通夜ぶるまいや精進落としに誘われたときのマナーは、どうすれば失礼のない対応ができるのでしょうか。初めての葬儀に参列する場合は、特に分からないことだらけですよね。また、宗教や地域によってもその儀礼はさまざまですし、分かっているつもりでも、もしかして間違っていることがあるかもしれません。ここでもう一度通夜ぶるまいは何か、精進落としとは何か、出席する場合のマナーや断るときのマナーについて考えてみたいと思います。
通夜ぶるまいって何?
通夜ぶるまいとは、弔問客の焼香や僧侶の読経などの通夜が済み、僧侶が帰ったあと、弔問客に対して行われる食事会ことです。みんなで食事をしながら故人を偲ぶという意味があります。
この食事会はさまざまな形式があり、地域によってもずいぶん違います。料理をふるまわれる場合もありますし、お茶を飲むだけのふるまいや、お酒を飲むこともあります。料理をふるまわれる場合は、人数が分からないため、大皿盛りの料理が出されることが多いようです。また、食事をせずに、お菓子を持ち帰るだけなんていうところもありますので、必ずしも食事をするとは限らないのです。
通夜ぶるまいに誘われたらどうすればいい?
通夜ぶるまいに誘われたら、できるだけ参加するのがいいでしょう。故人を偲ぶ食事会の通夜ぶるまいは、故人と一緒に食事をしながら故人を供養するという意味が込められていますので、参加することがマナーだといえます。この時に食欲がなかったとしても、一口でもいいから料理に箸をつけることで、故人と共に最後の食事をしたことになります。
通夜ぶるまいに参加したら、みんなで食事などをしながら、故人を偲び故人の思い出話をします。そのときは、どんなに話しに花が咲いても大声を出したり騒いではいけません。また食事会にお酒がふるまわれる場合もありますが、もちろん飲める人は飲んでも構いませんが、飲み過ぎないよう程々にすることを心がけましょう。あくまでも主役は故人で、その故人を供養しているのだということを、忘れないようにしなければなりません。
お酒をいただく際、グラスを鳴らして乾杯というのがお決まりな行為ですが、通夜ふるまいのお酒は献杯(故人を敬い、供養する儀式)となりますので、これはマナー違反となりますのでご注意ください。
通夜ぶるまいをお断りする場合、途中退席する場合
通夜ぶるまいは故人との最後の食事ですし、たいがいは長時間拘束されることもありませんので、できるだけ参加するべきですが、どうしても出席できない場合などは、喪主やご遺族に出席できない旨の事情を説明して、そっと退席するといいでしょう。また通夜ぶるまいの途中で退席する場合は、喪主やご遺族はだいたいバタバタしていることが多いと考えられますので、隣の席の人に退席の旨を伝えてそっと退席するのがマナーです。地域によって多少異なることもありますので、その点については注意が必要です。
精進落としって何?
精進料理の本来の意味は、遺族が精進(忌中は肉や魚介類などの生臭ものを一切口にしてはいけないこと)する期間の食事のことをいいます。そしてその忌中明け(精進明け)の四十九日を終えてから、通常の食事に戻り、肉や魚介類及び飲酒などをしてもよくなる「精進落とし」となるのです。現在は忌中に精進料理のみを食するという習慣はなくなり、繰り上げて葬儀後に行うのが慣例となっています。
精進落としには、葬儀や法要が無事に終了することができたことを感謝して、出席者や僧侶に対してお礼やおもてなしをするという意味が込められています。ですから、葬儀の主催者である喪主や遺族が出席者全員にお酌をしてまわりながら、感謝の気持ちを伝え、おもてなしを行うのです。このときにふるまわれる料理は、忌中明けの精進料理でなくなるということから、肉や魚介類などの食材を用いることができるようになります。これを「半精進料理」と言います。
精進落としの際には、席次が重要になってきます。喪主や遺族がかなてより故人がお世話になった人たちというのを招きおもてなしをするのが、精進落としの席ですから、まず主賓である僧侶に最上座に座ってもらい、続いてはお世話役の代表者、故人の会社関係者、友人、近親者、親戚関係などの順に座ってもらいます。そして遺族や喪主は末席に座ります。
精進落としも通夜ぶるまいのときと同じように、だらだらと長時間行われることはなく、だいたい1時間程度で終了するのが通常です。
精進落としに誘われたらどうすればいい?
精進落としは、故人、ご遺族と親しかった人や、世話役などが出席されますので、誘われた場合は、やはりできるだけ出席するようにします。
座席については、だいたい席次があると考えられますが、もしすすめられた席が上座であったとしても、遠慮せず遺族の気持ちをくんでそのまま素直に着席するのがいいでしょう。
また故人を偲びくつろいで会話を楽しむのは構いませんが、やはりここでもお酒を飲みすぎていまったり、大声を出して騒いだりするのは、もちろんマナーとしてはいただけません。喪主やご遺族の気持ちを大切に、節操のある態度での出席を心がける必要があります。
精進落としの席での会話で気をつけなければいけないのは、故人の死に結びつくような話題は当然避けなければなりません。楽しい思い出話はいくら話しても構いませんが、故人の最後の様子や死因の根掘り葉掘りなど詮索するのはマナー違反です。そしてこの精進落としの席で改めてお悔やみを更に言う必要もありません。喪主やご遺族に声をかけてあげるのなら「お力を落とさずに」とか「お寂しいでしょうが、元気を出してください」など前向きな言葉で励ましてあげるのがいいでしょう。思いやりのある言葉や態度を心がけることで、喪主やご遺族にとっては、とても安らぐことができて、また活力となるのではないでしょうか。
通夜ぶるまいも精進落としも、宗教や地域によっても行いかたはさまざまです。一般的なマナーをしっかりと身につけ、意味を理解したうえで、葬儀に参列する前にできるだけ情報を入手し、準備を整えてから出席するといでしょう。地域の年配者や世話役などの人に相談するといいかもしれませんね。