体検案書』とも記されています。この死体検案書というのは、自宅などで突然亡くなった場合や、事故で亡くなった場合、警察で遺体の検視(死体検案)が行われたあとに、監察医が交付するものです。
死亡診断書には、発行手数料がかかります
死亡診断書を発行してもらうのには、手数料がかかります。金額は病院によって違いますが、だいたい五千円から一万円以内のようです。
死亡診断書には以下の項目が記されています
・氏名
・性別
・生年月日
・死亡したとき
・死亡したところ及びその種別
・死亡の原因
・死因の種類
・外因死の追加事項
・生後1年未満で病死した場合の追加事項
・その他特に付言すべきことがら
・診断(検案)年月日
・医師の署名
医師が発行してくれたあとに必要事項の記入漏れを発見しても、内容が分かるからといって、自分で書いてしまわないようにしましょう。記入発行してくれた医師以外のものがあとで手を加えたりすると、無効になってしまいます。このように後から面倒なことにならないためにも、発行してもらったらすぐに確認をしておいた方が無難です。
とくに注意しておきたい箇所は、故人の氏名・生年月日に間違いがないか、死亡した場所の住所が記載されているか、死亡の原因・死亡の日時が記載されているか、そして死亡診断書を作成してくれた医師の署名・捺印・日付が漏れなく記載されているか、をしっかり確認しておきましょう。
死亡診断書はいつまでに届出をすればいいのでしょうか?
死亡診断書・死亡届は、死亡を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は、その事実を知った日から3か月以内)に役所(死亡者の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市役所または町村役場)に提出しなくてはいけません。医師に死亡診断書を発行してもらったら、死亡診断書の左側にある死亡届に記入して早めに提出するようにしましょう。
死亡届を届けなければいけない人、いわゆる届出義務者は、第1同居の親族、第2その他の同居者、第3家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人、また後見人、保佐人、補助人、任意後見人が行うということが、戸籍法で定められています。しかし実際に役所へ持参するものは届出義務者でなくてもいいので、通常は葬儀社が代行してくれることが多いようです。
死亡届に記入されている項目
死亡届には以下の項目があります。死亡届は届出人が記入しなくてはいけません。記入漏れのないようしっかり確認しましょう。
・日付(死亡届を提出する日)
・提出先(役所名 「○○区」長殿、という風に記入)
・氏名(亡くなった方の氏名)
・生年月日
・死亡したとき
・死亡したところ
・住所
・本籍(必ず都道府県名から記入。住所と同じでも「同上」というように略さない)
・死亡した人の夫または妻
・死亡したときの世帯のおもな仕事と、死亡した人の職業・産業
・その他
・届出人(署名捺印、日中連絡がとれる先の記入)
死亡届の提出で、持っていかなければならないもの
死亡届を役所に持参する際に必要なものは、死亡診断書(死体検案書)と届出人の認印です。
死亡届は役所に提出してしまうと、返却してくれません。原本を提出しなくてはいけませんので、提出する前に必ずコピーをとっておくことをおすすめします。葬儀終了後、さまざまな手続きで死亡届が必要になってきますので、できるだけ多めに写しをとっておくと安心でしょう。
【火葬(埋葬)許可証の発行】
役所で死亡届が受領されますと、火葬(埋葬)許可証を受け取ることができます。葬儀が終わり火葬をする際には、この火葬(埋葬)許可証というのが必ず必要になります。納骨するにもこの火葬(埋葬)許可証が必要です。
火葬(埋葬)許可証の様式は自治体によって異なりますが、火葬許可証と埋葬許可証は同一のものです。火葬許可証に火葬が済んだという証明の印が押されたものが、埋葬許可証となります。
死亡診断書・死亡届の写しは、どのような手続きで必要になるのでしょうか?
葬儀が終わっても、遺族にはやっておかなけばならないことがたくさんあります。とくにややこしい書類での手続きは面倒ですよね。でもこれらをちゃんと行っておかないと、あとでもっと面倒なことになってしまいます。できるだけ早く済ませてしまうほうがスッキリしますし、案外間違いも少なくて済みます。葬儀で親族が揃っている間に、できる限りのことは済ませてしまいましょう。
死亡診断書・死亡届のコピーは多めに準備しておいて、それぞれの取引機関へ提出していきます。だいたい以下の手続きで提出を求められます。
・公的年金(共済年金、厚生年金、国民年金)
・医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、国民健康保険)
・労災保険
・雇用保険
・生命保険
・損害保険(自動車保険や傷害保険の死亡事故の請求)
・携帯電話(死亡による解約)
最後に死亡診断書の提出の流れについて振り返ってみましょう
臨終→病院で死亡診断書を発行してもらう → 届出人が死亡届を記入 → 役所に持参(葬儀社が代行してくれることが多い) → 火葬(埋葬)許可証を発行してもらう。
葬儀やさまざまな手続きで忙しいときなので、とくにわずらわしいことはできる限りスムーズに済ませてしまいたいものです。手順や理由を把握しておくことは、いざというときに、きっと役に立つことでしょう。