葬儀代
葬儀での出入金を考える際、参列者からの香典を入金額として思い浮かべがちですが、それで葬儀費用を賄えるとは考えないほうがいいでしょう。
特に、昨今行なわれている「家族葬」では、弔問客や参列者の数を制限するので、香典はあてになりません。
葬儀費用は、葬儀の前後で全額、現金で支払うのが一般的です。全国平均の葬儀費用は約150万円、お墓がない場合には葬儀費用のほかにお墓の費用もかかります。また以下の費用が葬儀以外での追加費用として想定されます。
・お墓の費用
・法要(お布施)
・病院への支払い
・故人の荷物の整理
・相続
ただし昨今、多くの葬儀社で、現金一括払いの他、クレジットカード払いやローン(分割払い)の利用が可能となっており、また、お布施はもちろん、遺品の整理や相続のことなども相談にのってもらえます。葬儀社利用の場合は、葬儀終了後、葬儀社に約1週間以内をめどに支払いをします。よい葬儀社を選び、賢く活用しましょう。
・直葬(約15万~18万)
・一日葬(約35万前後)
・自宅葬(約40万)
・家族葬(約50万~80万)
上記は、近年葬儀社がプランと出している葬儀のおおよその葬儀代です。これらのプラン内に組み込まれている場合もありますが、オプションとして、以下が想定されます。
・納棺の際のメイクや湯灌(ゆかん)
・通夜振る舞い(お料理)
・返礼品
これらが最初からプランに入っているかの確認が必要です。中にはプランによって別途料金となるものもあります。
経済的理由から葬儀代が払えない場合
「生活保護葬」とも呼ばれる葬祭扶助制度があり、この制度で葬儀をあげることもできますが、葬祭扶助は生活保護法に基づき支給されるため、扶助を受けることができる条件を満たしている必要があります。
お布施
お布施とは、大切な人の成仏を祈り、法要や読経など仏の教えに対する感謝を込め、僧侶をとおしてご本尊に供えるもの、というのが本来の意味です。
通夜、葬儀・告別式、初七日法要、と葬儀全般へ僧侶に来てもらい、読経をあげて供養します。
・菩提寺がある場合、身内にお布施の相場を訊ねる、同じ檀家さんに聞く、お寺の事務局に尋ねたりして、お布施の目安を確認しましょう。
・お寺との付き合いがなく、葬儀社にお寺を紹介してもらう場合は、葬儀社が「戒名代」やその他、僧侶への金額プランを提示したり相談にのってくれます。
・地域やお寺との関係、宗旨宗派によって異なりますので、金額をお坊さんに直接尋ねることは失礼なことではありません。
例えば「皆さんはお布施をどれくらい包まれていますか?」と聞かれたら目安を話す僧侶もいます。
僧侶(1名)に通夜・告別式・初七日法要(2日間)の読経を依頼する場合のお布施代は約15万円~50万円の範囲のようです。
ちなみにお布施は直接僧侶に渡します。葬儀の前に挨拶する際、もしくは、葬儀後のお礼を伝える際に渡しましょう。切手盆(小さなお盆)にお布施をのせて渡すか、袱紗(ふくさ)の上にお布施を置いて僧侶に渡します。この時「本日はよろしくお願いします」、「本日、◯◯の葬儀のために供養いただきありがとうございます」などの一言を添えましょう。
心付け
近年では葬儀社が心付けを各箇所へ渡すことも多くなったようです。もしくは、心付けを葬儀社が預かり良いタイミングで喪主に渡す、ということもあります。
相場とタイミングは以下の通りです。
・火葬場係員:5千円~(火葬場に着いて棺を火葬炉に入れる前までの間)
・霊柩車運転手:5千円~(式場に到着して、火葬場で降車するまでの間)
・マイクロバス運転手:3千円~(式場に到着して、式場に戻って来るまでの間)
・ハイヤー運転手:3千円~(式場に到着して、式場に戻って来るまでの間)
・寝台車運転手:2千円~(故人様をお乗せして、搬送先に到着し安置するまでの間)
・配膳人:3千円~(食事が終わるまでの間)
葬儀社や斎場のスタッフへの心付けは不要、と考えてよいでしょう。
お礼、ご挨拶
葬儀後できるだけ早い時期に、喪主自身が葬儀でお世話になった方々にお礼の挨拶にうかがうようにします。また、弔電や供物をいただいた方にはお礼状を出しましょう。
1.寺院等への挨拶回り
葬儀でお世話になった寺院、神社、教会へのお礼と挨拶回りは、可能なら翌日に、遅くとも翌々日までには行ないましょう。喪主一人より遺族代表と二人で出向いたほうがより丁寧です。服装は平服でも構いませんが、喪服に準じた地味なものにしましょう。
2.お手伝いしていただいた方々へのお礼
隣近所、町内会の代表、故人の勤務先などには1週間以内に挨拶にうかがいます。相手によっては、菓子折りなどを持参するとさらによいでしょう。
【世話役、世話役代表】
受付係、案内係、台所係など多くの人手が遺族に代わって葬儀の進行を取り仕切り、事務や雑事を担当してくれるのが世話役です。葬儀社にお願いする場合は前述のように挨拶にうかがい、相手によっては菓子折りを、でよいかと思います。しかし、昔ながらの地域作法として世話役などが立った場合は、精進落とし終了後「御車代(地域差があります、~5千円のところもあれば~1万円の場合も、年長者に訊いてみましょう)」として渡します。そして、世話役代表や葬儀委員長には後日改めて出向いてお礼を述べます。
【ご近所】
葬儀を手伝ってもらった方はもちろん、さらに、車や人の出入りで迷惑をかけた隣近所にもお詫びをかねてお礼にうかがいましょう。特にお世話になった方には菓子折などのお礼を持参しましょう。
【故人の勤務先】
必ず事前に電話連絡をしてからうかがうのが礼儀です。初七日までに済ませましょう。直属の上司、同僚、部下などに丁寧にお礼を述べます。菓子折を持参するといいでしょう。
【弔電への礼状】
弔電をいただいた方には礼状を出しましょう。
【供花・供物への礼状】
香典をいただいた方に関しては、当日中「会葬礼状」をお渡ししていますので挨拶回りは必要ありません。しかし、遠方から供花・供物を贈っていただいた方には、お礼状を出しましょう。また、電話でお礼を伝える、お礼の品物を持参する、お礼の品物を贈る等でお礼に代えることもあります。
香典返しを拒否された場合
相手のご厚意を無駄にしないためお返しは控え、丁寧にお礼状をしたため、感謝の気持ちを伝えましょう。ただし、高額の香典を頂いた方へは何かしらお礼の品を贈りましょう。香典返しとしてではなく、お中元やお歳暮など別の機会に贈り物をして感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。