疎遠になっている家族が居る。若しくは自分が他の家族から離れ遠方で生活しているため、結果的に疎遠になってしまった。核家族化と言われていますが、兄弟姉妹が離れ離れになっている家族は多いのではないでしょうか。中には他の家族とは三・四十年以上会っていないという人も居るでしょう。兄弟姉妹の中に老齢の両親と同居し、介護を初め様々な世話をしている人が居た場合、思わぬ相続のトラブルに発展する可能性もあるのです。そして、こういった相続のトラブルは良くあることなのです。
血の繋がった親族であっても、要警戒となります
相続のトラブルで最も多いものは遺産分割協議において、誰が何を引き継ぐかという内容で揉めると言われています。ですが、それと同じ位多いものが一部の相続人によって財産の一部が隠されたことが発覚、若しくは隠されたことを疑う相続人達が争い揉めてしまい収拾がつかなくなることなのです。遺産隠しが発生し易い状況は、兄弟姉妹の誰かが親と同居乃至は近傍に居住し、親の財産を管理している。そして、他の兄弟姉妹が遠方に居住している場合です。全てが遺産隠しに該当するわけではありませんが、隠し易い状況にあると言い換えてもいいでしょう。もし、両親の居住する実家が遠方にあり、疎遠になってしまっていたら、遺産隠しを疑う必要があります。血の繋がった親族であっても、財産が絡むわけですから警戒しておかなくてはなりません。
一番の問題は遺産隠しは税務署に暴かれることです
遺産隠しが発覚する状況は、遺産分割協議において開示された財産の内容があまりにも低額であり、両親の所有していた財産よりも少なく感じられ、再調査した結果発覚することが多いようです。遺産隠しが発覚すると遺産分割協議が紛糾し、最悪は家庭裁判所の審判が必要になることも有り得ます。そうなると家族間の仲は悪化し、関係の修復が不可能な状態になることもあるのです。そして、本当に最悪の状況というのは税務署に遺産隠しが発覚し、脱税を疑われることなのです。税務署は一定の収入がある人や資産家の財産についてある程度把握しています。相続税の確定申告が終わった段階で、税務署は内容を徹底的にチェックし、既に把握していた財産の内容と、相続税の申告書を突き合わせ矛盾があれば税務調査を実施します。この段階で遺産隠しが発覚し、税務署に脱税と見做されれば言い訳できません。非常に厳しいペナルティが相続人全員に課せられる可能性があるのです。遺産を隠した本人だけではなく、他の相続人も連帯責任として罰せられることもありますので、ご注意ください。
遺産隠しは法的には刑事事件に相当、しかし難しい
司法の判断ですと遺産隠しは詐欺と見做し刑事事件に相当するそうですが、遺産隠しについて確実な証拠を揃え裁判で立証することは、法的知識のない個人では不可能に近いでしょう。遺産隠しが発覚し法的に対応する場合には弁護士に依頼することをお勧めします。ですが、最も効果的な遺産隠しへの対応は、他の家族と疎遠にならないようにし、特に財産を有する両親とは密に連絡を取り、隙を与えないことにあります。