弔電とは「弔意」を表す電報です。葬儀、葬式に参列できない場合、お悔やみの気持ちを伝えるため弔電を送りますが、弔電を送り慣れている方はごく少数かと思いますので、突然の訃報にもスムーズにマナーのある弔電が贈(送)れるよう、順を追って説明していきます。
重要なのは、通夜、葬儀・告別式「当日」に確実に届けること
弔電を贈る際に最も気を付けるべきは、通夜、葬儀・告別式の当日に必ず届くよう手配することです。電報のサービスには「○○時までの申し込みで即日配達」等、表記がありますので、届けたい日時に確実に届くかどうかきちんと確認しましょう。
前日までには手配をしておきましょう。遅くとも、葬儀・告別式開始1時間前までには届くよう手配しましょう。
手配が間に合わない!
手配が遅れ、弔電が間に合わない場合は以下を参考にしてください。
・そのまま弔電を贈らない。
・喪家もしくはご遺族の方に電話で参列できない旨を伝え、後日、改めて個人宅に弔問に伺い、直接お悔やみの気持ちを伝えましょう。
・電話で伝える場合、「本来なら葬儀に参列し、ご霊前にご挨拶を申し上げたいところでございますが、諸事情により参列することができないため、後日また改めて弔問に伺わせていただきます」等、手短に。けっして長電話にならないようにしましょう。
宗旨・宗派を確認しましょう
相手の宗教によっては、弔電の文言がふさわしくない場合があります。弔電を贈る際は可能な限り、相手の宗旨・宗派を確認し、気を付けましょう。
宛先、宛名、差出人
【宛先】
弔電を贈る先の住所は通夜、葬儀・告別式が執り行われる式場の住所です。自宅葬(遺族の自宅で葬儀を行なう)の場合は、遺族の自宅住所へ。斎場で行なわれる場合は、斎場の住所へ、贈ります。
※斎場に贈る際には「○○斎場気付 ○○様」と、斎場の誰の葬儀か分かりやすく贈ります。
※葬儀を執り行なう場所が不明な場合は、喪家宛に贈ります。その際、受け取りに不備がないよう、贈る際、一報を入れるようにしましょう。
【宛名】
迷うポイントは、弔電の宛名・宛先は故人なのか、喪主なのか、です。一般的に弔電は、あくまでも、受取人である「喪主」様です。
・友人の母親が逝去された場合、父親が喪主なら「(父親の名前)様方」
・特定の個人に贈りたい場合は、喪主名の横に記載します、友人本人に宛てる場合、「(喪主の名前)様方・(友人の名前)様」
斎場では複数の葬儀が行なわれている場合も多く、苗字だけでは他家と混ざってしまうこともあるので、宛名は「フルネーム」で記載してください。
※喪主が分からない場合、「(故人名)様 ご遺族様」、「(故人名)様 ご一同様」のように、故人の遺族宛で贈りましょう。
【差出人】
遺族側が見てわかりやすいよう、差出人名の横に「故人との関係」を一言添えると非常に丁寧です。
・鈴木 一郎(○○大学 ○○年卒 学友)
学校や会社関係者など複数人や連盟、連名で出す場合、代表者と関係者の名前を記載します。
・○○株式会社 ○○年入社同期一同 (代表:鈴木 一郎)
・○○株式会社 鈴木一郎(○○年入社同期)
佐藤次郎(○○年入社部下)
弔電の申し込み先
弔電は、NTT、郵便局、インターネットの弔電サービスで申し込めます。葬儀等の日時まで時間が無い方、または相談しながら決めたい方は、以下の通りです。
1.115番でNTTを利用しましょう。19時までの申し込みなら、全国当日中の配達が可能なうえ、メッセージなどもオペレーターが相談・対応してくれます。
2.郵便局の電報「レタックス」の弔電の特徴は、台紙や文例がシンプルで選びやすく、コールセンターやネット以外にも郵便局窓口で申し込むこともできます。
また、香典の準備ができている方は弔電と一緒に香典の郵送の手続きも一緒に済ませることができます。
3.24時間受付可能なインターネットサービスを利用しましょう。登録した情報が完成イメージで確認できます。
弔電の料金・種類
弔電の料金は、文字数、お悔やみ用台紙の種類により、メッセージカードのみのシンプルなものの場合は500円前後、相場は3,000円~5,000円程度です。うるしやちりめんで装飾されたもの、線香付きや花付きのもの、ブリザーブドフラワーの付いた1万円を超えるものまで様々です。どの種類を選んでも失礼になることはありませんが、故人とのお付き合い、関係性を考えて、台紙を選びましょう。
弔電の内容
弔電は、自分で自由に文章を決めることもできますが、多くの場合は用意された文例を利用して文章を作ります。
ご自身で文章を決めるなら、レタックスやNTTの文例などを参考にされてはいかがでしょうか。
ただし、ご自身で文章を決める場合、注意するべき点が2点あります。
1.故人の名前は、氏名ではなく、敬称で表しましょう
受取人の実父:ご尊父様、お父様
受取人の実母:ご母堂様、お母様
受取人の配偶者:ご主人様、ご令室様
受取人の兄弟・姉妹:ご令兄様(ご令弟様)、ご令姉様(ご令妹様)
2.忌み言葉に注意
重ね言葉や生死を表す言葉は忌み言葉なので使用してはいけません。(重ね重ね、たびたび、九、四、死ぬ、生きる 等)
仏教以外の方の場合には仏教用語を避けましょう。(仏、冥福、成仏、ご愁傷様、供養、往生、冥途 等)
キリスト教の方の場合には、上記「仏教用語」に加え、「お悔やみを申し上げます」という言葉も不要です。
次に、宗教による文例の違いをご紹介します。
【故人が仏教徒の場合】
○○ ○○(宛名・喪主) 様
ご母堂様のご逝去の報に接し 謹んでお悔やみを申し上げます。
あの優しい笑顔、楽しかった思い出など在りし日の思い出は尽きません。
安らかにご永眠されますよう、ご冥福を心からお祈りいたします。
○○ ○○(○○高校 ○○年卒 学友)
【故人が神道の場合】
○○ ○○(宛名・喪主) 様
ご母堂様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみを申し上げます。
あの優しい笑顔にお会いできないのかと思うと、悲しくてなりません。
在りし日のお姿を偲び、御霊の安らかならんことをお祈りいたします。
○○ ○○(○○大学 ○○年次 学友)
【故人がキリスト教徒の場合】
○○ ○○(宛名・喪主) 様
ご尊父様のご逝去の報に接し、ご遺族様のお悲しみいかばかりかとお察しいたします。
あの優しい笑顔、楽しかった思い出など在りし日の思い出は尽きません。
心安らかな眠りにつかれますようお祈りいたします。
○○ ○○(○○大学 ○○年次 学友)
以上、ご自身で忌み言葉や宗旨による言葉に気を付け作ることもできますが、基本、弔電は急ぎ用意しなければいけないため、先述のように、レタックスやNTT、インターネット等の力を借りることも非常に良いかと思います。
急ぎはしますが、故人、喪主、宗旨、届け先に間違いのないよう気を付け、必ず当日までに喪主様の手元に届くよう手配しましょう。また、葬儀の形をよく確認してから弔電を贈りましょう。