相続とは何かと聞かれ、財産を引き継ぐことですと一言で済ませても、具体的には何をすれば良いのか知っている人は殆ど居ないでしょう。知っていたとすれば、相続の経験者か税理士事務所や弁護士事務所に勤務されている方なのではないでしょうか。ですが、ここ数年の間に様々な法律が見直され、誰もが相続について無関係ではなくなってしまったのです。では、具体的にどうすれば良いか、簡単に解説してみましょう。
最初に相続人の確定をしなくてはなりません
相続の手続きについて、最初にすべきことは相続人の確定です。法的に決められている相続人のことを法定相続人と呼びますが、この手続きをしないと誰がどの財産を引き継ぐかを決めることができないため、相続の手続きそのものができなくなってしまいます。そうなると、遺産の分割を行うための協議も法的に無効となりますし、相続税の申告と納付もできなくなります。確定する方法は相続戸籍の収集と言いまして、亡くなった方の出生時から死亡時までの全ての戸籍・除籍・改製原戸籍謄本を市・区役所、町・村役場で入手し調査します。しかし、個人で全てを調査するのはかなり困難となりますので、一般的には司法書士や行政書士に依頼することをお勧めします。依頼料は二~三万円からとなっていますが、相続人の人数に応じて変わります。そして、時期的には四十九日法要が終わる頃、目安として亡くなってから二ヶ月以内と言われています。
引き継ぐ財産は何、幾らあるの?ローン残高は?
相続人の確定が終わったら、次は引き継ぐ財産は何かと幾らであるかを確定させます。通常ですと、現金預金や土地等の不動産が引き継ぐ財産だと想像できますが、それだけではありません。亡くなった人の物であるならば、自動車やパソコンも財産ですし、ゴルフ会員権や生命保険も財産となります。また、住宅ローンや自動車ローンのような借金が残っている場合も、引き継ぐ財産となるのです。現金預金を確定させるのは簡単です。銀行等の金融機関で亡くなった人名義の預金口座の残高証明書を発行して貰えば済みます。住宅ローンの残高もローン会社に連絡し、残高証明書を発行して貰えれば大丈夫です。問題は土地等の不動産です。不動産の価格は相続税評価額と言って、ある程度計算方法が決まっていますが、非常に複雑になっていますから個人で計算するのは困難ですので、税理士や弁護士に依頼した方がいいでしょう。
誰が何を幾ら引き継ぐか、決めなくてはなりません
引き継ぐ財産の内容と金額が確定したら次の手続き、つまり相続人の誰が何の財産を幾ら引き継ぐかを決定します。これは遺産分割協議と言い、相続の手続きを進めていく上で非常に重要な手続きになります。後に解説しますが、相続において最もトラブルになり易いのが、この遺産分割協議になります。本来は相続人同士で解決できれば理想なのですが、上手くいかないことが多く、一般的には弁護士を立ち会わせて協議することになります。依頼料金も内容により変わりますが高額となることが多いです。しかしながら、この遺産分割協議が終わらないと、全ての手続きが停滞してしまいますので注意が必要になります。