香典返しとは、香典や供物、供花などによって悲しみに沈む遺族を助け、励ましたい、という気持ちを遺族側がくみ取り、四十九日の忌明け後に「いただいたお香典により無事、法要を済ませることができました」とお礼をこめて贈るお返しです。
香典返しの時期
まず、香典返しを貰ったらどうするかの前に、香典返しとはいつなのか、軽く説明します。
【仏式】
四十九日の法要をもって無事忌明けを迎えたお礼として贈られます。
なお、忌中が3ヶ月にわたる場合、切り上げで五七忌(三十五日)をもって忌明けの法要を行なうところもあります。
【神式】
一般的に50日目の霊前祭(50日祭)をもって、仏教でいうところの忌明けとなりますから、その後にお礼の品が贈られます。
また、仏式と同様、3ヶ月にわたる場合は、切り上げて30日祭でも良いとされています。
【キリスト教】
本来、キリスト教に香典返しはありません。しかし、日本では古来の風習にあわせ、仏教でいう忌明けをカトリックでは、30日目の追悼ミサ、プロテスタントでは1ヶ月の召天記念会となり、その後に記念の品が贈られます。
香典のお返しを貰ったら
香典返しの品を受け取っても、お礼の電話や手紙を書いたりすることは控えるのがマナーです。ただ、贈った方は着いたかどうか気になったり、また、四十九日が過ぎると人気も絶えて寂しさが募るころ、ご遺族と親交が深い間柄であれば、励ましの手紙を書いたり、電話をするのもよいでしょう。ただし、その際の挨拶には注意が必要です。
香典返しは「お礼」です、その「お礼」に「お礼」をしたら「繰り返す」ことになり、「繰り返しを良しとしない不祝儀」にはマナー違反です。
・ハガキを送ると丁寧です
目上の方であれば、到着のお知らせを兼ねて、ご遺族を気遣う「お見舞い状」をハガキでお送りするとよいでしょう。ハガキですから、時候の挨拶は省き、香典返しについては「ご供養のおしるしをいただきました」と報告にとどめ、けっして「お礼」をのべないようにしましょう。続けて、遺族の気遣う言葉や、故人の冥福を祈る言葉などで簡潔にまとめましょう。
・電話をする場合
親戚など親しい間柄であれば、電話で到着のお知らせをすることもよいかと思います。ただし、そのタイミングはちょうど、ご遺族のところへ同様の電話が集中しますので、長電話にならないよう気を遣いましょう。また、親しい間柄であるが故に思わず「ありがとう」「ありがとうございます」と言ってしまいがちですが、「お礼」の言葉になり、お礼にお礼を重ねマナー違反です。「お心遣い頂戴いたしました」、「お気遣い恐れ入ります」「ご丁寧に」「恐縮です」など言い換え方を事前に確認しておきましょう。
・メールをする場合
電話は迷惑だろうからメールを、などというと一見親切なようですが、メールは電話よりもさらに簡略化された連絡方法ですから、できれば避けた方がよいでしょう。もし、メールでお知らせする場合は、気の置けない友人、上下関係のない同僚などにとどめておいたほうが無難です。
年賀欠礼を貰ったら
喪中ハガキとは、正式には「年賀欠礼の挨拶状」であり、「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます」、また「喪中につき年賀状を出さないけれど、良いお年をお迎えくださいね」というものです。
「喪中ハガキは、喪中を知らせるもの」という勘違いが多く、「喪中だから年賀状は送ってこないでね」という意味に捉えられがちですが、あくまでも「年賀欠礼の挨拶状」ですので、喪中ハガキを送ってきた方に年賀状を送ってもなんの問題もありません。
しかし、現在では、喪中ハガキを貰ったら相手に年賀状を出すのは控える方が多く、故人を亡くした悲しみの中で新年のお祝いを伝える年賀状を出すのは心苦しいし失礼だ、と、相手を気遣う思いやりの配慮がそうさせるのでしょう。確かに、喪中の相手に「おめでとう」とはけっして言えません。
喪中ハガキを受け取って「何もしない」というのも失礼なものです。では、どうしたらよいのでしょうか。
1.それでも「何もしない」
書状をもらったら必ず返信すると思いがちですが、不幸をすでに知っていて、お通夜、葬儀・告別式など弔問が済んでる場合は、喪中ハガキに改めて返信しなくても失礼ではありません。不幸を知らなかった場合はもちろん、以下の方法で返信したほうがよいでしょう。
2.年始状を出す
もし年始にご挨拶をしたいと思う場合は、季節の挨拶状として、年賀状特有のお祝いの言葉は控え、遺族を励ます言葉を添えた年始状を出しましょう。
それでは年始状を出すのも気が引ける場合にはどうするべきでしょうか
1.寒中見舞いを出す
寒中見舞いとは、松の内(1月7日)が明ける1月8日から立春までの期間に出す挨拶状で、暑中見舞いと同じように季節の挨拶として送ります。現在は、年末にかけて届く喪中ハガキへの返信として、年賀状を出す時期(1月7日まで)を過ぎてしまって、年賀状が出せない場合の代わりとして使用されるパターンが多いかと考えられます。
喪中と知らずにすでに年賀状を出してしまった場合は、お詫びを添えた寒中見舞いを改めて出すとよいでしょう。
2.喪中見舞いを出す
喪中見舞いとは、喪中ハガキの返事として、相手を慰める気持ちを伝えるためのものです。寒中見舞いと同じ意味もありますが、大きな差は、「喪中見舞いは、送る時期が決められていません」ということです。寒中見舞いには出せる期間が決められています。
【亡くなられたことを知っている場合】
・喪中ハガキでのご挨拶をいただいたお礼
・こちらも年賀状を遠慮させていただくことのお知らせ
・寂しい年末年始を迎えることへの励ましや慰め、相手を気遣う言葉などを伝えます。
【喪中ハガキで亡くなられたことを知った場合】
・喪中ハガキでご挨拶をいただいたお礼
・ご不幸を知らずにいた失礼のお詫び
・こちらも年賀状を遠慮させていただくことのお知らせ
・お悔やみの言葉や慰め、励まし、相手を気遣う言葉などを伝えます。
また、喪中ハガキで初めて近親者が亡くなられたことを知ることも多く、喪中見舞いだけでなく、何かをしてあげたいという気持ちにもなります。
その場合は、相手に気を遣わせない程度の供物やお香典、お線香付きの喪中見舞いなどを利用してもよいでしょう。心のこもった喪中見舞いにギフトを一緒に贈ることで、慰めや励ましになります。
ここで気を付けなければいけないのは、お香典です。四十九日までなら「御霊前」ですが、過ぎてしまうと「御仏前」です。
また、金額は相手の負担にならないよう3,000円~5,000円程度にし、お悔やみや相手を気遣う手紙を同封しましょう。
お線香やギフト券などに添える手紙には、「お線香をお供えしていただけると幸いです」、「御仏前に供えるお花にご利用いただけると幸いに存じます」などと一言添えると、気持ちが伝わりやすくなります。
自分も喪中、先に相手から年賀欠礼が届いたら?
喪中ハガキの意味を思い出してみましょう。
喪中ハガキとは、「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます」、「喪中につき年賀状を出さないけれど、良いお年をお迎えくださいね」というものです。ですから、喪中の人に、こちらも同じように喪中ハガキを出して問題ありません。ただし、こちら側の喪中ハガキを出す際には、一言、先方へのお悔みの言葉を添えて出すようにしましょう。