親戚が亡くなったときや、会社で世話になっている人が亡くなったときには 葬儀の手伝いや世話を頼まれる場合があります。自分と故人の関係にもよって、頼まれる仕事やマナーは様々。お手伝いの際にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
葬儀の手伝いをお願いされるのはどんなとき?
昔は、葬式とは近所や町内会が中心となって 協力して行われるものでした。当日やる必要のあることも多く、町の中での助け合いで準備がなされていました。現在では葬儀社が中心となって進行していく形に変わったため、こういった町内会で協力しての準備というやり方は あまり一般的ではなくなっています。しかし、葬儀のスタッフ全てを葬儀社から出すのではなく 今でも親戚や遺族が葬儀の手伝いを求められることがあります。
また、自分の上司や先輩など会社関係の人が亡くなった際には、社員がその葬儀の手伝いを依頼されることがあります。特に若手の社員であれば、式の参列よりも手伝いを任されることが多いそう。このような機会があって いざ葬儀の手伝いをするとなった際、任される仕事にはどういったものがあるのでしょうか。
葬儀の手伝いでお願いされる仕事は?
葬儀の当日、手伝いとして任される仕事は 主に次のようなものがあります。
・受付係
・会計係
・接待係
・駐車場係
葬儀の司会進行や会場の設営などは、葬儀社のスタッフが担当することが多く 手伝いを募る機会は少ないです。上に挙げた係は、それぞれ役割や仕事の内容が大きく違います。特に参列者と関わる仕事は葬儀の顔にもなりますから、手伝いとはいえそれなりの責任が伴います。各仕事の内容を詳しく確認してみましょう。
【受付係】
受付係は会場の出入り口付近で、参列者の出迎えをします。ここでは喪家側の立場から、「本日はお忙しい中ご会葬ありがとうございます」など参列者にお礼を言い、参列者に記帳をしてもらいます。香典や供物・供花を受け取るのも受付係です。特に香典はあとから会計係に渡して 金額の確認などを行いますので、責任もってしっかりと預かります。また、受付係は会場案内の役割も兼ねています。トイレやその他会場での道順などを把握しておくとよいでしょう。
受付係は親族の他に、会社の関係者や近所の人にも頼まれやすい役職です。
【会計係】
会計係の仕事は、参列者から頂いた香典を管理して その金額を計算することです。受付係から香典を受け取った後、記帳された名前やその金額などを 誤りのないように確認して記入します。
会計係は 金銭を扱うことから、その責任はかなり重大です。ほとんどの場合、立場が異なる複数人(2人以上)が任されることになります。かなり大変な役職と言えるでしょう手伝いをお願いする側としても、会計係はミスなく信頼のおける人に任せるようにしましょう。
【接待係】
接待係の仕事は、葬儀に関わる僧侶・神職や弔問客にお茶を出したり、その食事の準備をしたりすることです。特に自宅での葬儀だと、遺族や参列者の食事も自宅側で用意するケースがあります。その場合手が必要であるので、お手伝いが必要となります。葬儀を葬儀社側が請け負う場合も、お弁当の配布などを手伝うことがあります。
台所を預かるので、女性が任されることがほとんどです。もし接待係を頼まれることがあれば、エプロンや割烹着などを準備して向かうとよいでしょう。
【駐車場係】
駐車場係の仕事は、葬儀会場の駐車場を手配したり、参列者の車の誘導を行ったりすることです。葬儀会場が自宅の場合には駐車場が足りなくなることがありますので、当日の参列者用の駐車場を手配します。また会館で葬儀が行われる場合には参列者が当日迷わないように、駐車場内で案内・誘導を行います。
駐車場係はその仕事の性質上、長時間にわたって葬儀会場を離れ、誘導を行わなくてはなりません。そのため 式から離れていても差し支えのない遠縁の親戚、特に男性に任されることが多いようです。会社関係の葬式の場合、同じく男性で、若い人が担当することが多くなります。
代表的な仕事は以上になりますが、地域や式場によっては 靴係、撮影係などをお願いされることもあるようです。事前の打ち合わせをしっかりと行い、自分の仕事について 式が始まるまでにきちんと把握しておきましょう。
葬儀の手伝い中の服装で気をつけることは?
上記のような仕事を任され、いざ手伝いに行くとなった際、服装はどのようにすればよいのでしょうか。
服装に特に気を遣うのは、遺族の代表として参列客を迎える受付係です。基本的には参列者と同じく 喪服を着用します。
男性の場合、黒のスーツと白いワイシャツ、黒のネクタイ、靴、靴下など。
女性の場合、黒のワンピースもしくはスーツ、鞄や靴も黒にします。アクセサリーは派手なもの、光るものは厳禁です。化粧もあまり派手過ぎないようにします。髪型も慎み深いものを意識しましょう。
接待係などの裏方に回る場合は、地味な色のエプロンを用意します。白や黒で無地のものがよいでしょう。ない場合は地味めで柄のないものを着用します。また、中学生や高校生がお手伝いとして参加する場合には、学校の制服を着用します。制服がない場合は、こちらも 黒やグレーなどの暗めの色をした服装を心がけます。
もしお手伝いを断らなくてはいけなくなったら?
近所のお葬式や、遠縁の親戚のお葬式でお手伝いを頼まれたけれど、何か理由があって葬儀に参加できそうにない・・・。そのような事態が起こってしまった場合は どう断ればよいのでしょうか。
仕事の都合上、または別の外せない用事のために、葬儀に出席できないということは誰にでもあり得ます。特にあまり関わりのない人や、遠くの親戚の場合にはなおさらです。
仮に葬儀のお手伝いを頼まれたが 参加できそうにないという場合には、その旨をはっきりと依頼者に伝える必要があります。電話でも口頭でも、親族に直接「この度はご愁傷さまでした。事情により葬儀にお伺いすることができません」とはっきり伝えます。もし親族以外の人から頼まれた際にも、同じように断りを入れ、また親族に対しても出席できない旨を伝えましょう。手伝いができない場合、その代理の人を探す必要があります。したがって、お手伝いに参加できないとわかったら 早めに連絡を入れましょう。
葬儀の後日、遺族のところへ弔問に伺うことがあれば、お悔やみの言葉を述べる際に「何もお役に立てず申し訳ありませんでした」と添えるとよいかもしれません。断るのは申し訳ないから・・・と無理をして参加し、何かトラブルのもとになるよりも、早めに連絡を入れて丁寧に断る方が 遺族側からしても予定を立てやすくなります。
おわりに
今でこそ葬儀社が葬儀のほとんどを取り仕切るようになり、手伝いを周囲の人に頼むケースは少なくなったとはいえ、葬式はもともと地域ぐるみで行うものです。親族、近所の方などに葬儀の手伝いを頼まれることはしばしばあります。そのようなときには「何をすればいいかわからない」とうろたえず、快く了承をいただければと思います。また、手伝いとはいえ遺族側に立って参列者を迎えることになりますので、その際のマナーなどには気を遣いたいものです。
不慮の事態が起こったときや、分からないことがあったときには、速やかに葬儀社の人やその仕事に詳しい人、遺族などに確認を取るようにしましょう。