“一周忌”、“三周忌”という言葉を聞いたことがある方は、大勢いらっしゃるでしょう。ですが、“年忌法要”という言葉を聞くと、「よくわからない・・」という方は多いかもしれません。
年忌法要とは?
「年忌法要」とは、故人を偲んで死後の幸福を祈って供養する法要のことをそう呼びます。初七日から四十九日までの法要を“追善供養”と言い、忌明けとなった後に行なう供養を、“年忌法要”といいます。
年忌法要は、命日から一年目、三年目、七年目などの節目となる年に行なわれている法要のことをさします。命日から数えて満一年目のことを一周忌、翌年の二年目を三回忌とし、その後亡くなった年を含めて数えていきます。つまり、満6年目は七回忌法要、満12年目は十三回忌と数えていき、満49年目で五十回忌と言う事になります。三回忌以降は7、13、17、23、27、33・・と、3と7のつく年に法要を行なうので、年忌法要は毎年行なうことはありません。また、宗派や地方によって異なることがありますが、三十三回忌もしくは五十回忌まで営み、そこで弔い上げとなるのが一般的とされています。数えるのが難しいという方は、インターネットで検索すると早見表が出てきますので、そちらを参照しましょう。
また、多くの場合、七回忌の頃からは法要の規模を小さくして親族だけで供養するようになります。弔い上げを終えると、仏壇の位牌の中から故人の戒名のものを片付けて、先祖代々の位牌だけとなります。弔い上げの作法についても、宗派などに関わりますので、わからない方はお寺に相談してみましょう。ちなみに年忌法要は、故人の命日またはそれ以前の日時で、参加者や僧侶の都合を考慮して決められます。命日を越える事がないように気をつけて日取りを決めることが大切です。
年忌法要を行なう理由は?
年忌法要を行う理由は、仏教の「輪廻転生」という考え方があるからです。亡くなった人は生まれ変わるという考えで、来世には天、人間、地獄などの6つの世界があると考えられ、これらを超えた世界に“極楽浄土”があり、死んだ後に受ける裁きによって決められるとされており、どの世界に生まれ変わるかは、閻魔大王などが死後7日ごとに裁きを行ない、“四十九日”後に判定がくだされるのです。なので良い裁きが下されるように祈り、「善」つまり「功徳」を送ります。これらの理由から、四十九日までに行なう法要は「追善供養」と呼ばれています。年忌法要はこの世にのこった私たちも、そして亡くなった故人にとっても、幸せになるために行なう大切な行事なのです。法要を行なう際は心を込めて、あの世に「善」を送りましょう。
年忌法要ではどんな準備が必要?
年忌法要を行なうにあたり、どんな準備をしていけばいいのでしょうか。まずは先ほど述べたように年忌法要を行なう日を数え、日程を決める必要があります。その際、必ず命日を過ぎてしまうことのないように気をつけ、参列者の都合に合わせて決めましょう。年忌法要は、命日の直前の土曜日や日曜日に行なうケースが多いです。日程を決めたら、その次に場所を決めます。お寺や斎場、ホテル、自宅など、どの場所で行なうのかを決めますが、一般的には七回忌の頃から法要の規模が小さくなるとされているので、七回忌を過ぎた後は自宅で遺族のみで行なうといったケースが増えていっているのです。その後、“お齋(おとき)”と呼ばれる、法要の際に行なう会食をするかどうかを決めます。会食は必ずしも行なわなければいけないといった決まりはなく、行なわなくても失礼にはあたりません。会食を行なわない場合は、法事の後に引き出物、お酒や折詰弁当などを参列者に持ち帰ってもらいましょう。会食をする場合は、法要後に近くのレストランなどで会食をするというケースが多く、自宅で法要を行なう場合は、行なった後に別室での会食となります。会食の有無を決めたら、招待する人を決めます。遺族や親族だけで行なうのか、友人・知人には声をかけるかなど、どこまで招待をするのかを話しあって決めます。七回忌の頃からは法要の規模が小さくなるのが一般的ですので、招待する人の数も減っていきます。日程・場所・会食の有無・招待する相手を決めたら、その後はできる限り早めにお寺に連絡をしましょう。何回忌の法要を行なうかを告げて、日程と場所を告げたらお寺の都合を確認し、会食の出欠について聞きます。お布施などを渡す時に必要となるのです。ここまで終えたら、案内状の送付・レストランの予約や車の手配、引き出物やお布施などの準備をしていきます。レストランの予約の際は、鯛などのめでたいお料理が出ないように、あらかじめ目的を伝えておくことが大切です。
法要での服装は?
一般的には身内は喪服、または黒の礼服を着ます。参列者も黒の礼服が主流ですが、洋服を着用する場合であれば男性はスーツ、女性は落ち着いたデザインのワンピースが良いとされています。また、女性の場合は露出の多いものは避けましょう。
法要の流れは?
法事や法要の一般的な流れは、施主が簡単な挨拶をして、その後、僧侶に読経してもらいます。僧侶が読経している間、施主から順番に前から着席順に焼香をしていきます。お墓が近い場合はお墓参りをし、最後に施主の挨拶で終わりといった流れです。法要後はお斎と呼ばれる会食を行ない、僧侶・参列者への感謝の気持ちをこめた御膳が振る舞われます。これは仏教では故人を偲ぶための行事でもあるのです。この際に、僧侶が会食に出席しない場合は、お布施とお車代とは別に“御膳料”という形で現金を渡します。お盆の上に置いて渡す場合は、お盆のまま渡すか、僧侶の手の届く範囲に置きます。この時に床を引きずって渡さないようにしましょう。袱紗(ふくさ)に包んで渡す場合も同じように床につけないようにして、開いて中身だけを出さずに“弔事包み”をしたまま渡します。また、お布施は新札ではなく、葬式の際は“急なことで綺麗な札を用意できませんでした”という意味で旧札が使われていますが、お布施の場合は旧札も新札もどちらも使えます。心配な方は旧札にすると良いでしょう。
法要は故人を偲ぶために行なわれる行事ですので、故人や参列者の方々、僧侶への感謝の気持ちを忘れずにいることが大切です。故人の幸せのためにも、自分や家族など、この世にのこった人達の幸せのためにも、心を込めて行ないましょう。