カレンダーの残りが少なくなり、頭を悩ませるのが年末年始の挨拶です。特にことし身内を亡くされた方には余計につらいものでしょう。なかでも喪中はがきをどうするか、いつどのタイミングで誰に送るか?初めてのことで戸惑う方も多くありません。そこで喪中はがきについてまとめてみました。
喪中はがきとは何か?
身内に不幸があった時は四十九日までを「喪中」とし、遺族は喪に服して祭事やお祝いを自粛するのが一般的です。またその年は元日の挨拶や初詣なども含めた新年の行事も控えます。これは死が「穢れ」とされていた、古くからの神道の考え方が仏教ならびに日本人の考え方に広く普及しているからです。年賀状は新年の訪れを祝う挨拶状であるため、喪中の間はこれを送ることはできません。ですから事前に新年の挨拶はできない旨を親族や知人に知らせる必要があります。その際に出すのが喪中欠礼のはがきです。
喪中はがきは親戚や兄弟にも送るの?
喪中はがきは基本的に年賀状をやりとりしている人や新年の挨拶を交わす関係にある人全員に送るもので、親戚や別世帯の兄弟にも送るのが一般的です。
しかし近年は葬儀に参列した人や親族に送るのはかえって失礼になる、故人の死を知っている人にわざわざ喪中はがきを送るのは無駄だという意見もありますので、「誰に送るか」というのはご自身の周囲や地域、親族の慣習にならった方がいいでしょう。
では、いつ喪中はがきを送ればいいの?
結論から言うと、相手が年賀状を用意する10月下旬から11月中旬です。
まず喪中はがきは年賀状を出すなという依頼ではありません。あくまで喪に服しているためこちらからの挨拶は失礼するというお詫びです。ですから喪中にある人が年賀状を受け取る分には一向にかまわないのです。ただその場合、お祝い事はできないため年賀状を送り返すことはできず、寒中見舞いという形で返事をしなければなりません。
しかし実際には喪中だということを知らず年賀状を送ってしまったとき、また反対に喪中に年賀状を受け取った場合でもお互いを気遣ってしまうものです。年賀状の送り主に対して悪いなと思ったり、寒中見舞いのハガキを買い足しに走ったり、多くの人がそうしてしまうでしょう。
そういったことを考えると、喪中はがきは年賀状を投函する時期までに相手に届くようにする必要があると分かります。郵便局の年賀状引き受けは曜日などによっても前後しますが毎年12月15日から12月25日あたり、これが元日に届く投函期限です。あるアンケートでは回答者の72%が元日に年賀状が届くように投函し、さらに別のアンケートでは回答者の約半数が「遅くとも12月25日には投函する」と答えています。アンケート内容が違うことと、人によって元日に着くまでの日数に関する認識のズレがあるためか数字が合わない部分もありますが、ほとんどの人が12月25日までに年賀状を投函しているようです。
では喪中はがきもそれ以前、12月くらいに出してもいいのでは?と思うでしょうか。しかし一般的に年賀状は前もって用意しておくものです。特に付き合いが多く年賀状をたくさん出す人なら早めに必要枚数を把握し、はがきを予約したり印刷所を手配したりしていることがあります。全国の郵便局で年賀はがきが発売されるのは通例として11月1日です。またスーパーやコンビニを予約窓口とする印刷所では11月、早いところでは9月や10月から予約を始めているところがあります。
そういったことから12月に喪中はがきを用意するのでは間に合わないことがほとんどでしょう。喪中はがきは相手が年賀状を投函する期日ではなく、年賀状を実際に購入しようとする以前に出しておきたいものです。ですから年賀状の発売日に合わせた11月1日を基準に、10日前後の幅を持たせた10月下旬から11月中旬に送るのが最適と思われます。
年末に亡くなった場合は?
一般的な喪中はがきは10月下旬から11月中旬に送るものだと分かりました。では11月や12月に亡くなった場合、喪中はがきが用意できない場合はどうしたらいいのでしょうか?
11月に亡くなった場合は、初旬なら喪中はがきも間に合うことがあります。喪中はがきは年賀状を投函するまでに届けばいいので、遅くても12月初旬までなら大丈夫でしょう。その際は印刷所もしくは喪中はがきを手配する葬儀社などに「いつごろ届くか、時期に間に合うか」確認した方がいいでしょう。
間に合わない場合、あるいは亡くなった時期が12月の場合は喪中はがきを送ることができません。物理的には送れますが相手の投函日に間に合わないので送っても意味がないということです。この場合は喪中の家庭にも年賀状が届くことになります。そういった際には年賀状をそのまま受け取って、後日「寒中見舞い」という形で欠礼のお詫びと事情を簡潔に述べます。
また喪中はがきには、いつ誰が亡くなったか・喪主との続柄・日頃の付き合いへの感謝と欠礼のお詫びを書き、近況報告などの余計なことは書きません。
まとめ
喪中はがきを送るにも相手が年賀状を購入する時期を考慮する必要があるため、10月下旬から11月中旬と早めに出す必要があります。そんな早くから……と思われるでしょうか。しかし年末年始は誰しも忙しく時間が経つのも早く感じるもの。マナーとは規則ではなく、相手に対して余計な気遣いや手間をかけさせないための配慮です。喪中のあいだは何かと気ぜわしく相手の立場に立つ余裕を感じられないものですから、この機会に知識として覚えておきましょう。