葬儀を終えてもすること多くあります。これまでの白木の仮位牌から本位牌に作り替えることもそうでしょう。とはいえ、いつ、どのように本位牌を購入したらいいか、そもそも無宗教なのに位牌は必要なのか?分からないことも多いでしょう。そこで今回は本位牌についてまとめました。
本位牌は四十九日までに各自購入するものです
近年はお寺と家庭との結びつきが弱くなったせいか、位牌についても多くの勘違いをされていることがあります。なかでも本位牌はお寺で作ってくれる、あるいは葬儀社のプランに含まれているなどと思われる方が多いようです。しかしこれは全く違います。本位牌は四十九日までに遺族が購入するものです。
四十九日まではお寺や仏具店などで各自が購入し、戒名を彫ってもらいます。それまでの白木の位牌はあくまで仮位牌です。白木は汚れやすい材木であることから古くから純真無垢の象徴とされ、また一度きりのものに使われてきました。材木自体が繰り返しての使用に向かないものであると同時に、位牌は故人そのものを表していると言われています。四十九日を迎えるまでは故人の来世での行き先が決まらないため、位牌も仮のものにしているわけです。
なぜ四十九日までなの?
ではなぜ四十九日までに本位牌を用意するのでしょうか。これは仏教の考え方によります。仏教では人が亡くなると7日ごとに7回、あの世で裁きを受けると言われています。その間「追善供養」といって故人が無事裁きを終えて成仏できるように法要を行います。
7回目の裁き、つまり四十九日が終わると故人の来世が決まり、現世の遺族たちも喪が明ける「忌明け」となります。そこでようやく故人が成仏したことになるので、その魂は現世になくなってしまいます。そこで供養や祈りの象徴として、故人を表す位牌を作る必要があるのです。
位牌の選び方・注意点など
実際に位牌を購入するときには注意点もあります。まず菩提寺への相談、もしくは信頼できる仏具店を選ぶことが大事ですが、一番注意したいのは戒名の名入れです。本位牌を作る際に戒名や俗名を必ず入れることになっていますが、職人による手彫りの場合は購入から出来上がりまでに2~3週間ほどかかることがあります。ですからあまりギリギリに依頼すると四十九日に間に合わないことがあります。この場合初七日のタイミングで依頼するといいでしょう。
また位牌には唐木位牌・塗位牌といった一般的な板状の「板位牌」のほか、先祖代々の戒名を書いた板を複数入れられる、「繰り出し位牌」があります。ここで気をつけたいのは、先祖の位牌と形状を合わせることです。ただし繰り出し位牌は先祖代々をまとめたものなので、その限りではないようです。また故人の位牌は先祖より大きくしてはいけません。さらに仏壇の大きさを把握して、頼んだはいいけど入りきらない……ということがないようにしましょう。
その他、近年ではインターネットや通信販売でも位牌が買えるようになりました。特にインターネットでの購入は店側に人件費がかからないことから、位牌も低価格に抑えられていることが多いようです。ただしあまりにも低価格だと品質に問題があることが多いため、半永久的に保管しておく位牌を買うにはよほどの知識や見る目がないと難しいでしょう。
本位牌の相場は唐木位牌で2万~5万ほど、塗位牌や繰り出し位牌では3万円程度からかなり高額のものまでと、決して安い買い物ではありません。また近年では宗派にこだわらない、インテリア風の木目を活かしたモダンな位牌もあります。位牌にも種類があるため、やはり専門のスタッフと相談したうえで自身の目で確かめてから購入した方が確実です。
位牌がいらない宗派もある?
また本位牌、位牌そのものを必要としない宗派もあります。浄土真宗では「あの世で裁きを受ける」といった迷信を否定し、死者はなんの裁きも必要とせずそのまま極楽浄土に行くとしています。また魂や霊といったものもないものとしているため、位牌を作ることも否定しています。そこで浄土真宗では位牌のかわりに戒名・俗名と命日を記入した「過去帳」を使用します。
ただし位牌は故人を供養する目印、小さなお墓のような役割を果たしているため、心の支えとして置いておきたいという遺族が多いのも事実です。ですから実際は浄土真宗の信徒でも位牌を置いている家庭は少なくありません。
この点が気になるようならお寺や仏具店に相談してみましょう。
無宗教・戒名がない場合はどうしたらいいの?
さらに近年では無宗教、または戒名や仏壇、位牌もいらないという人も増えています。もちろん位牌がなくても構わないのです。また位牌は故人のものであることが分かればいいので、本位牌に書かれるのも戒名ではなく俗名であってもかまいません。
このところ住宅事情や個人の宗教観・死生観の変化により、仏壇や仏具も一目でそれと分からないモダンなデザインも増えています。本位牌にしても「かわいい」を売りにした、木目を活かしたナチュラルテイストなものも売られているほどです。もちろんこういったものは宗派どころか、無宗教であっても問題なく祀ることができます。
まとめ
これまでの仮位牌から本位牌に切り替えるのは四十九日までです。位牌の購入にはインターネットなどの通販も可能ですが、できることなら菩提寺や信頼できる仏具店など専門の知識がある人に協力を仰ぐのがいいでしょう。
無宗教などであっても、故人を想う象徴として位牌を購入する家庭は少なくありません。また本位牌は戒名がなくても故人であることが分かれば問題ありませんが、名入れをする場合は手元に届くまでに3週間ほど日数が必要なことがあります。
法要の日程やご家庭の宗教観などに合わせて、末永く祀ることのできるものを購入しましょう。