喪中見舞いとは、喪中の相手への追悼の気持ちを伝えるための手紙や品物のことをいい、送ってくれた相手にお悔やみと励ましの気持ちを伝えるためにも、喪中のハガキが届いたら早めに送るのがマナーです。
近年、家族葬や直葬など、近親者だけで葬儀を済ますことが増え、喪中ハガキで訃報を知る、また、退職後の現役時代の知人との関係の薄れなどで連絡といえば年賀状くらい、訃報は喪中ハガキで知るということも増えてきたのではないでしょうか。
この喪中見舞いは家族葬、直葬などの増加により、今までになかった新しい習慣として広がり始めています。この習慣自体をまだ知らないという方も多くいらっしゃいますが、寒中見舞いと同様で、「もらって嬉しかった」「励みになった」など遺族の声も聞こえてきます。
ただし、喪中ハガキには必ずしも返事をしなくてはいけない、ということはなく、失礼に当たりません。喪中ハガキは「身内に不幸があり喪に服すため新年の挨拶を控えさせていただきます」という挨拶状なので、受け取る側に何かを求めているものではないからです。
それでも、親しい友人など親交の深かった方が亡くなられた場合は、やはり返事を書きたいものです。「お悔やみの言葉を届けたい」という気持ちから筆をとれば、上記のような遺族の声も聞こえてくるのですから、喪中見舞いはやはり送(贈)りたいものですね。
喪中見舞いのハガキ(手紙)を出すなら
喪中ハガキは11月下旬~12月上旬には届きます。喪中見舞いは年内が一番好ましいのですが、間に合わなければ「寒中見舞い」としてハガキを出す方も多くいらっしゃいます。
しかし、寒中見舞いは年明け早々には出せません。そこで、喪中見舞いであれば連絡を受けてすぐに返信できるので、最近では寒中見舞いより喪中見舞いを出す方が増えてきたようです。
また、品物と一緒に贈る方も多く、ハガキではなく「手紙」が主流になっています。
内容としては次のような形をおすすめします。なお拝啓や、時候の挨拶は不要です。
1.「喪中お見舞い申し上げます」と書きましょう。
2.喪中ハガキをいただいたお礼の言葉を書きましょう。以下が具体例です。
・「ご丁寧なご挨拶状をいただき、ありがとうございました」
・「このたびはお忙しい中、ご丁寧な挨拶状をいただき、ありがとうございました」などがいいでしょう。
3.不幸を知らずにいたお詫びの言葉を書きましょう。以下が具体例です。
・「少しも存じ上げず、お悔やみも申し上げず失礼いたしました」
・「最近では年賀のやりとりくらいで、このような悲報に接するとは信じられない思いです」
・「存じ上げなかったとはいいえ、お悔やみの言葉も申し上げられませんでしたことを、心からお詫び申し上げます」
・「平素ご無沙汰をしておりますばかりに○○様のご逝去の報に接し誠に驚いております」
・「年賀欠礼のお知らせをいただき、○○様のご他界を知って驚いております。存じ上げず、お悔やみの言葉も申し上げず失礼いたしました」
※より心をこめるには、遺族の知らない故人との思い出や人柄などについて、一言添えるとよいでしょう。
4.故人の冥福を祈る言葉を書きましょう。以下が具体例です。
・「お悔やみを申し上げますとともに、○○様のご冥福を心よりお祈り申し上げます」
・「遅ればせながら謹んでご冥福をお祈り申し上げます」
5.年賀状の挨拶を控える言葉を書きましょう。以下が具体例です。
・「服喪中でいらっしゃいますので、お年賀状を遠慮させていただきます」
・「服喪中と存じ、年頭の挨拶を控えさせていただきます」
6.遺族を慰め気遣う言葉、励ましの言葉を書きましょう。以下が具体例です。
・「○○様、およびご家族様には、どうか穏やかな新年を迎えられますよう心からお祈り申し上げます」
・「ご家族様にはさぞお力落としのことと拝察しますが、どうか穏やかな新年を迎えられますよう心からお祈り申し上げます」
・「どうぞお体に気をつけて新しい年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます」
・「さぞお寂しい年の瀬をお過ごしのことと存じますが、どうぞお体に気をつけて新しい年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます」
・「お心強く、穏やかな新春を迎えられますよう心よりお祈り申し上げます」
7.間違えて年賀状を送ってしまった場合は、お詫びの言葉を書きましょう。例えば
「知らぬとはいえ、年賀状を差し上げてしまいましたことを深くお詫び申し上げます」がいいでしょう。
8.品物を添える場合は、その旨を書きましょう。以下が具体例です。
・「心ばかりですが、○○様が好きだった○○をお供えください」
・「心ばかりのものですが、○○を贈らせていただきますので、お供えいただければ幸いです」
お供えの品物を送(贈)るなら
品物は、3,000円~5,000円程度のものが良いでしょう。贈られた側が負担を感じない程度の金額です。
贈るものは、お花、お線香、仏壇に飾れるもの、ギフト券、花券などがおすすめですが、「お線香」に関しては、喪中見舞いが最近始まったことなので、ご年配の方がどのように受け取るか分かりません。お線香を送るなら「喪中見舞い」ではなく「お供え」として贈ったほうが無難でしょう。さらに付け加えれば、「お供え」として贈られても、仏壇は実家で、自宅には無いという場合、受け取っても困ります。また「お線香はお返しをしなくてもいいもの」だということが案外知られておらず、お線香を贈られた際の「お返し」で先方の手を煩わしてしまいます。そのため、品物を送るなら、お花、または自由に使えるギフト券がよいでしょう。
喪中見舞いのハガキは販売されています
私製喪中見舞いハガキ(お悔みの挨拶文、絵柄が印刷済み)が全国の郵便局で2016年秋より販売されています。
また、通常ハガキには、切手料金額面がヤマユリ(通常ハガキ)や山桜(インクジェット用)、胡蝶蘭(通常ハガキ・インクジェット)のものもあります。
ヤマユリにはわずかに朱色(めでたい色)が入っていますが、胡蝶蘭には朱色を使用していないので「喪中用」として使われることが多いようです。また、切手には「弔事用」として、52円切手花文様があります。
ただし、やはり「喪中見舞い」は手書きのほうが心が込められよいと思われる方も多いはず。その際には上記の例文などを参考にされ、是非、筆をとられてください。