亡くなった人の財産を相続人達が引き継ぐことを相続と言いますが、必ず引き継がなくてはいけないわけではありません。トラブルに巻き込まれたくないとか、引き継ぐ財産の価値があまり高くなく、経費が嵩むだけで返って損をしてしまうと言った理由で引き継ぐことを取り止めることが可能なのです。引き継ぐことを止めることを相続放棄と言います。相続放棄には手続き上期限が定められています。相続放棄について簡単に解説します。
知っていますか、借金も相続しなければなりません
相続と聞いて何を想像するでしょうか。ある程度まとまったお金が手に入るとか、実家に住めるとか、色々想像できるのではないでしょうか。しかし、相続はそれ程甘くはありません。亡くなった人にマイナスの財産、つまり住宅ローンや自動車ローンの残高や、消費者金融からの借金の残高があれば、その残高も引き継ぐことになります。現金預金や不動産と言ったプラスの財産のみ引き継ぎ、マイナスの財産は引き継がないという選択は一切できません。あくまでもプラスとマイナスの財産をセットで引き継ぐことになるのです。例外は相続放棄の手続きとなります。読んで字の如く、全ての財産について引き継ぐことを放棄することなのです。期限は亡くなった人が死亡したことを知った日の翌日から三ヶ月以内とされています。問題となるのは、亡くなった人が債務超過状態だった場合です。プラスの財産よりマイナスの財産が多いと、相続人がローンを返済する義務を負います。
相続放棄のメリットデメリットを解説します
相続放棄しないでそのまま何もせず期限の三ヶ月を過ぎ、相続の手続きを継続した場合には、相続人が無限定で相続したと見做されます。このことを単純承認と言います。【1】で触れましたが、亡くなった人が債務超過状態だったとして、単純承認したらどうなるでしょうか。最悪の場合だと、相続した財産では到底返済には足りず、相続人全員の資産が差し押さえられてしまうことも有り得ます。このようなことを防ぐためにも相続放棄についてのメリットデメリットを理解したうえで、どうするかを判断して下さい。最初にメリットです。ローンの返済をしなくて済みます。また、遺産分割協議に参加すると言った面倒な手続きから解放されますし、相続のトラブル自体を回避できますね。次にデメリットです。一切の財産について引き継ぐことができません。また、相続放棄は一回のみとなっていて、撤回できません。放棄したらもうそれで終わりとなります。
トラブル回避のため、敢えて相続放棄する選択も
あまり考えたくありませんが、家族の仲が悪く相続について最初からトラブルが予想される場合には、敢えて相続放棄をしてトラブルを回避する選択をする人が居ます。また、亡くなった人が債務超過状態か否か判断が難しい場合、限定承認という制度を選択することも可能ですので、検討してみては如何でしょうか。限定承認とは相続の際、プラスの財産を限度としてマイナスの財産を引き継ぐことを言います。あくまでもプラスとマイナスの財産はセットですから、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことになるのです。現在ではあまり一般的ではありませんが、一考に値するかもしれませんね。