遺品のなかでも特に捨ててはいけないものがあります。相続の対象となる現金や権利証、あるいは故人の印鑑や証明書の類、その他思い出の品などです。しかし近年では思いがけないものが「捨ててはいけないもの」に含まれますので、うっかり処分してトラブルにならないようリストを作るとよいでしょう。
捨ててはいけないリストを作ろう
故人が遺した沢山のものから、不用品とそうでないものを分ける作業は大変です。そういった遺品整理をスムーズにするためにも、また相続上のトラブルを小さくするためにもまずは「捨ててはいけないリスト」を作ることをお勧めします。以下は捨ててはいけないものの分類です。
まず捨てられないのは、現金・土地などの権利証・会員証・証券・株券といった相続の対象になる財産です。これは言うまでもありませんが、特にものの多い家庭では引き出しや古新聞などの間に乱雑に挟まれていて紛失するケースがあります。そこで何を所有していたか把握する必要があります。
次に故人の印鑑や年金手帳・保険証・免許証といった証明書の類です。これも死亡による資格喪失の手続きなどに必要になる場合があるので、とっておきます。また生前に介護用ベッドや車いすなどの介護・医療用品を使っていた場合はリース品でないか確認します。故人の住んでいた家の鍵など返却が必要なものも当然捨ててはいけません。
さらに宝石や骨とう品・美術品などの高額なものについても同様です。こういったものは評価額によっては財産とみなされ、相続税の対象になるからです。そして最後に故人が大切にしていた思い出の品・どうしても残したい写真・あるいは故人の遺志で残すべきものをリストアップしていきます。
これらをまとめると、現金をはじめとした財産・権利証の類・印鑑・証明書・リース品など他者から借りているもの・高額品・思い出の品・その他遺書に記載されているものなどが「捨ててはいけないもの」になります。
PCは捨てちゃダメ?「デジタル遺品」について
ところで「デジタル遺品」という言葉をご存知でしょうか?これはPCやスマートフォン・携帯電話などネット上に納められた故人の情報のことです。具体的には故人が撮った写真などのデータやSNSなどの投稿・取得したアカウントなどを指します。特にPCなどを譲渡する場合などは、故人の知られざる情報まで漏れる恐れがありますのでデータの確認・削除が必要です。
さらにブログやホームページなどネット上で交流があった人にも、訃報を伝えたほうがいい場合があります。PCなどにアカウントが自動保存されていれば、パスワードがなくても大抵は第三者でも該当ページに入れます。故人の遺志がある・もしくは遺族が必要と判断すれば、ネット上の「仲間」に挨拶をしてからアカウント削除などの手続きをすることもあるでしょう。そういったことが済むまではPCなどの情報機器は処分しない方が賢明かもしれません。
遺書をなくすと本当に大変です!
何よりも一番捨ててはいけないものがあります。故人の遺書・または遺言を書いた書面の類です。これは故人の遺志を本人が示した重要な「証拠」になります。故人の財産すべてと誰に何を相続させるかが明記されているので、故人が遺したいもの・捨ててもいいものについての指針にもなり遺品整理の際にも役立ちますし、親族間のトラブルを小さく済ませることができます。
遺品整理に遺書があるのとないのでは作業の効率化はもちろん、遺族や親族の心情も違ってきます。後々のためにも絶対になくしてはいけません。
医療・介護用品はリースではありませんか?
また案外見落としがちなのが介護用品や医療用品です。長期的に使わない介護用のベッドや車いす、手すりなどは高額なため、リースにして月々の支払いを介護保険でまかなうようにしている場合があります。例えば急激に症状が悪化して床ずれを予防するマットなどを一時的に使用した、といった場合はリース品である可能性が濃厚ですので、まずは担当のケアマネジャーや病院などに確認しましょう。
これはレンタル品全般に言えることです。ケーブルテレビのチューナーやPCのルーターなども借りていることを忘れがちなので注意が必要です。
宝石・美術品などは財産です!
さらに宝石や美術品、毛皮・骨とう品・一流ブランドの家具や時計など高級品はたとえ「モノ」であっても、金銭に換算できることから相続財産とみなされます。厳密に言うとこれらも相続税や贈与税の対象になりますので、親族間のトラブルを避けるためにも慎重に分配する必要があります。間違ってもすぐに売却してしまうことがないようにしたいものです。
まとめ
遺品の中でも特に捨ててはいけないものがあります。現金や証書の類はもちろんですが、介護用品などのレンタル品・PCやスマホのデータや故人のアカウントといった「デジタル遺品」は案外見落とされがちです。また宝石などの高額商品などは税金も絡んでくるので、故人の遺書にしたがって慎重に分配する必要があります。まずは「捨ててはいけないもの」リストを作ってみましょう。