相続税とアパート。一見して何の関係か直ぐに理解できる方は、相続税に関して一定の知識を有する方だ。
どういうことかと言うと、地主さんにとってアパートの運営と相続税の節税は密接に関係しているからだ。具体的に言えば、地主さんにとってアパートの建築と運営は、生前贈与にも勝る相続税の節税対策となるからなのだ。
同じ1000万の財産でも、アパートならば大体8割の評価となる
地主さんが同じ面積の土地を所有していたとして、自分のために利用していた場合と、他人に貸すアパートや賃貸マンションの敷地として利用していた場合だと、相続財産としての土地の評価額は、20%程度変わってきてしまう。
例を挙げると、自分の為に利用している土地の評価額が1000万円だとする。これが、アパートや賃貸マンションの敷地に利用されている土地だとその評価額は800万円となる。細かい規定があるので、20%は、あくまでも目安と考えて頂きたい。条件次第では、更に土地の評価額を下げることが可能となり、その結果相続税の節税に繋がっていくのだ。
ローンを組むことで更なる節税も!
更に、アパートや賃貸マンションの建物についてだ。建物の評価額も上手く利用すれば相続税の節税対策となる。
ここで注意したいのは、相続税の建物に関する評価額とは、建物の総建築費ではなく、固定資産税評価額であることだ。通常の市場価格の70%位だと覚えておいて欲しい。アパートや賃貸マンションを、丸ごと購入した場合の価格の70%程度である。これを踏まえて話を先に進める。
建物を建築する場合、ローンを利用した方が有利となってくる。相続は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産即ちローン(借金)も相続するのである。もし、アパートや賃貸マンションの建物を建築する際に、ローンを利用して建築した場合、建物の評価額だけでなく、ローンの残高も相続財産から差し引いて評価されることになる。つまり、5000万円の相続財産があり、被相続人が亡くなった時点でのローンの残高が2000万円だった場合、残りの3000万円が相続財産となる。
ここでポイントとなるのは、あくまでもアパートや賃貸マンションを賃貸事業として運営しているか否かだ。実質的に賃貸事業を運営していなければ、上記のような評価額の規定の適用を受けることができず、評価額が高額なままとなり相続税の節税対策とはなりえない。
知らなかったでは済まされない税金の世界
筆者の知人や親戚にも上記の規定を効率良く利用し、大幅な節税を達成した方が居る。専門家への事前相談や、情報収集に時間を掛けて確実に実行した成果だ。
所有する財産のうち、土地の占める割合が多い場合には、是非実行して貰いたい節税対策だ。事前に税理士や弁護士に相談すれば、きっと良い対策方法を指導して貰えるはず。
何かあってからでは遅い。事前の対応と対策がなによりも重要となる。安らかなる終活のため、躊躇わず実行していくべきと考える。