通夜や葬儀のときに、祭壇の脇に飾る花を『供花』、霊前に供える品物を『供物』といいます。このふたつは、故人の遺族や親戚などや、特に親しかった友人から贈られることが多いです。または遠方に住んでいて葬儀に出席できない人や、勤めていた職場の人が「〇〇社一同」といった形で贈ることもあります。
いざ供花や供物を贈るとなった際にはどのようなことに気をつけ、どう贈ればいいのでしょうか。供花と供物の贈り方について紹介します。
供花・供物を贈るときの基本的な流れと注意事項
まずは供花と供物について、贈る際の流れを以下の通りです。
事前に 供花や供物を送っていいか喪主に了承を得る
式を行う斎場に 供花と供物について確認する
葬儀を運営する業者に手配をする
代金の支払い(手配した業者によって異なる。後述)
供花や供物を贈る際には、贈り主が遺族や親族である場合とそうでない場合、また宗教、地域などによって 贈り方や 何を贈るかが異なります。喪主の宗派が何か、自分の住んでいる地域の伝統などはあるのか、このような調査は事前に行っておきましょう。
遺族や親族から 供花・供物を贈るとき
遺族は葬儀の準備をするにあたって葬祭業者と打合せをするときに、供花をどうするか必ず聞かれることになります。基本的に、故人の配偶者、兄弟、子、孫などの遺族は供花・供物を用意します。したがって、葬祭業者との打ち合わせ時には、この遺族分の供花・供物は一括して注文します。
供花・供物を用意するときの名義ですが、普通は一人ずつになります。しかし、子供や孫など 未成年者が複数人いる場合は「子一同」「孫一同」のようにまとめて作られることも多いです。また、結婚して姓が変わった女性の親族に関しては、嫁ぎ先の主人の名義で供花・供物を出すことになります。
供花や供物の種類ですが、祭壇のまわりが寂しくなってしまったり、あるいは物が多すぎたりということがないよう 遺族の間で話し合って決めることもあります。
遺族・親族以外の人から 供花・供物を贈る場合
遺族や親族以外の 故人と親しかった人から供花・供物を贈る場合には、まず喪主に贈ってもいいかどうかを確認します。電話などで訃報を受け取ったときには「お花を贈ってもよろしいですか?」などと確認をします。
ただ供花・供物の打診がなかったとき、人づてに訃報を聞いたときなどには、こちらから喪主に電話をするなどして問い合わせることは避けます。喪家は通夜・葬儀前には非常に忙しく、精神的にも憔悴していて心に余裕のない状況が考えられますから、こちらからの連絡はかえって負担となってしまう可能性があります。
供花・供物の相談は 式を担当する葬儀社にするようにしましょう。
まずは葬儀が行われる会場に連絡を取ります。日程と喪家名を伝えると、式を担当する葬儀社とその連絡先が教えてもらえるので、そこへ問い合わせて供花や供物をお願いしましょう。
会場がそのまま葬儀社のものであった場合は、そのまま供花や供物を注文・依頼することができます。
供花や供物は祭壇に飾るものです。なので、祭壇を組み始めるまでには手配を済ませておかなければなりません。だいたい通夜当日の午前中いっぱい、遅くても3時間ほど前までに手配をするとよいでしょう。
供花や供物の代金は どこへ払えばいいの?
さて、注文した供花や供物、その代金はいつ、どこへ払えばよいのでしょうか?
遺族や親族の場合、式を執り行う葬祭業者にまとめて注文するので、代金はそちらに払うことになります。遺族・親族以外の人で 供物や供花を贈る場合は、参列した当日に葬儀社に直接支払うことが多いようです。また、後日に葬儀社に振り込むこともできます。
供花や供物の手配は、最近では電話やFAXの他にも 各葬儀社、斎場のホームページでウェブ上から行うこともできます。業者によって注文の仕方、支払い方法などは異なることがありますので、手配の際に確認をしておきましょう。
供花や供物を辞退されてしまったら?
訃報を受け取ったときや、葬式の案内を頂いたときなどに、遺族の側から「故人の遺志により、供花・供物の儀はご辞退申し上げます」「お花などのご配慮はなさいませぬようお願いします」などといった文言が添えられていることがあります。
このような場合はどうすればよいのでしょうか。
遺族側から供花や供物を辞退する理由はいくつかあります。
・会場側の都合
・形式ばったことをせずに 式を簡素に行いたい
・お返しの品物を贈ることによる 遺族側の負担をなくしたい
・故人の希望
上記のようなときには喪家の意向を尊重し、供花や供物は贈らないことがマナーです。
式前後には喪家に負担がかかりやすく、大変忙しい時期でもあるので、相手の配慮に欠いた行動で迷惑をかけないようにしましょう。供花や供物が辞退された場合はそれに従って、代わりに香典を持参します。また「ご厚志はお断り申し上げます」という文言が通知に記載されていた場合は、「供花や供物だけでなく香典も一切受け取らない」という意思表示になります。この場合も指示に従い、無理に香典を受け取ってもらおうとしてはいけません。
贈る供花や供物は 宗教によって違う?
さて、供花や供物は宗教によって贈るものが変わります。必ず相手の宗教・宗派が何であるかを先に確認し、失礼のないように品物を選びましょう。最近では葬儀社の方であらかじめ揃えていることも多いので、困ったら葬儀社に相談するのもよいでしょう。
以下に宗教ごとの基本的な供花・供物の例を挙げてみます。
【供花】
仏式:白菊、百合、菊、胡蝶蘭、故人の好きであった花 など
神式:仏式と同じ。白や黄色の花が好まれる
キリスト教式:生花の籠盛や花束など。白い花が好まれる
【供物】
仏式:線香、蝋燭、果物、菓子、抹香 など
神式:果物、海産物、酒、菓子 など
キリスト教式:なし
供花や供物に関しては 地域によっても様々なパターンやしきたりがあります。また同じ宗教内でも宗派によって違いがあることがあるので、事前の確認は怠らないようにしましょう。
おわりに
以上が供花や供物の贈り方についての 基本的な注意点となります。事前に遺族からの了承をもらうことや、宗教などの下調べは必須です。必ず行うようにしましょう。供花や供物は、葬儀において祭壇に飾られます。
喪家の宗教や会場の広さ、通夜・葬儀の日時など考慮することはたくさんありますが、喪家の負担にならないよう心がけてください。
最近は家族葬の増加や葬儀の規模の縮小も多く、供花や供物が贈られることは 以前の比べると少なくもなってきているようです。基本的なマナーを守って、故人への感謝や遺族へのお悔やみが伝わるようなものにしましょう。