今日の日本において、大半の人は病院でその死を迎えている。普通はその後医師の手によって死亡診断書が作成され、その後葬儀が進められる形になっている。しかし、何らかの事情で自宅や外出先で人が亡くなってしまったとき、「検視」が行われてその後葬儀の手続きが進んでいく。万が一の時に備えて、そのようなケースに直面してしまった際の対処法を確認してみよう。
「検視」とは?「検視」が行われるかどうかの基準は?
「検視」とは基本的に病院以外で人が亡くなった時に行われる。普段から持病があり、通院していたなど事件性がほぼ見られなくても検視が行われるケースが多い。医師立ち合いのもと、検察官が遺体を検査してその身元や事件性があるかどうかを判断する手続きが行われる。
ただし、必ずしも毎回きちんとした検視が行われるわけではないようだ。自宅で病気の療養をしていた人が亡くなった場合、かかりつけ医がいればその医師に死亡診断書を作成してもらうことができる。ただ、これが可能なのはかかりつけ医による診断から24時間以内の死亡に限られる。もしこのような状況に直面したらなるべく早くかかりつけ医に連絡するのがよいと言えるだろう。
事故死や自殺、孤独死などで行われる「検視」
もし、亡くなった方の死因に治療中の病気との関連が見られなかったときには異常死と判断され、検視が行われることになる。病死などの他にも、事故死や自殺、災害による死亡、1人暮らしで身元不明な方の死亡などのケースでは検視が実施される。特に、最近一人暮らしのお年寄りによる孤独死が増えており、それによる検視が多くなっているという。
「検視」によって異常があると認められた場合は司法解剖が行われる
検視を行っても事件性がないとされた場合には、医師によって死の状況を判断する「検案」が実施され、「死亡検案書」が作られることになる。しかし、それによっても死因が特定できない場合には行政解剖が行われるようだ。
しかし、検視によって事件性が疑われる場合には司法解剖が行われることになる。司法解剖は基本的に大学の法医学教室で行われるために、遺体の移動のための時間が数日かかるようだ。さらに、遺体の身元が分からない場合や遺体の状態が悪い場合にはDNA鑑定が行われる。これによりさらに時間がかかることがあり、地域や状況によっても変わるが長くて1か月以上かかる場合もあるそうだ。
「検視」が終わるまで葬儀は行うことができない
検視が行われた場合には、死亡検案書が作成されるまで遺族は死亡手続きや葬儀を行うことはできない。検視が終わった後の連絡が来たらすぐに引き取りに向かわねばならず、この時点までに葬儀社を決めていなければならないのだ。一応、警察から葬儀社の紹介はあるようだが、どうしても相場より高くなってしまう場合が多いためにあらかじめ葬儀社や葬儀のプランを決めておくのがよいだろう。
最後に…
昨今では核家族化や単身世帯の増加が進んでいるが、このような異常死のケースには遺族の負担も大きいようだ。自身の最期を良い形で迎えるためにも普段から家族との連絡は密に取っておくべきかもしれない。