自分の死後の財産分与について遺言書を用意する等の具体的な準備をするのは、自分の死を身近に感じるようになる老後や重い病に罹ってしまった場合が多いだろう。
しかし悲しいことに、予測不能な事件や事故に巻き込まれてしまったり、若くして突然病死してしまうケースもある。そのため資産家は若くて健康であっても遺言書を作成していることが少なくない。
資産家だけではなく飼い主も遺言書を作るべき
しかしここで私は、資産家というわけではなく、若くて健康な場合でも是非とも遺言書を作成しておいて欲しいと願う人がいる。
それは、ペットを飼っている人である。
何故ならば、飼い主が亡くなり引き取り手の見つからないペットは保健所に送られ殺処分となってしまうからだ。
まず考えられるのは家族や知人友人
自分の死後もペットの面倒を見てくれる家族がいる場合は問題ないが、信頼出来る友人に里親になってもらいたいと考えている場合は、口約束ではなくその友人に了承を得た上でその旨を書面に残しておくべきだ。
友人に負担が掛かってしまうことが気がかりであれば、ペットの面倒を最期まで見てもらう代わりに遺産の一部を遺贈するという負担付遺贈や、それを相手が拒否出来ない負担付死因贈与契約という手段もある。いずれも正式な書面に残しておかないと効力がないので、ペットを飼っている人には一度詳しく調べて準備をしていただきたい。
ペットによっては業者買取もある
犬や猫など以外に、爬虫類や昆虫などの珍しいペットについては業者に買い取ってもらえる場合もあるので、家族に話しておけばあまり負担を掛けずに対処してもらえるだろう。
処分に困った家族が公園などに捨ててしまうと生態系が崩れてしまう危険性があることも、きちんと話しておくべきである。
ペットの面倒を最期まで見てくれる家族や友人がいない場合は、人間で言うところの老人ホームにあたる業者や、行き場のなくなったペットを保護しているボランティア団体もある。
しかしこれらの業者や団体の実態を外側から事前に知ることは不可能であり、普段から詳しく調べておいたり交流をしておくことが必要である。
また一人暮らしだった場合は、飼い主が亡くなったことに誰も気が付かずペットもそのまま餓死してしまうという悲しいケースも起こりうる。
普段から頻繁に家族や友人と連絡を取り合い、数日連絡が取れなかった場合は自宅の中を確認してもらえるように取り決めを結んでおいた方がいいだろう。
里親が見つからなければ殺処分される
ペットを飼っている人は家族として扱っていることが殆どだが、自分の意思では生き方を決められず飼い主が亡くなってしまえば物として扱われてしまうというのが実情である。
そして、飼い主が亡くなってしまって里親を探している、見つからなければ殺処分という悲しい訴えも後を絶たない。
ペットを飼っている人には必ず、自分の死後のことを具体的に考えていただきたい。