弔問とは、訃報を受け取った後に亡くなった人の自宅に伺い、お悔やみを述べることです。現在では亡くなられた人の遺体は自宅よりも葬儀場に安置されているケースが多いので、そちらへ出向く際にも同じく「弔問」の言葉が使われます。弔問にあたって一番注意しなければならないのが、いつ訪問するか、ということです。あんまり早く行っても遺族の負担になるのではないか・・・とも考えてしまいがちな弔問の訪問時期。どのようなマナーに気をつければよいのでしょうか。
弔問にはできるだけ急いで向かった方がいい?
訃報の知らせを受け取ったので弔問に伺いたいけれど、今押しかけると迷惑にならないだろうか・・・。ある程度 あちらが落ち着いてから伺った方が、ご家族の負担にならないのではないか・・・。
人が亡くなった直後というのは様々なことに気を遣うものです。特に遺族の家への訪問へ行くのであればなおさらです。ことさら気を遣うのが訪問時期。なるべく遺族の負担にならないようにしたいものですが、弔問にはいつ伺うのがマナーとして正しいのでしょうか。
実は、弔問にはあまり時間をおかずに、すぐに向かった方が良いとされています。訃報を受けた際にはもちろんのことですが、通夜や葬儀に参加できず、行われた後に自宅に弔問するときにもなるべく早い時期を心がけます。遅くても四十九日の法要が終わるまでに伺うのが良いでしょう。
電話や訪問は簡潔に!
訃報を受けて弔問に向かう際や、通夜や葬儀の日取りなどを聞くときには、「いつ、どこで行うか」を簡潔に聞きましょう。遺族側も忙しく、また精神的にも余裕のないことが考えられますので、あまり長々と時間は取らせずに要件を聞き、伝えることが重要です。無駄話はしないようにしましょう。
また実際に遺族の家を訪れた際にも、あまり長居をしないようにします。お悔やみの言葉は玄関口で述べ、特に親しい間柄でなければ 長話や無理に遺族を引き留めるようなことは厳禁です。時間にも心にもゆとりのないときです。遺族の立場をよく思いやって、あまり負担をかけないよう心がけましょう。
手伝いの申し出、故人との対面などの際のマナーについて
急な訃報の知らせを受けて遺族の家に駆けつける場合には、故人との間柄によって 遺族側に何か手伝いを申し出るのがマナーです。
訃報を電話などで知らされた場合には、その場でお悔やみを述べ、弔問に伺ってもいいか確認を取ります。許可が出た場合にはなるべく急いで自宅へと向かい、遺族に対面したときには玄関口などでもう一度お悔やみの言葉を述べましょう。その後、故人と親しい間柄であった場合や 近所に住んでいた場合には、通夜や葬儀を行うにあたって 何か自分に手伝えることはないかを遺族に尋ねます。
また、故人との対面や焼香などをしたいと弔問客側から申し出ることはマナー違反となります。自分から希望するのではなく、必ず遺族からの勧めがあって 許可を得てから行うようにしましょう。もしここで自分の気持ちの整理がつかないなどの理由で 故人との対面がつらい場合には、そのことを遺族側に伝え 対面を辞退することもできます。自分の気持ちを伝え、失礼にならないようお断りしましょう。
弔問に駆けつけるときの服装はどうすればいいの?
いざ遺族の家に伺うとなったときには、まず注意したいこととしては喪服は厳禁である、ということです。これは、弔問が 故人が亡くなったその日に行うものであることから、急な訃報を受け取って駆けつけたにもかかわらず喪服を着ていくということが「故人の訃報を予期していた」という意味に受け取られてしまうからです。これはかえって遺族に失礼に当たり、マナー違反となります。しかし故人の亡くなった翌日以降や 葬儀が終わってから弔問に行く場合などには、喪服を着て行っても失礼には当たらないとされることもあります。自分が遺族の自宅へと向かう状況に合わせて考えるようにしましょう。
それでは突然の訃報を受けての弔問の際にはどんな服装をすればよいのでしょうか。基本的に、弔問の際には地味で落ち着いた色合いをした平服で構わないとされています。ただ派手な化粧を避けたり、石付きの指輪は外したりといった配慮は必要です。また、作業着やジーパンなどのラフな格好はマナー違反です。「とりあえず急ぎで駆けつけた」という意味を表す平服で、「畏まりすぎない、地味な色合いのもの」を心がけるようにしましょう。
香典や手土産は持って行った方がいいの?
基本的に弔問の際には、香典も手土産も不要である、というのが一般的です。
香典についてですが、これは通夜か告別式で持参するものであるとされています。弔問時に持参して遺族に渡すのは「訃報を見越してあらかじめ用意されていた」ように受け取られるためマナー違反となります。
手土産についても、基本的には持参する必要はないとされています。しかし故人と親しい間柄で、生前に好んでいたものがわかるといった場合には、果物やお菓子などを持参することもあります。またどうしても何かを持って行きたいという場合には、蘭などのアレンジメントなどを「枕花」として持参するという手もあります。少なくとも必須ではありませんので、自分と故人の関係などを考慮して どうするか決めるようにしましょう。
【弔問にすぐに駆け付ける際のマナーまとめ】
・弔問に伺ってもいいかどうか 訃報を受けた際などに必ず遺族に許可を取る
・弔問にはできるだけ早く伺う
・電話や玄関口の挨拶では長話をせず、簡潔に要件を伝える
・お悔やみの言葉を述べた後に 何か手伝えることはないか尋ねる
・故人との対面や焼香は 必ず遺族の勧めと許可をもらってから行う
・弔問には平服で伺う
・香典は持参しない。手土産等も必須ではないので状況によって判断する
おわりに
弔問は通夜や葬儀前に遺族や故人と対面する機会となります。弔問をする側も受ける側も、どちらも心に余裕はないかもしれませんが、できることなら心穏やかに 故人と最後のお別れをしたいものです。
弔問に伺うとき、遺族は大変忙しい時期にあたります。弔問客は遺族への配慮を欠かさず、遺族の負担になるようなことを避けるように心がけましょう。電話での長話、玄関口での長居などには特に気をつけます。
また、弔問のタイミングや服装なども地域によって細かな差が出ることがあります。もし自分の住んでいる地域で不明な点があれば町内会の人や近所の方に聞いてみるのもよいでしょう。基本的なマナーを頭に入れ、いざというときに慌てたり恥をかいたりしないようにしたいものです。