大切な人が亡くなった後、葬儀や手続きの他にもまだすることがあります。遺品整理です。遺品整理は財産分与や管理、故人が独居であったなら部屋の明け渡しのためなど様々な理由で必要になってきますが、遺族だけではなかなか進みません。遺品が多すぎる場合はなおさらでしょう。そこでどうしたらいいかをまとめてみました。
遺品整理が進まないのはものが多いから?
遺品が多くて整理が進まないのは単に作業が大変だからではありません。ただゴミとしてものを処分する片付けとは違い、遺品整理は遺産や形見を分けるために多量のものを選別することが必要になりますが、遺族だけでそれを行うのは作業の手間以上に精神的・肉体的なダメージが大きいものです。
あくまで一般論ですが、人は「いつか使うだろう」や「もったいない」という思いからものをため込みがちです。しかしその人がいなくなれば大部分は不要となってしまいます。まずその中から書類など必要なもの・遺産として取っておくべきもの・思い出の品などをより分ける作業が大変です。また遺言書があったり故人の意向がはっきりしている場合、内容にそって遺品を捨てたり売却・譲渡したりなどの手間が発生するので時間と体力も使います。さらに賃貸住宅の場合は原状回復して明け渡すため、期間内に清掃までを済ませなければなりません。もちろん一人では難しいので家族総出の作業になるでしょう。
こういった煩雑なことを、故人の記憶や温もりが残った品物をひとつひとつ手に取って行うのは想像以上にエネルギーを使うものです。これをまだ悲しみが癒えていない時期にするのは大変な負担であり、遺品整理が進まない原因となっています。
業者を頼むその前に、遺族は何をしたらいい?
遺品が多すぎる、精神的その他の理由で遺族だけでは整理しきれないという場合、業者に依頼するという方法もあります。とはいえ「遺品整理って具体的に何をするの?」と思われるでしょう。また近年ではリサイクルや廃品回収の業者が遺品整理を手掛けることも増えてきました。そこで気をつけたいのが業者の選び方と、見積もりを依頼する前のチェックです。
まず業者を選ぶ際のポイントは「遺品整理士」がいて、なおかつ「古物商許認可番号」「家庭系一般廃棄物収集運搬」といったリサイクルや廃棄物に関する各自治体の許可があることを公開しているかです。
遺品のなかには土地などの権利証や預貯金など重要なものがあります。こういったものを処分するには法的な知識も必要ですし、遺品をどう扱うかを熟知していないと作業自体の効率も下がります。そこで専門の教育を受けた「遺品整理士」の資格を持つスタッフがいることが重要になってきます。さらに遺品が多いと、それだけ処分する不要品も多く発生します。そこで不要品をリサイクルや廃品処理に回すのですが、ここで古物商許可を取らないような業者に当たると、故人が大切にしてきたものや大事な書類などを詳しく確認せずにまとめて不法投棄されている恐れもあり、トラブルのもとになりかねません。
現在多くの会社がホームページ上などで遺品のリサイクルや廃棄を合法的に、かつ心を込めて行うアピールをしています。その証拠ともいえるのが「遺品整理士」「古物商許認可番号」などです。こういったところは遺品をゴミとして扱わず、お焚き上げなどの供養や、必要に応じたハウスクリーニングも同時に手掛け、価格表示も明確であることが多いようです。
遺族側は業者を選ぶと同時に、故人宅が賃貸であるなら明け渡しの時期やどの程度まで原状回復させるかをオーナーに確認し、また故人が遺書をのこしていないか確認しましょう。これは事前の見積もりが必要なため、住居の広さや状況によって価格や必要な作業工程が変わってくることと、あくまでも遺品整理なので故人の遺志にそって作業を進めなければならないからです。そのためある程度の目途をつけることが必要なのです。
遺品整理でさらに注意したいこと
遺品整理を業者に依頼するとはいえ、ひとつひとつタンスの引き出しなどを開けて遺品を確認しながらの作業になるため遺族の立ち合いが必要です。また作業をスムーズに進めたりトラブルを防ぐためにも準備することがあります。
とにかく遺書や遺言の類はないか確認しましょう。直筆の手紙などは通帳や印鑑といった大事なものを入れる引き出しや金庫、紙箱の類に入っていることが多いです。遺書がない場合は特に、親族などへ遺品整理をする旨を伝えスケジュールを合わせるようにした方がいいという意見もあります。そのため親族が集まりやすい四十九日などのタイミングで遺品整理を行う家もあります。また貴重品や美術品などはあらかじめ写真を撮っておくと、万が一破損などの際に証拠となりますので便利です。
まとめ
遺品整理は肉体的・精神的なダメージの強い作業です。ましてや遺品が多ければ不要品との分別も大変ですので、信頼できる業者に依頼するのも一つの方法です。その際は「遺品整理士」や「古物商」といった資格のある3社以上の業者から見積もりを取るようにしましょう。またスムーズな作業・相続のためには遺書がないかよく確認することが必要です。万が一ない場合は親族と話し合うなどトラブルを未然に防ぐことが大切です。