葬儀に参列頂いた方や、受付などお手伝いして頂いた方にはお礼をするものです。しかしどこまでの範囲で、どのようにしたらいいか迷うこともあるでしょう。また町内会や地域ごとの決まりもあるようです。今回はご近所に向けた、会葬後のお礼についてまとめてみました。
会葬後・ご近所へのお礼は初七日までに
葬儀を終えた後には挨拶回りをします。これは葬儀の翌日から遅くても初七日までに、喪主あるいは遺族を代表する人がすることになっています。
挨拶回りをする範囲は、葬儀の進行や雑務を手伝ってくれた世話役や内会長や葬儀委員長といった、主だって葬儀の手伝いを進めた代表格を優先とします。次に故人の恩人や弔辞担当といった主な会葬者、手伝ってくれたその他の人、近所の人、故人の職場といった順番で挨拶回りをするようにしましょう。
特に世話役代表や葬儀委員長といった位置づけの方には、葬儀後の一両日中には挨拶に伺うようにします。
その際、喪服が正式な服装ですが、最近では略式喪服か平服でも構わないことが多いようです。平服はダークカラーのスーツや飾りのないブラウスなど、地味なものにしましょう。
またお礼の方法や品物については、世話役代表にあたる方には1万円~3万円、世話役には5千円、お手伝いの方には2千円あたりの金品が相場のようです。ただし町内会などでは、各家庭に不公平のないようあらかじめお礼についての基準を決められていたり、現金を受けとらないことがあります。また地域によっては、お礼を現金で済ませるのは失礼に当たることもあるようです。こういった内情は地域の葬儀社が詳しいことが多いので、確認してからお礼を用意した方が間違いがありません。
近所へのお礼ですが、これは葬儀の際に人や車の往来があったり、花輪を置いたりと騒音などの迷惑になったであろうことへのお詫びと、それにもかかわらず静かに協力してくれたことへのお礼です。ですから葬儀を直接手伝ってもらわなかった場合でも伺います。お礼の品はタオルやお菓子、あるいはカタログギフトなどの実用品がいいでしょう。のし紙は「志」と表書きします。
また職場へのお礼は菓子折りなど、多人数で分け合えるものにします。この場合のしの表書きは「御礼」とします。
ハガキや手紙を送る場合
葬儀のお礼を会葬礼状としてハガキで出す場合、かつては葬儀や告別式後の翌日あたりに郵送していました。現在でも郵送の際は葬儀後一両日中に出すようにしますが、最近では葬儀後に清めの塩と一緒に手渡すことがほとんどです。会葬礼状は葬儀社でも取り扱っており、また印刷所では定型文が初めから書かれているハガキも取り揃えていますので、早い段階で注文しておけば葬儀の際すぐに渡せますし、文面で悩むこともないでしょう。
注文する場合は、参列者の数を想定したうえで少し多めに発注するようにします。葬儀後に手渡しの際は宛名は必要ありません。また故人の続柄は喪主から見たものを表記します。手渡しの際は、香典の有無にかかわらず葬儀に参列した人すべてに渡します。記帳のタイミングで渡すとスムーズです。
また、現在では手紙やハガキの会葬礼状を郵送するのは、葬儀に参列できず弔電や花などを送ってきた人を対象とします。手紙・ハガキどちらの場合も基本的に縦書きで、手書きにします。時候の挨拶文は必要ありません。故人の呼称は「故 ○○○○儀」と名前の下に儀をつけます。礼状は花や弔電といった配慮に対してのお礼を簡潔に述べる文章です。本来お礼は直接伺ってするものなので、手紙やハガキだけを送る場合はその非礼を詫びるようにしましょう。
お礼の電話はかえって迷惑?
電話でお礼をする方法もありますが、こちらはあまりお勧めできません。なぜなら会葬にあたって頂いた一人ひとりに電話をかけるのは喪主側の手間にもなりますし、同時に相手の時間を奪うことにもなるからです。また近年は携帯電話やスマートフォンが普及しており、固定電話がない家庭も増えています。さらに携帯電話などでは出先や勤務中などにかけてしまうことがあり、かえって迷惑になります。ただし直接お礼に伺う時間帯の確認などは、あらかじめ電話でしたほうがいいでしょう。
手紙やハガキもそうですが、電話でのお礼はあくまで「直接お礼に伺えなかった場合」に仕方なくとる略式です。相手の都合を知らずに電話をするくらいなら、いつでも読める手紙やハガキのほうが親切です。
お礼メールに返信してはいけない?
近年では葬儀のお礼をメールで送ることも増えてきました。本来はお礼は直接出向くか、ハガキや手紙、電話ですることが一般的でメールは失礼にあたります。しかし会社や学校など何らかの組織や部署では、他に外部との連絡手段がないこともあります。そういった場合はメールでかまいませんが、あくまでも略式であることを意識しましょう。件名は簡潔に内容が分かるようにし、文末にも「略式にて失礼いたします」と必ずお詫びの一文を入れます。
また、葬儀のお礼をメールで受け取った場合、「不幸を繰り返さない」といった意味で返信はしないのがマナーです。
家族葬などでのお礼の方法
家族葬などでは手伝いに入る人がいなく、またひっそりと行うことが多いため、近所の人にお礼や挨拶をするタイミングを逃してしまいがちです。こういった場合には、葬儀が終わったことへのお礼と挨拶文を町内会の回覧板で回してもらうのも一つの方法です。
ただし町内会に加入していない、もしくは地域によっては回覧板がなかったり、そういったことをしていないことがありますので、まずはどういった形でお礼をしたらいいか葬儀社スタッフに相談することをお勧めします。
まとめ
葬儀の際に手伝って頂いた方、隣近所、会葬者へのお礼のマナーをまとめました。マナーは地域や時代、状況によって変わるものです。気を遣ったことがかえって相手の迷惑や遺族の負担にならないように、まずは知識のある葬儀社のスタッフなどに確認してみましょう。