20代30代の頃は、仕事やプライベートの事で手一杯。墓参すらせずお墓の管理や菩提寺との遣り取りも全て実家の親任せだった。
40代となりそろそろ自分の親が老齢となってきて、更に自分自身も人生の折り返し地点に差し掛かってきていることを自覚し始める。
そんな時、自分の身近な人が亡くなってしまい、葬式の手配や供養等様々な手続きに直面するが、何も知らないことを改めて思い知らされる。
こんな経験、心当たりがある人が多いのではないだろうか。
菩提寺との関係性が葬儀の時のみになりつつある
今回のコラムは、知っている場合と知らない場合ではかなり差がでてしまうだろうお寺との付き合い方、お布施や供養料について綴ってみたい。
筆者の知人K氏の母が、長い闘病生活のうえお亡くなりになった。
K氏の父はK氏が幼い時既にお亡くなりになっていた。K氏の父の墓守は母が努めてきたが、病身となった際もう墓守ができないことをK氏に伝えていた。
しかし、K氏は多忙を理由に墓参以外は殆ど何もせず、供養料も母が父の残した遺産から菩提寺に払っていたのだ。
いざ、母親が亡くなりK氏が喪主となった際に、K氏は全てが分からないことだらけであることに気付いた。葬儀社の選定は、母親が入院していた病院から紹介された業者とし、直ぐに契約手続きを済ませ、葬儀社と相談しつつ今後の対応を行うこととした。
しかし、ここで問題が発生したのだ。菩提寺へお通夜と葬儀の法要を依頼するために連絡した。そこで、お布施について、幾ら払えば良いかと聞いたところ、気持ちだけで良いとの回答を得たのだ。
お布施の相場として決まり文句となった「お気持ち」
K氏は、お気持ちとは幾らだろう。他に支払うものはあるのかと戸惑った。結局は葬儀社の担当に相談した。その結果かなり高額なお布施を菩提寺に支払ったそうだ。
葬儀も納骨も無事に終わり、暫く経過してから筆者とK氏が会った際に、事の顛末をK氏から聞いた。葬式ってお金かかりすぎだとK氏が愚痴を零していた。
筆者は、幾ら支払ったのかK氏に聞いたところ、葬儀社の領収書等を拝見させて貰ったが、相場をかなり上回る金額を支払っていたことが分かった。筆者は、気持ちの問題故にK氏ご一家がある程度納得しつつ支払ったのだから、特に問題はないとも思うが、もっと支払いを安くすることもできた旨伝えると、複雑な表情をされていた。
少なくとも、菩提寺に対する支払いには納得していたわけではない。葬儀社の言われるまま支払っただけだとのことだった。
菩提寺と普段から良好な関係を築くことも終活の一つ
過ぎたことを言っても詮無きことではあるが、今更返金してくれとも言えない。
やはり事前に菩提寺と相談しておくべきであったとK氏は苦笑していた。お布施や供養料にも相場がある。
最近トラブルが増大している戒名についても位階に応じて相場がある。大体の目安は書籍やネットで調べることもできるし、直接菩提寺の僧侶に聞くこともできる。
漠然と墓参していればそれで満足なのではなく、定期的に菩提寺と相談して双方の意思疎通を図っておき金銭的なトラブルを回避することも重要な終活ではないだろうか。