財産を有する人が亡くなると、その財産を相続人達が引き継ぐことになります。そして、財産を引き継いでから数年以内に相続人達の誰かが亡くなることも有り得ます。そうなると、相続が立て続けに起こることになりますが、特に問題となり易いのは両親が続けて亡くなった場合なのです。続けて亡くなった結果、相続が続ことを相次相続と言います。今回は相次相続について簡単に解説してみましょう。
相続税の相次相続控除について簡単に解説します
相次相続について例をあげてみますと、最初に父親が亡くなり配偶者と子供達が財産を引き継ぎます。これを一次相続と言います。そして、数年以内に母親が亡くなり子供達が財産を引き継ぎます。これを二次相続と言います。一次相続と二次相続が数年以内に発生することを相次相続と言うのです。相続税の納付額は高額になることが多く、資金繰りを初め納税者の大きな負担になります。それが数年以内に連続して発生すると、納税者の負担は増大してしまい、困窮することにもなり兼ねません。そこで二次相続の負担を軽減する目的で特例措置の規定があります。それが相次相続控除になります。相次相続控除とは何かと言うと、前述の例で説明しますと十年以内に二回以上の相続があった場合、父親の相続の際母親が納付した相続税について、一年につき十%割合で逓減した後の金額を、母親の相続時の相続税から控除する措置のことです。
相続税のその他の税額控除と併用できるの?
相続税の税額控除には、相次相続控除以外にも幾つかあります。他の税額控除と併用可能となります。但し、注意する必要があります。税額控除には相続税の計算方法上、順序と言いましょうか優先順位があり、幾つかの税額控除が併用できる状況にある場合、最初に障害者控除、未成年者控除から控除していき、最後に相次相続控除を適用することになります。他に税額控除として配偶者控除がありますが、通常ですと相次相続の場合には配偶者控除は適用できません。上記の例で説明しますと、父親が亡くなった時点で配偶者である母親が配偶者控除を受けられます。ですが、母親が亡くなった時点では配偶者であった父親は存在しませんので、配偶者控除の適用は受けることができなくなるのです。
考えたくありませんが、考えなくてはいけません
高齢の両親が居る場合には、あまり考えたくありませんが、一次相続と二次相続のバランスを考えた対策も必要になるものです。最も問題になり易いのは、相続税を納付することになった場合での資金繰りです。一次相続の相続税の納付額が高額で、二次相続が十年以上経過していた場合ですと、相次相続控除は適用を受けることができませんので、資金繰りに悩むことになるかもしれません。高齢の両親が居る場合は、相次相続も踏まえ税理士に相談してみることをお勧めします。