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アンチエイジングを否定はしないが心の老化まで否定してはならない

「若い人」が増えている。外見のみならず、その精神は枯れる兆しもなく、大人と子供の境界が曖昧になっているような時代である。しかしそれは本当に幸せなことなのだろうか。我々の「若い」精神は、時間と寿命の無慈悲な洗礼の前に無防備である。

アンチエイジングを否定はしないが心の老化まで否定してはならない

アンチエイジングは主に見た目や外見の話である

最近は「『○○歳』とは思えない」とか、「今どきの○○歳は若い」といった言説を聞くことが多い。確かにひと昔前の○○歳に比べ、今の人達の方が遥かに若い印象を受ける。テレビや雑誌ではアンチエイジング、美魔女などの特集がない日はないと言ってよい。それは人として不自然なことではない。いつの世も特に女性は若さと美しさを求めてきた。それは願望であって見果てぬ夢だったが、現代の美容技術の発達は、ある程度夢の実現が可能になっている。しかし問題はその精神である。若さを求める精神そのものが若さに取り憑かれているとはいえないか。

アンチエイジングとは何かを考えさせるとあるテレビCM

去年の夏頃にある菓子のCMが流れていた。娘と友達のお泊まり会に母親が「仲間に入れて!」と入ってきて和気あいあいと盛り上がる内容である。それを微笑ましいと感じる向きもあるだろうが筆者は違和感しか持たなかった。子供には子供の世界がある。時には秘密を持ち大人に反抗し出し抜くことで成長していく。そこに子供を見守るべき親が仲間に入れてほしいと飛び込んでくる様は若さを通り越して幼さすら感じた。広告制作のプロは時代の空気を読むことに長けている。このCMは老いを受け入れず若さを求め続けるアンチエイジングの時代の本質を捉えていた。

内面は顔に現れる。気が若い人間は見た目も若くなるし、苦労している人間は疲れが目に見えて実年齢より上に見えるものだ。最近の「『○○歳』とは思えない」人たちの根拠は美容技術やファンションセンスより、そもそも精神の「若さ」(幼い)が外見に現れているのではないだろうか。

アンチエイジングの傾向は団塊ジュニア世代から始まった

こうした傾向がより顕著となったのは1970年代前半に生まれた「団塊ジュニア」と呼ばれる世代からだと思われる。彼らの原風景を一言で表せば「テレビゲームが置いてある駄菓子屋」である。団塊ジュニアの少年期には、映画「オールウェイズ」に出てくるような昭和の風景である駄菓子屋がまだあちこちに存在していた。しかしそこにはメンコや銀玉鉄砲の音ではなく、インベーダーやマリオブラザーズの電子音が鳴り響いていた。団塊ジュニアはアナログからデジタルへの過渡期、昭和と現代の過渡期に多感な時期を過ごしたのである。物心ついた時からデジタルメディアに触れている世代を「デジタルネイティブ」と呼ぶが、団塊ジュニアはデジタルネイティブの最古参といえるだろう。

「子供向け」だけだったのがいつしか「大人向け」にもなった

インベーダーブーム当時、ゲームは所詮子供の遊びでありブーム終了と共に卒業するもののはずだった。実際喫茶店でタバコを咥えながらゲームに興じていた若者たちはゲームを卒業していった。一方でその後を追う団塊ジュニアに卒業の機会はなかった。ゲームの技術・脚本は高度に発展し大人にも耐えうる、むしろ子供には攻略不可能な程に高度に進化していった。また子供向けの文化であった漫画やアニメも同じように高度化していく。今やいい年してまだ漫画なんか読んでいるのかなどと言えば時代錯誤と笑われるだろう。この世代からは子供の頃のカルチャーがそのまま延長して現代に至っている。昭和の同世代に比べて現代の大人たちが明らかに「若い」のはやはりこうした内面が現れているのではないか。

心の老化を否定することの弊害

ここまでは肯定的な見方もできる。精神が若いのは結構なことではないかと。筆者が指摘したいのは単純な事実である。即ち「肉体は衰える」。いくら心が若くても肉体は年相応に衰える。鍛錬や美容技術である程度若さを保っていても限界がある。しかし内面はいつまでも若いままだ。つまり我々は「若者のまま」寿命を迎えることになりかねない。

我々はなんとなく年を重ねていき、遠い将来には自然と死を受け入れるようになるイメージを漠然と抱いていなかっただろうか。仙人のような老人を思い浮かべ、いずれ身体と共に精神も枯れていくと思っていなかったか。以前、葬儀など死者との機会を通じてを通じて「ユルく」慣れていくべきだと書いたが、現代ではそれが難しくなっている。葬儀離れより以前に現代人は「老い離れ」してしまっているように思える。20年後、「心は若者」の老人が死に際して重大なスピリチュアルペイン(注)に陥ってもおかしくはない。

(注)「なぜ私がこんな目に」「生きていても意味がない」など、死に直面した患者の心身を超える「魂」のレベルの苦痛。
ー緩和医療の臨床で生の無意味、無価値、空虚などの苦しみを訴える終末期患者の「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」(村田久行「終末期がん患者のスピリチュアルペインとそのケア」日本ペインクリニック学会誌18号、2011より抜粋)

死に向けて心も身体も順応させることが重要

曹洞宗のドイツ人禅僧・ネルケ無方は「元気で長生き」は無理があり、老人の仕事のひとつはきれいな枯れ方を見せることだと述べている。ネルケは体力が落ち病気になり寝たきりになることの何が恥ずかしいのか。実をつけて枯れていく木はまた新しい芽を吹く。人間もまた次の世代に託し枯れていくべきなのだと説く。

身体に合わせて精神も徐々に枯れていくことは、死に順応していくために人間に備わっている能力なのかもしれない。現代はそこにズレが生じている。

死を受け入れていく精神性を持つことが重要

身体と共に精神も成長し、身体が枯れていくと共に精神も程よく枯れていくのが本来のあるべき姿なのだろう。「若さ」を否定するつもりはないが、やがて来る日について相応の覚悟は必要である。今や我々は「若者」として死に向き合わなくてはならない。

ツイッターなどにはご高齢の方も度々見受けられる。その中には我々世代に先んじた「若者」もいるが、穏やかに「枯れた」雰囲気を醸しだしている方もおられる。我々は枯れつつもデジタルと溶け込んでいる先人から何らかのヒントを見いだせるかもしれない。

参考文献

ネルケ無方「なぜ日本人はご先祖様に祈るのか」幻冬舎新書(2015)

ライター

渡邉 昇

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