葬儀が終わったあとに、遺族と近親者は火葬場に行きます。火葬場に同行できる関係者というのは、遺族と近親者、そして故人と特に縁の深かった人になります。もし自分が火葬場まで同行を誘われた場合にはどうすればいいのでしょうか? 火葬場に同行機会というのはあまりなく、もしもこのような場合にはどうしていいか迷ってしまいますよね。出棺や火葬までの手順やマナーなど、遺族に失礼のないようなスマートな対応をしたいものです。火葬場でのしきたりやマナーについてまとめてみました。
出棺から火葬までの流れについて
日本での葬儀といえば、火葬が行われることがほとんどですので、葬儀が終われば出棺し火葬場に行くことが最も一般的であるといえます。この時の流れについて順を追って確認してみましょう。
【最後の別れ】
葬儀終了後、棺を祭壇からおろします。ここで遺族や参列者によって「別れ花」という儀式が行われます。それぞれに生花を手にし、遺体のまわりに生花を飾り付けていきます。飾り付けていく順番は、故人に近い人間から行いますので、喪主、喪主の配偶者、親兄弟、子供、となるわけです。
【出棺】
棺は遺族や親族によって担ぎ出され、霊柩車に運び込まれます。この運んだり霊柩車に乗せる際は、かならず足側を先にすることが常識となっています。これには故人が家に戻ってくることがないように、という意味合いが込められているようです。
出棺の際に、位牌を持つのは喪主ということになっています。そして、遺影は喪主の次に故人とのつながりの深かった親族が持つのが一般的です。そして棺が霊柩車に収められたあと、喪主から参列者に対しての挨拶が行われます。
【火葬場へ搬送】
火葬場へは、喪主は位牌を手にしたまま霊柩車に乗って向かいます。そのほかの遺族や親族は、複数の車やバスに乗って向かうことになります。喪主や遺族のほかには、読経をするために僧侶が同行することもよくあります。
また火葬場には全員が向かうわけではなく、留守番役として数名残ることが多いようです。留守番役は火葬後の遺骨を迎える準備をしたり、会場の後片付け、精進落としの準備や火葬から戻って来た人のために清めの塩と水のなどを用意します。
【火葬】
火葬場に到着すると、納めの式というものが行われます。火葬炉の前の焼香台のそばに棺を置いて、台の上に位牌と遺影を飾ります。僧侶が読経を行い、遺族は焼香をして、故人との最後のお別れをします。納めの式が終わると、棺を火葬炉に入れてます。このとき送り出す者は、合掌をして見送ります。そして、火葬が始まります。
火葬はおおよそ1時間程度かかります。その間、参列者は控室で待つことになります。
【骨あげ】
火葬が終了すると、骨あげという儀式を行います。骨あげは二人一組となって行われます。ひとつの骨を二人同時に竹箸で拾い上げ骨壺に納めていきますが、箸を使うのは、三途の川の橋渡しをする、ということから由来しているといわれています。どの骨をどの順番で納めていくのかは、その葬儀を担当した係員が誘導してくれるので、それに従います。一般的な順番としては、まず歯を納めて次いで下半身の骨から納めていきます。最後に、故人と最も縁の深かった人が喉仏の骨を骨壺に納めて終了ということになります。
喉仏の骨は、その形が仏様の合掌をしている姿に見えることからそう呼ばれるようになったようですが、実際には、喉仏の骨ではなく、頭を支える首の骨で第二脛骨が正解です。また喉仏の骨がきれいな形で残っていれば成仏できるとか、生前、善い行いをしてきた証であるなどと言われたりしますが、遺族の故人の対する思いから現れた迷信なのでしょう。
出棺から火葬までについては以上です。この手順やそれぞれの役割について確認を行った上で、自分が葬儀に参列した様子を想定し、火葬に同行したときのマナーを見てみましょう。
出棺の際に気を付けなければいけないこと
葬儀に参列し、焼香が済めば早々に帰ってしまう参列者もいますが、できれば出棺を見送るまではとどまっておく方がいいでしょう。告別式から出棺までは時間が少し空いてしまいますので、外で待っていなければいけませんが、最後まできちんとお見送りするのがマナーです。そして出棺されるときは合掌をして見送りましょう。
ちなみに、出棺が行われるときは礼装でなければなりません。冬の寒い時期であれば、出棺を待っている間だけはコートの着用は認められていますが、出棺の際にはコートは脱がなけれなりません。
火葬に同行した際に気を付けなければいけないこと
火葬場には通常は、遺族や親族しか参列することはありません。ぜひとも参列してほしいと誘われたのではなければ、事前にその旨を告げておかなければなりません。火葬場まで行くための車やバスなどの手段は、人数分の準備がされているはずなので、突然参列したいというのは迷惑となりかねません。
また、誘われた場合についても、無理に同行する必要もありません。同行したいと思うなら同行しても、この場合は問題はありませんが、断ったとしても失礼にはなりません。ただきちんとその理由を説明し丁寧に断るようにしましょう。
火葬場では、喪主や遺族は火葬炉の近くに立ちます。あまり邪魔のならないように、後ろの方で控えるようにしたほうがいいでしょう。
骨上げに誘われたらどうすればいい?
火葬場まで遺族と共に参列した場合、骨上げにもそのまま誘われることも考えられます。骨上げに参加できる人は、故人と縁深い喪主や遺族、親族が一般的ですが、深い縁のある関係者であれば、血縁関係でなくてももちろん参加しても構いません。誘われて、もし本人が参列したいと考えるのなら、合わせて骨上げをさせてもらっても構いませんし、控えたいと考えるのなら断ってもいいのです。参加した場合、竹箸で骨を拾い上げる順番は、故人と縁の深い順番になりますので、遺族の後となります。葬儀の担当者が立ち会っているので、分からない場合は担当者の指示に従うといいでしょう。
どちらにしても、やはり故人をどんな風に送り出してあげるか、そこが一番大切な部分となります。マナーを守ってスマートな対応をしたいと、それにばかり気を取られて、気持ちが込められていなければ意味はないでしょう。失敗しても、心を込めて送り出してあげたいという気持ちが大事ですよね。