まずは、お通夜、葬儀・葬式、告別式について簡単に説明します。
【通夜】
お通夜とは、葬儀前夜に故人の成仏を祈る儀式です。親類や故人と親しかった友人・知人が葬式前夜に集まり、死者に邪霊が入り込むことを防ぐため夜を徹して故人と共に過ごし、別れを惜しむ儀式です。
※お通夜に参列できる人は、この時に香典を渡しましょう。
昨今、葬儀・告別式に出席できない人の「お別れの場」としての意味合いになり、一般の弔問客を迎えて、半通夜(約1時間)が多いとされています。お通夜は、僧侶の着座にて始まり、遺族と参列者は焼香を行ないます。
【葬儀・葬式】
葬儀または葬式とは、人の死を弔うための祭儀です。故人をこの世からあの世へ渡らせる宗教的儀式で、遺族や親族、知人、友人が故人の冥福を祈るために行ないます。
【告別式】
告別式とは、知人が故人と最後のお別れをする儀式です。「主催者」ではなく「弔問客である会葬者全員が焼香し、故人と最後のお別れをする儀式です。以前は、葬儀・葬式と告別式は別々に行われる儀式でしたが、近年「 葬儀・告別式 」は同時に行なわれるようにもなりました。
新しいスタイルの「家族葬」や「直葬」、「一日葬」などが増えている昨今、上記の儀式を省いたり、もしくは一緒にしたりするようになりましたが、人が亡くなると基本「こういう儀式」がある、ということだけでも頭に入れておきましょう。
まずは、参列できない旨の通知
お通夜、葬儀の知らせは突然のことがほとんどです。しかし、参列できなくても通知を放置せず、きちんと返答するようにしましょう。返答することは、弔意を伝えることにもなります。ご遺族は多忙です、何度も電話せず、長電話などご法度です。簡潔かつ丁寧に弔意を伝え「遠方のため参列できません、申し訳ございません」などと簡潔な理由も添えてお伝えしましょう。
弔電を打ち、送りましょう
お通夜や葬儀、告別式に参列できない場合は、弔電を打ちましょう。NTTの電報や、郵便局のレタックス、最近ではインターネットで電報を扱う会社もあります。文面には、「重ね重ね」や「たびたび」や「浮かばれない」など、弔辞で使えない「忌み言葉」に気をつけてください。また、キリスト教の場合は「ご冥福」なども使えません。電報を申し込む際に「弔電をお願いします」と伝えれば、例文を教えてくれます。
※弔電の宛先は「故人」ではなく「喪主」か「ご遺族」です。
香典を送りましょう
香典とは、線香や抹香、花の代わりに故人の霊前に供えるもので、現金を不祝儀用ののし袋に包んだものをさします。
※もし、すべてに参列する場合でも、香典や記帳は一回きりです。何度も行なうと「不幸が重なる」として、縁起が悪いからです。注意しましょう。
1.遠方なら郵送
葬儀が遠方のため行けない場合は「弔電を打ち、香典を送る」か「弔電を打ち、供花を贈る」かのどちらかが相応しいでしょう。
また、送る前に香典を辞退されていないか必ず確認しましょう。(後に述べますが、香典辞退の場合、供花を送る等します)送付方法は普通郵便でなく「現金書留」を使います。現金書留用封筒には文書も同封できますので、参列できなかった旨をお詫びする手紙を用意するのがマナー、丁寧な対応方法になります。お悔やみの言葉と「遠方のためお通夜ご葬儀に参列できず申し訳ございません」など簡潔かつ丁寧な手紙にしましょう。
2.代理人に預ける
時間的にどうしても参列出来ない場合は、参列できる知人に香典を預ける方法もあります。家族や友人に代理になってもらってもよいでしょう。代理人は、故人と面識がなくても大丈夫です。香典は、参列できなかった当人の名前で持って行ってもらい、記帳にも当人の名前を書き、その下に「代理」と書いてもらいます。代理をたてることは本人が参列したことと同じになりますが、可能な限り、後日改めて弔問に伺えたら、なお、よいでしょう。
3.後日伺う
香典は絶対に通夜や葬儀の日に渡さなければならないものではありませんので、後日改めてご自宅の方へお参りに伺いましょう。ただし、後日伺う場合にはマナーがあります。「四十九日法要が過ぎているかどうか」によって表書きが変わります。 法要の前であれば、葬儀の際と同様「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」となります。
また、ご遺族は一連の葬儀を終わらせたところで疲れておられるので、四十九日の法要の後などを希望される場合もあります。電話で「弔問に伺いたいのでご都合のよい日を教えてください」と確認しましょう。
先方の希望に合わせ、伺った際にもあまり長居をせず早めに退去、ご遺族に負担をかけないようにします。また、香典を現金書留で送っている場合でも、故人に供える菓子や花を持参するようにしましょう。
【香典袋の表書き】
香典袋の表書きは亡くなった人の宗派により変わります。
・仏教:「御霊前」「御香典」「御香料」
・キリスト教:「御花料」「御霊前」
・神式:「御神前」「御玉串料」「御榊料」
「御霊前」はどの宗派でも使えます、故人の宗派が不明な場合は「御霊前」を使いましょう。
【香典の金額】
故人との関係、お世話になった度合いによって金額を変えましょう。また、「新札を避けるという礼儀があります。これは「あらかじめ用意していた」という「葬儀を待っていた」印象を持たれるからです。手元に新札しかない場合は、軽く折り目を入れて包みましょう。香典の金額は自身の年齢が目安になります。迷う場合は、年上の方に相談しましょう。
・20代:3,000円~30,000円
・30代:5,000円~50,000円
・40代:10,000円~100,000円
供花・盛籠を出しましょう
供花・供物(盛籠)とは、故人の霊を慰め、また、故人の仏様への感謝の気持ちを表す目的として祭壇にお供えするものです。一般的な送り主は以下の通りです。なお、会社では、部署で取りまとめることもあります。
供花:親しい友人、会社や仕事の関係、遠方で参列できない方」(※香典を辞退されている場合は、この供花を送ります)
盛籠:血縁関係
※供花や盛籠を出す時は、喪主の家に連絡するのではなく、通夜・葬儀・告別式等を行なうお寺・葬儀会館・葬儀社へ申し出るようにします。
供花や供物は宗教や地域の風習により異なりますので、こういうことは葬儀社に頼むのが一番です。祭壇に統一感を持たせた供花や供物を選んでくれます。供花を贈るときは通夜もしくは葬儀開式の3時間くらい前までには依頼しないと間に合わない可能性がありますので、担当葬儀社に受付時間を確認することをお勧めします。もし、葬儀に間に合わず送れなかった場合は、後飾り祭壇一式にお供えする花として、自宅にお贈りしましょう。その場合は、初七日〜四十九日の間に送ります。
大切なのは、故人を悼む気持ちを伝えることです。弔電や供花は悼む気持ちを表し、代理を立てるか後日に弔問をすることは丁寧な対応で自分の悲しみを伝えることになります。一番辛いのは血縁者ですから、喪主をはじめとしたご遺族に負担をかけないよう、弔意を伝えましょう。