葬儀時の写真撮影について、撮ってもよいものか迷われたりした経験はありませんか?
いくら記録のためとはいえ、こういった場で写真なんて撮ってもいいのだろうか…?
もしくは、参列者として葬儀に訪れた際、会場内の写真を撮っている姿を見て驚いた、という方もいらっしゃるかもしれません。
結論から申し上げると、葬儀時の撮影について、特に決まりはないようです。
葬儀のあとの事務整理のための記録写真。
故人との最後の思い出を残す、記憶のための写真――。
このような用途があげられます。
撮影に関しては遺族の意向が全てのようですが、事前に葬儀社や宗教者に確認をとっておくとよいでしょう。
ただ、人それぞれの考え方がありますので、参列者の中には抵抗を感じる方がいないとも限りません。
故人との別れを横から無遠慮に撮られては、誰だって気持ちのよいものではないでしょう。
撮影はその場面に応じての配慮が必要といえます。
葬儀のあとに活用する、記録としての写真
祭壇や供物、供花などを撮影しておくと、葬儀のあとお礼状を出す際などに役立つ場合があります。
葬儀の最中の撮影はためらわれる・控えるべきが当然と思われる方でも、
こういったものを記録として残すことは決してマナー違反ではありません。
後々の整理がしやすくなり、資料としての活用ができます。
記憶に残す、メモリアルとしての写真
筆者自身の体験談をお話します。
以前祖父が急逝した際、お別れを地域の小さな葬儀屋さんで執り行うことになりました。
仕事でカメラを扱うことが多かったわたしは、祖父との最後の思い出を記録に残そうと撮影を行ったのです。
しかし、これまで葬儀の場でカメラを構えたことなどなかったため、初めは「こんな場所で写真なんて撮ってもいいのだろうか。」と不安になりました。
けれど、自分がやらなければこの日のことを誰も記録として残せない、そう思い、シャッターを切ることにしたのです。
通夜のあと、孫たちを集めて祖父の遺影を囲んで撮った写真はその日にプリントし、翌日の告別式の際、花とともに棺の中に入れて見送りました。祖父が喜んでくれたらという、家族の願いを込めた一枚でした。
また、親族同士なかなか集まる機会もないため、この葬儀で撮った集合写真は後程プリントしてそれぞれに送りました。
祖父がつくってくれた縁として、親族も皆喜んでくれていました。
葬儀は神聖なものです。
しかし、記録のため、故人との最後の思い出を残すための撮影は決して悪いことではありません。
配慮をもった撮影が何より大切だといえるでしょう。