最近の傾向として、様々な葬儀の形式が増加している。
殆どの場合が仏式であろうが、神式やキリスト教式もある。また、無宗教式も増加傾向だ。故人がユニークな葬儀にこだわり、趣向を凝らした葬儀にする場合も少数派ではあるが、増加しつつある。
形式にこだわらず、忙しい現代人の葬儀の選択の一つとして家族葬があるが、今回のコラムでは、この家族葬について綴ってみたい。
家族葬のメリットとデメリット
家族葬とは、参列者が故人の家族、ごく少数の親戚と故人の友人に限られる、規模の小さい葬儀のことだ。
メリットは、規模が小さい故に葬儀の費用が比較的安価にできる。時間の制約が少ないため、故人とのお別れをゆっくりとできる等がある。
デメリットは、参列できなかった人(呼ばなかった人)から不満が出る。更に、葬儀の後故人の逝去を知った方々が弔問に訪れ、その対応に追われる可能性がある等だ。
葬儀に呼べなかった人たちへの対応
特に注意しなければならないのは、葬儀に呼ばなかった人への対応だ。
これは筆者の経験なのだが、筆者の年齢が離れた友人が亡くなった際、故人の配偶者の意向で家族葬が行われていた。筆者と故人とは20年以上のつきあいがあり、同じ趣味を楽しみ、情報を共有する仲間とともに過ごしていた。しかし難病に罹患し、治療の甲斐も無く亡くなってしまったのだった。
故人の配偶者は、当然筆者や仲間にも面識が有り、仲間のうちには故人の家族と家族同士のつきあいがある方もいたほどだった。前述のとおり葬儀は家族葬とされて、親族以外には逝去時においてその旨を告知せず、納骨が終わった段階で書面にて告知された。
その際筆者は、寂寥感を感じるとともに故人の配偶者に対して薄情とは言わないが、何とも後味の悪い気分になってしまった。更に家族同士のつきあいのある仲間は、感情的になって不満を申し伝えていたのだ。その後、配偶者からお詫びの言葉を頂いたが、結局は蟠りのようなものが消えず、ご遺族とのつきあいも自然消滅となってしまった。
家族と同様に最後の別れの挨拶を願う人達がいることを忘れてはならない
様々な感情が絡んだ結果ではあるが、ご遺族以外にも別れを惜しみたいと願う者達は一定数居る。金銭的なメリットから家族葬を営むのも理解できる。ご遺族が一番悲しい思いをしているのも同様だ。
しかし、前述のように故人との最後の別れの挨拶を願う方もいることを忘れるべきではなかろう。
終活をするにあたって、どのように葬儀を営むか、その場合のメリット、デメリットについてもある程度考慮しておいた方がいいのではないだろうか。もし、家族葬を選択した場合には、呼ばなかった方々に対して最大限の心遣いをすれば、残された人々にとって何等蟠りもなく故人を偲ぶことができ、円満な人間関係を築けるものと考えるが、如何だろうか。